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プロスペクト理論。あなたは損失に敏感に反応する生き物。じゃぁどうすればいい?

8月に大きな暴落がありましたね。
皆さんの多くは、初めての大暴落だったかもしれません。

その後、少しずつ回復しつつある今こそ、冷静さを取り戻すために「プロスペクト理論」について書きたいと思います。なぜそこまで、人は理性を失って売ってしまうのか?

この理論を理解することで、資産運用における心理的な落とし穴を回避できます。直近5年間のリターンが良すぎたために、人間の心理が邪魔をして、損切に走ってしまうカラクリと、それに対応する「考え方」を書きます。

私たちがどうしてリスクを誤解しやすいか、そしてその結果としてどんな行動をとりがちなのかを説明してくれる強力な武器となると幸いです。



プロスペクト理論とは?

「プロスペクト理論」って聞いたことありますか?
ちょっと小難しい響きですよね…

📌プロスペクト理論とは📌

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが提唱した理論。この理論は、私たちが得をするか、損をするかを判断するときにどのような心理的傾向が働くのかを示しています。

具体的な例として、皆さんにクイズを出しますね。

AかBどちらかを選ぶとしたら、
どっちを選びますか?

A: 100万円を絶対にもらえる
B: コインを投げて表が出たら200万円、裏が出たら0円

一方で、お金をもらえるのではなく
取られちゃう選択肢だったらどうでしょう?

C: 100万円を絶対に失う
D: コインを投げて表が出たら0円、裏が出たら200万円を失う


AもBも”期待値”(という数学的概念)でいうと同じ、プラス100万円です。
そしてもCもDも同じ。期待値はマイナス100万円です。
なので、確率的にはAを選ぼうがBを選ぼうが同じはずなんです。


ただ、私たちは心の通った人間。
実は、多くの人はAを選びます
これは「確実に得をしたい」という心理が働いているためです。

次に、損失を伴う場合を考えてみましょう。

この場合、Dを選ぶ人が多くなります。
ここでは「損失を回避したい」という心理が強く影響しています。このように、同じ金額の得失が絡む選択でも、人間は得る時と失う時でまったく異なる行動をとりがちなのです。

面白いですよね。
「得」と「損」に対して、心理的に違った働きをするのが、私たち人間ということ。




私たちの資産形成における示唆

さて、なんでこんなことを話しているのでしょうか?

このプロスペクト理論が示唆するのは、私たちが冷静さを失いやすいということです。特に相場が大きく動くとき、私たちはつい焦ってしまい、理にかなった判断ができなくなります。本来ならば「相場は読めない」と割り切り、長期的な計画に従って冷静に行動すべきなのに、どうしても短期的な動きに一喜一憂してしまう。

もっというと、「人はもらえると思っていたものがもらえなくなると、大きな心理的ダメージを受ける」。
プラスで得している場合は、リスクをあまりとらずオルカン等にいれて様子見。
マイナスで損している時は、狂ったように理性を失う。+

まさにプロスペクト理論で説明できる人間の弱さです。




始めた時のリターン予測を思い出して

皆さん、株式投資を始めた時、
どれくらいのリターンを想像していましたか?

多くの投資家は、株式で資産運用を始めたときに5~7%のリターンを予測していたはずです。これはほとんどそうだと思います。
このブログでもアンケート取った時は、3~5%が最多の回答でした。

しかし、ここ数年の異常なパフォーマンスのおかげで、+10~30%のリターンを得ている人も少なくありません。これほどのリターンがあったのは実は異常で、それが狂い始める大きなきっかけだったのです。

試しに同じグラフに、当初の”計画”をプロットしてみましょう。
年利平均+5%の線を書いてみると…

なんともみすぼらしい!笑
思わず「しょぼっ!」と声が出てしまうほどに”見えてしまう”のです。


ご存知のとおり、だからといって、それが永遠に続くとは限りません。株価なので時には上がったり下がったりするーー。もちろん暴落もある程度覚悟しているーー。

もっというと、大暴落したとしても、従来の「計画通り」または「計画以上」。




でも人間の気持ちは違う

でも、冷静な判断ができなくなってしまうーー。
理屈ではわかっていても、人間の気持ちは違うのです。

プロスペクト理論が示す通り、私たちは損失に対して非常に敏感に反応します。特に下落局面では、冷静さを保つことが難しく、「これまでのリターンは十分すぎる」と頭ではわかっていつつも、持っていたものがなくなると不安が募ります。

2018~2023年の実績データで見てみましょう。
S&P500に絞って話すと、2018年から投資を始めている場合、2023年から今年で-40%下落しても「計画通り」なんです。

ただ、1年で-40%なんてコロナショックと同じくらい
世の中大パニックの大ニュースです。
それでも資産形成では私たちの「計画通り」。

ここら辺の「気持ち」と「実態」の乖離をわかっておくだけでも、大きな前進ではないでしょうか。

📝プロスペクト理論と資産形成📝

例えば、元本100万円が130万円になった後、110万円に下がると、大きな損をしたように感じてしまう。
しかし、冷静に考えれば、110万円でも十分に利益が出ているのです。

違うシミュレーションも観てみましょう。
もし純粋に100万→110万になると、普通に嬉しい。
同じ+10万なのに、ストレスなく喜べるでしょう。

「過去にもっていた資産」と比べるのではなく、「もともとの計画」と比べることが重要ということですね!




じゃぁどうすればいい?

どうしても人間は感情的に動くものです。

じゃぁどうすればいいか?
簡単です。

当初の計画に振り返るのです。
そこと比べてどうなのか?
ピーク時と比べるとどれも「損失」となってしまい、心理的によくありません。投資に関する自分の軸を持つことが大事ということが学べました。

8月上旬、私たちの資産も一気に減りました。
ただ計画通りに進んでいたので、よしとしました。
ストレスはもちろんありましたが。




🏃‍♂️ 行動に移そう

皆さんいかがだったでしょうか。
「人間の心理」と「数字の実態」のギャップがあること
少し体感頂けたでしょうか?

これからの市場がどう動くかは誰にもわかりません。しかし、投資において最も重要なのは、自分の当初の計画に基づいて行動することです。これは「買ったら売らない」という投資方針なのか、「年利+5%であればグッド!」という予測値なのか。

今の資産額がピーク時と比べてどうかを気にするのではなく、当初の計画と比べるようにしましょう。それが、長期的に見て成功するための鍵です。



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