見出し画像

アーミッシュ 宗教とくらし

彼らの存在を知ったのは三十年程前 田舎で昔ながらの暮らしを続ける人々
その村のお店では 彼らが育てた野菜や手づくりのおやつを置いているのと
米国に住んでいた人がうれしそうに話すのを聞いて 毎日黒い服を纏うのは
気が滅入らないのかなと不思議だった 新鮮なにおい 活気に満ちる市場
おばあたちが拵えたこっぱ餅や野菜を置く道端の ひっそりとちいさな場所

<Amish とは>
・宗教改革(The Reformation、16~17cにおけるローマ・カトリック教会に対する改革運動)を契機に起こった信仰による共同体。欧州での宗教的迫害から逃れようと、1720年代にAmishが最初に入植したペンシルベニア州(Lancaster County, Pennsylvania)をはじめ、オハイオ州(Ohio)、インディアナ州(Indiana)に多く、20万人のAmishが全米20州以上及びカナダ・オンタリオ州に暮らしている。
・彼らのくらしの基本には聖書がある。テクノロジーと距離を置く背景には、聖書のこの一節がある。”Be not conformed to this world, but be transformed by the renewing of your mind that ye may prove what is that good and acceptable and perfect will of God.“ (Romans 12:2/ローマ人への手紙)(この世に同調すること勿れ。神の御心は何か、善い行いとは。あたらしい自分になりなさい)
・Amishは普段裸足で生活しているそう(畑、往来)。Amishの本にも長閑な農道を列をなし裸足で歩いてゆく写真が載っている。村を訪れたのは冬だが、男女ともに薄着の印象を受けた。日頃の肉体の動かし方が違うからであろう。
・Amishと一言では括れず、教会ごとに不文律がある。共通するのはhumility, humble, modesty(謙虚さ、慎み深さ)という価値観。

<特徴>
・平和主義(軍隊に参加しない)
・トリリンガル(歴史的背景)
・大家族(子どもの数が多い。日常生活は家族、コミュニティの皆で回すものという考え方が基本にあるからか。幼いころから馬をはじめ生きものたちと暮らし、家族のなかでの役割をもつ)
・政教分離 政府からの支援を受けることをしない(現代社会との隔絶、世俗的でない暮らしを求める)
バギー(馬車)で移動する
・農耕や牧畜で生計を立てている 電気を使わない大工、家具作り、屋根修理など 女性はアルコールをおかない飲食店や縫製業など
・Amish Schoolで、13歳までの子どもたちが一教室でいっしょに学ぶ(高等教育へは進まない 世俗的価値観とは距離を置く)
・大きな家(迫害の歴史から各家庭の持ち回りで礼拝を行ってきた)電線
・Amishの写真を撮ってはいけない(偶像崇拝)

<言語>
・家庭:Pennsylvania Dutch(アーミッシュ語;ドイツ語方言)
・礼拝(教会):High German(ドイツ語)
・学校:English(パイなど物販のためのビジネス言語として)
上記3言語を習得し、場面に応じて使い分ける ちなみにAmishは非Amishのアメリカ人のことをEnglish(英語を話す人)と呼ぶ

<衣服> 写真で見るアーミッシュのくらし
・自分たちで縫ったワンピースにエプロンが日常着であり、服はお店で買うものではない(世俗から離れる) 
・周囲に溶け込むことが大切(注意を引きたくない) ゆえに装飾的役割を持つレースやボタンは使わず、留める用途にはフックを用いる お化粧をしたり、ネオンカラーのような明るい色を身につけることもない
・Amishの男性は、結婚後はあごひげをたくわえる そして、Amish男性は決して口ひげを生やさない(軍隊を連想させるため)

<電気> 
・Amishはelectricityを使わない 家に電気を引いていないので、絡まり合う電線のないこざっぱりとした風景 電話を持たず、Wi-Fiも通っていない(村での通信状況は「緊急速報のみ」利用可) 彼らとの連絡手段は手紙か対面に限られる

