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掌編小説 短編小説

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#小説

一本!

 今日は告白をする日だ。  別にそんな専用カレンダーがあるわけではないのだが、自分が逃げ…

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2年前
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玉虫色のころ

 彩香は玉虫色の儚さがかわいいと言い、続いて自分の名前の「彩」が玉虫色だったらいいのにな…

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2年前
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どどん!

 一緒に宮太鼓叩こうよって、これまで二回裕太くんから誘われた。  最初の時はまだ小学生の…

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2年前
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おとうと

 リナがふとんにはいったあと、おとうさんとおかあさんはおそくまではなしをします。  とき…

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2年前
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冬の星座 【掌編小説】

ミナちゃんは部屋に宝石シールを広げてそれを夢中になって並べている。 散らかったおもちゃを…

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3年前
19

ガムランボール 【短編小説】

都心にありながら新しさを競う周辺の景色には全く関知しないかのような古びた店構え。そしてど…

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3年前
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雲の上のふじこさん 【短編小説】

僕はモノ書きになりたいと思っている。 それなりの気概を持っているつもりだが、時々はもう一人の冷めた自分が出てきて大志を抱いているその青年のことを「身の程知らずの夢見る夢子ちゃん」呼ばわりする。 大学の専門課程を徹底的に修めて飯はこちらで食っていこう、僕の専門分野は世界的に専門家が不足している技術分野だからこっちを選んだ方が食べていける確率は高い。モノ書きの夢は一生をかけて少しずつ実現させよう、とそろそろ「院」への進学準備のこともあって、そんな夢のない夢の持ち方も芽生え始めてい

お空の神様 【短編小説/何故あめは降るのか】

ヒロシはよいしょよいしょとじょうろを持ち上げながら、じいさんが一生懸命手入れしている花壇…

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3年前
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空は泣くのか 【短編小説/#何故あめは降るのか】

涼子は雨の景色が好きだった。 とくにこの部屋から見えるなんということのない坂道と古い低層…

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3年前
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なすび里世界を行くージャカルタ場所 【絵のない絵本】

野菜力士たちはすってんころりんあわてております。 海外巡業の予定が発表されたのです。 開か…

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3年前
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ぶっさいくな恋 【短編小説】

ケンタ、なにをそんなシケた顔をしとるんや。 わしらみたいなよれよれでもお天道様のほう向い…

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3年前
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恋をしたり 【短編小説】

運転が大の苦手なくせに山道のドライブが大好きである。 つまり誰かが運転手を務めてくれたら…

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3年前
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約束 【掌編小説/#あと100日で新型Cは終わります】

100日したらこの病気なくなるからね。 おじいちゃんが教えてくれた。 幼稚園に行けないこと膝…

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4年前
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青空 【短編小説/#あと100日で新型Cは終わります】

敦夫は雑居ビルの長い通路を通り、その脇のそれぞれの机で黙ってうつむいている占い師たちに全く興味がないオーラを振り撒きながら足を進めた。 母から渡されたメモ、併せて聞いた話を頼りに前へ前へと突き進む。 勇気があるというより、これほど占い師に囲まれたことがなく、自分の人生を一瞬に見透かされるのでないかいうむず痒さから早足で進むしかなかったのである。 当事者の母にしてもなにしろ30数年前の話である。その情報はなかなかにムードのある霞み具合であった。 「西本先生のお部屋はこちらですか