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村山籌子童話集『ママのおはなし』とママの読み聞かせ

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実家に帰ってきている。

夜、子供が珍しく本の読み聞かせをしてほしいと言ってきた。

幼児の頃は毎日寝る前に絵本や童話の読み聞かせをしていたし、子供が生まれてから久しぶりに童話を書いたり絵本を描いたりを再開したのは、自分の作品を子供に読んでもらいたいと思ったからだった。

それが今や寝る前の絵本はすっかりYouTubeに取って代わられ、私が書いた作品を賞の応募前に試しに聞いてもらおうと思っても、「で、あとどのくらい?」と塩対応だ😂

そんな子供が読んでほしいと手にしていたのは、実家の本棚にある色褪せたボロボロの童話集、村山籌子(かずこ)さん作の『ママのおはなし』。

おそらく、私が生まれる前から家にあったと思われるその本を、私も物心ついた時からよく読んでいた記憶がある。

そして実家に帰るたびに、幼少期の子供にもよく読み聞かせていたのだった。

短いかわいいお話がたくさん収録されていて、主人公はこぐま、おねこさん、あひるさん、フライパン、おなべ、にんじんなど。人間は一切出てこない。

調べたところ、『ママのおはなし』は戦前の幼年雑誌『子供之友』で発表された童話をまとめたもので、童心社から1966年に初版が出ている。
本の挿絵は、画家でもあった夫の村山知義さん。

古いお話であるため、現代では注釈が必要な表現などもあるのだが(例えば、1円のお礼を差し上げますと書いてあるけど、今のいくらぐらいなんだろう?など)、それらも含めて、そこはかとない上品さを感じさせる文章がとても魅力的だ。

ラックスという名前の石けんが出てくるなど(ラックススーパーリッチのラックスだよね!?)、お話の内容も当時としてはかなり“ハイカラ“だったのではないかと推察する。

私も子供も大好きなお話のひとつ『川へおちたたまねぎさん』。

じゃがいもホテルにたまねぎ紳士が訪ねてきて、今晩泊めてくれませんかとお願いするのだが、あいにくホテルは満室。

じゃがいもさんは、地下室でも良ければと、普段客室として使用していない部屋にたまねぎ紳士を案内する。

暗闇の中、たまねぎ紳士がベッドだと思って倒れ込んだのは、なんと機械仕掛けの野菜の皮捨て機で、たまねぎ紳士は外の川にポイっと投げ出されてしまう。

翌朝、何も知らないじゃがいもさんが銀のお盆にパンと紅茶をのせて地下室を訪れるが、たまねぎ紳士は行方不明で…!?

ポイっと投げ出されるたまねぎ紳士


というのが簡単なあらすじなのだが(ユニーク!)、私も子供も、じゃがいもさんが銀のお盆にパンと紅茶をのせて地下室に運ぶシーン、ここが共通の大好物描写なのだ。

タキシードを着たじゃがいもさんが、恭(うやうや)しくそれを運ぶ姿が思い浮かぶし、パンと紅茶がおいしそう。

このシーンが出てくると、「ここ、ここね」と確認し合ってふふっと笑う。

じゃがいもさん

もう読み聞かせなどしてもらわなくても自分で本を読める子供だが、たぶんこのシーンで一緒にふふって笑いたかったのかもしれない。
子供よ、まだまだ子供だな。かわいいぜ。

そして、実家にはもう1人読み聞かせしてくる人がいた。
私のママよ、自分がiPadで見てるネットニュース、ひとつひとつ“子供“に読み聞かせてこなくていいんだぜ。

母親、読んでるもの全部読み聞かせてきがち。はい、これぞ実家…。


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残念ながら『ママのおはなし』は絶版のようです。Amazonで“川へ落ちたたまねぎさん”と調べたところ、最初にこれが出てきました。お得そうではあります。



収録作品のいくつかは読めるようです。現在中古であれば入手可能です。


こちらは新品もあるようです


童心社さん、『ママのおはなし』どうかどうか再販していただけないでしょうか😭!!

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