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#感想文

芥川龍之介『蜘蛛の糸』『羅生門』感想文

芥川龍之介『蜘蛛の糸』『羅生門』感想文

『蜘蛛の糸』文章が美しいです。今回再読してみてまずそのように感じました。著者は語り手の作為的な「匂い」がしないように綴っていると思います。御釈迦様は「ぶらぶら御歩きになって」いたり、気まぐれ(偶然)に罪人の「犍陀多」を地獄から助けようとしています。天国へと至る“道”は、「偶然の力」が大きくて、上の描写は「それ」を表現しているのでしょう。社会では、この物語のような“救い”はほぼ無いと思います(いわゆ

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宮沢賢治『やまなし』感想文

宮沢賢治『やまなし』感想文

僕は小学校高学年の時に授業でこの作品を習いました。今回読み返して、絶妙な時期にこの作品を習っていたのだと思いました。幼年期の子どもたちは、「現実」と「非現実」の区別がつきにくいと思います。しかし、「現実」の割合が多くなり「非現実」の領域が少なくなっていくのが、小学校高学年の年頃のこどもたちだと思います。『やまなし』は、「現実」と「非現実」が交差しますが、「非現実」の割合が大きい作品だと思います。「

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