おとうと

　リナがふとんにはいったあと、おとうさんとおかあさんはおそくまではなしをします。
　ときどきおとうさんがおおきなこえをあげているのでたのしいはなしではなさそうです。
　ことしのおはなみのとき、リナおとうとがほしい、っていったら、おかあさんはとてもよろこんでおとうさんにもはなしてくれたからリナはうれしかったです。
　こないだ、サンタさんにおねがいしようか、っていったら、なぜかおかあさんはなきだしました。リナもかなしくなりました。
　おとなってふしぎです。
　あるひおそくまでがんばっておきて、おとうさんがかいしゃからかえってからこんどはおとうさんにいいました。
　すこしこわかったけどリナはおもいきっていいました。
　おとうとがほしい、って。
　おとうさんはなにもいいませんでした。
　さいきんのおとうさんはむかしのおとうさんとちがいます。おさけのにおいがくさいです。
　リナがうるさくおとうと、おとうとっていうからかな。
　リナはかんがえてしまいました。
　おとうさんとおかあさんはまたおそくまではなしをしました。
　こないだおとうさんにはなしたおとうとのことかな。
　ふとんのなかでかんがえてから、おもいきってふとんからぬけだしてふすまをあけました。
　おとうさんとおかあさんはびっくりしたかおをしました。
　おかあさんはあわててかおをふいてテーブルのうえのものをかたづけました。
　おとうさんはうえをむきました。
　リナはおとうさんとおかあさんにごめんなさいってあやまりました。
　おとうとのことはもういいからね、おとうさんとおかあさんをこまらせて　　　ごめんなさい、とあやまりました。
　おかあさんはなきました。
　おとうさんもなきました。そして、テーブルのうえのかみをやぶりました。リナはそのおおきなおとにびっくりしてなきました。
　おとうさんはリナをだきしめてくれました。おさけのにおいはしませんでした。
　つぎのひのあさ、がっこうにいくまえにおとうさんとおかあさんによばれてまたテーブルにすわりました。
　おとうさんはむかしのかおにもどっていました。
　リナ、おとうとかいもうと、ということでね、といいました。
　ああ、そんなこと、かみさまがきめることにきまってんじゃん、あたりまえじゃん、あたりまじゃん、といってランドセルをとってはしっていきました。