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ハッピーハッピークリスマス
娘は毎年この時期サンタクロースに手紙を書く。
パパにもママにも見られないようにサンタさんにだけ見えるように糊付けして閉じなさいと言いながら、娘が寝た後にそれを剥がして覗き見するのは申し訳ない気もするが、娘が一年で一番楽しみにしているイベントを存分に楽しませてやりたいと思っている。
プレゼントに何が欲しいのか。準備する親としてこの情報は何が何でも外せない。
昨年はプレゼントのリクエストに加えてサンタさんへの質問が三つ添えられていた。
「サンタさんはがいこくのひとなのにどうしてわたしのにほんごのてがみがよめるのですか」
「わたしのいえにはえんとつがないのにどうやってわたしのおへやまではいってこれるのですか」
「せかいじゅうのこどもたちにどうやってひとばんでプレゼントをくばりきるのですか」
妻と返事を作るのにたいそう苦労した。
晩御飯の後片づけをしていた妻が、そうそう、と言いながら手を拭い、今日あの子がサンタさんに一生懸命手紙を書いてたよ、とリビングルームから水色の封筒を持ってきた。
「今年はどんなこと書いてるのかしらね」と言いながら封を開ける。
このワクワクする瞬間は娘から私たちへのクリスマスプレゼントだ。
「読むわね」
プレゼントはなんでもいいです。
いまのわたしににあうものをえらんでください。
「なんと控えめになってきたもんだ。お前も見習えよ」
妻は、ほんとほんと、と笑いながら、次に目を移した。
するとその表情はたちまち真剣な表情に変わるや妻は黙りこんでその手紙をじっと見入っていた。
そして目尻を指先で拭いながらその手紙を私に渡す。
いつもわたしをかわいがってくれてありがとう。
私はリビングの洋服掛けに掛かっている娘のワンピースを見た。
いつの間にかこんなに大きくなっているのだなと思った。