<台所、水まわり>
・昔の米国の家庭でよく見られたワークトップ(キッチンの抽斗の上に設けられたパンを捏ねたりするステンレスや木製の作業台 粉が飛ばないよう少し縁が立ち上がっているものも)を今も使っている
・入浴は、大たらいに湯を張り、小さな子から順に湯浴みをする
・トイレはボットン便所(汲み取り式) 母屋と別棟なので冬季は完全に凍えそう
・旅をする際は、飛行機は使わず陸路で移動する 車(ドライバーを頼む)か鉄道を利用

<その他>
(医療保障)
・Amishは現代社会とは距離を取りたいと考えているため、保険への加入はない。コミュニティの寄り合い制度、困ったときに支え合うムラ内の互助組織が機能している。
・救急車やドクターヘリの使用もないため、緊急の処置を要する場合、最寄りの医療機関までライドを依頼する(Mennonite(メノー派教徒。車に乗り、Amishほど厳しくない戒律のもと暮らす)タクシー。そのため、Amishも万一に備え一定額の現金を必要とする)
・伝統医療のAmish doctorが存在する(中南米のハーブ使いのよう)。リンパの流れ促進、咳止めや婦人系の不調などを軽減するため精油を調合。
(風景)
・家の周りのサトウカエデの木には、袋が下がっている。メープルシロップ採取のため(sugaring) 商店のメープル瓶には”Roadside Maple Syrup”の文字
(掟)
・コミュニティを一度脱すると、戻ってくることは許されない(秩序の維持)。車を運転することを望んだり、規律の厳しさから脱するためAmishであることをやめる人も一定数いる。しかし、厳しい掟により家族が再会することは困難。家族が助け合い支え合う暮らし方ゆえ、残された家族は失った労働力を補うべく負担が増す。
(学校)
・トイレは校舎の外に男女別に設けられている。雨降りの日は大変そう(米国の学生や大人は英国同様雨が降ってもフードを被るだけという人も多いが)ちなみに米国の教育システムは日本とは異なり、州毎の裁量が大きい
(墓地)
・カナダの墓地で、その限られた色彩のうつくしさに感動したことを思い出した Amish墓地には小さな墓石が並ぶ 簡素さは死後にも

・移民社会米国 さまざまな民族や先住民とが入り混じる国家ゆえ、親族のルーツからAmishに親近感をおぼえる人も少なくないよう(Native Americanの部族との比較等)→ナバホ絵本

モンゴル
馬とともに大草原に生きてきた遊牧民。馬や牛、羊を飼い、乳製品を作る。民族衣装デール(乗馬時の足捌きがよいつくり)

ラオス
北部のレンテン族が暮らす村では、綿を紡ぎ、藍に染め、織り上げて衣服を作る。女性は濃い藍色、男性は薄藍に染める。男女共に単色のパンツスタイル(サルエル型。タイパンツのよう腰回りに縫い留めけられた紐を締めて履く)。外国人向けに水色と白色の縞に染められたパンツを履くと、男性の色を着た女性、と戸惑われる。手縫いで仕上げられる衣服のうつくしさと頑丈さ。また、夕方には近くの川へ向かい、水を浴びる。仏教徒が多いラオスでは珍しい精霊信仰の村(ラオスには50以上とも言われる少数民族が暮らしており、自然なライフスタイルはレンテン族に限らない)

・奄美群島・琉球列島
藍・泥染め(シャリンバイ)、大島紬(染織り)、芭蕉布

参考:Amish家族と多くの時間を共にしてきた米国の友の解説に多くを依る
・Anabaptist(再洗礼派)
・お邪魔させてもらったのは、The Old Order Amish(旧秩序アーミッシュ)のご家庭。Amishの中でも非常に保守的と言われる。Amishのコミュニティの多くは観光客を受け入れているが、ここはそうではない。
・Amishのくらしの簡素さは、いきいきと好奇心に満ちた表情を生む。情報の少なさは余裕をうみ、日々の満足度を上げる。数十年に亘るAmishへの黒色イメージは覆され、鮮やかで満ち足りたカラフルな世界を垣間見させてもらった。
Amish村で(オフグリッド・ライフ) https://note.com/indigorhu/n/n9605bebf6153
Amish村で(商店、馬車)https://note.com/indigorhu/n/n68db3ab05a95

Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