見出し画像

色音



渦巻く影の最後まで君は
筆を走らせて
花びらのように踊らせた、
同じ
根を持つ影が咲いて、
どこまでも綺麗になっていく、恐れずに
抜けて来た回転ドアに、散らした
言葉は音符のように、誰かが通る度に鳴って、
一度だけ
この世界に流れて消える音楽を
生んでいた日々の
夜を歌って
 
砂浜で
放した声を
どんな罪に問われることもないまま
包み込んだ、両手が
儚く燃えて、
見えない線をたどっている
 
蔽いつくす
透明な手のひらが空で曇る、すぐそばで
消えたものたちに
通じていた、春の
待つ方へ、
立て掛けている白い画布の扉
 
張り替えたばかりの
夜に選んだ花の色を追いかけて
振り向かない
影を見てる






この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?