卒業式、息子が見せたサプライズ
先日、中3長女、小6長男、6歳三女、子どもたちが巣立ちを迎えました。
みんな毎日変わらぬ笑顔で学校へ行く。その背中を見送ることができたことはとても幸せでした。
大変な状況の中、子どもたちをいつも近くで支えてくださった学校、そして先生には感謝しかありません。
おそらく先生と一番濃厚な時間を過ごした長男。
「悪ガキ最後の砦」と言われた息子の卒業式は印象深いものでした。
成長したと言っても本質的なところはあまり変わりません。
卒業式の朝。
なんで?白のタートル着てるやん!と思ったら、スーツのシャツを反対に着ていたり…どうやったら着れるねん?
出る直前になってランドセルと校帽は卒業式に必要か?と聞いてきたり…そんな奴おらんやろ…。
家を出る間際までわちゃわちゃです。
トムとジェリーのように朝から奥さんが息子を追い回す光景はいつまで見られるのでしょうか。
走り回る最中、
「どんな式になるの?一人ずつ話したりするの?」
「一言だけね。卒業証書もらう時に話すよ」
「なにを話すの?」
「6年間ありがとうございましたみたいな感じ。コメントはみんなと一緒だよ」
「えー!そんなん面白くないやん。自分の言葉で伝えなよ。しかもとびっきり元気よくね!」
奥さんと無茶ブリしていたら……
「うるさいなぁもう!」
イライラしながら、真っ白の新品のスニーカーのかかとを思いきり踏みつぶしながら走って出ていきました。
家を出た直後、長男のスマホに着信があったので、覗いてみるとグループLINEに女の子からの返信。
「かぶらいなよ」
きっと校帽を被っていくかどうか不安になって、聞いてみたのでしょうね。
「あの野郎、最後まで変わらないね」
「ほんとにね」
卒業式。
音楽なども事前に録音したもので基本サイレントの中、保護者もどう気分をもっていけばいいのかわからない様子でした。
それもつかの間、卒業証書授与で空気がピンと引き締まりました。生徒一人ずつ、感謝や今後の抱負を述べていくのですが、みんな元気なこと。
はいっ!!
サイレントの鬱憤を晴らすかのような気持ちの良い返事とコメント。見ている私たちもとても清々しい気分になりました。
小さい頃からよく知った近所の子どもたちもたくさんいて、その中でも長男をしのぐ悪ガキ君が……
「お婆ちゃん、お母さん、先生、6年間色々とお世話をしてくれてありがとうございました」
こんなん言われたら6年間どれだけやんちゃされても許してしまうね。奥さんとジーンとしていました。
そして長男の番。
アドリブが効くような人間ではありません。
きっとベタに「6年間ありがとうございました」と思っていた私たちの期待は見事に裏切られました。
「6年間ありがとうございました。小学校でたくさん作った思い出を中学校でも大切にして、またたくさん思い出を作っていきたいです」
中学は引っ越しのため友人とは離ればなれ。
彼なりの先生や友だちへ精一杯の感謝を伝えるメッセージでした。緊張感まで伝わってきて目頭がじわりと熱くなりました。
先生いわく本番でいきなり内容を変えたようです。先生もびっくりし過ぎて次の子の名前が呼べなくなりそうになったそうです。
サプライズを成し遂げた彼は、いつものふにゃふにゃとふざけた感じはなく、シャキッとしていてコバルトブルーの細身のスーツにグレーの細いネクタイが似合っていてほんとに格好良かったな。
卒業式も終わり、生徒たちはクラスへ帰り、再度、体育館へ集合し、保護者とともに先生や下級生が作ってくれた花道を通り校庭で解散します。
再集合でクラスから戻ってきた彼の顔を見て、奥さんも私も一瞬、動きが止まりました。
彼は小さな子どものように泣きじゃくっていました。友人に囲まれ真っ赤な目をして……
聞いてみると、
「最後に先生が話しながら、泣く姿を見て我慢できなくなった……」
人目も憚らず、彼は泣いたそうです。
こんなことになるとは思わず、ビックリしましたが、泣ける子で良かった。そう思いました。
先生や友人がほんとに大好きだったのでしょうね。
最後に見せた大きなサプライズ。やはり彼は期待を裏切りません。
校庭で、息子を大きく成長させてくれた先生に今までの感謝を伝えました。
奥さんに、先生の目にも涙。つられてまた泣く息子。先生とのツーショット写真はとんでもない泣き顔。
先生には息子の成長を記したnoteも読んでもらいました。この仕事をしていて、こんなにも喜んでいただけたことはありません。幸せです。
と丁寧に御礼の言葉までいただきました。息子だけではなく、私たちにまでエンジンをかけてくれた先生には本当に感謝しかありません。
人との繋がりをリアルに実感しにくい今、積み重ねた先生や友だちとの思い出の日々は、今後、彼を力強く支えてくれるはずです。
その日の晩、
「ママー、末娘が残っていたグミを全部食べたんだけど……もう嫌だぁ!」
彼が発狂していました。
こうやってバランスをとりながら成長していくのでしょうね。まだまだ発展途上です。
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