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ゼロから音楽メディアをつくったら、1年後どうなった?②

こんにちは。インスタで柴犬を見すぎて、おすすめ投稿がほぼ柴犬で埋めつくされている株式会社ヂラフ代表の三橋(ミツハシ)です。

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※犬猫に紛れてなぜかおすすめされるバチェロレッテ出演の當間ローズくん。


先日はじめて投稿したnoteを「編集部のおすすめ」に選んでいただき、いきなり100以上のスキをいただくことができて光栄です。読んでくださったみなさん、ありがとうございます。noteはホント、ユーザーのモチベーションを高めるのが上手。現在、音楽に携わる人向けのオンラインサービスを開発しているのですが、noteのUXから勉強させていただくことはとても多いです。

さて、前回は、弊社が運営している音楽発掘ウェブマガジン『ヂラフマガジン』が生まれた背景についてお話しさせていただいたのですが…。あのあとTwitterで、「つくり手の思いが伝わると、読む側も丁寧に読もうと思える」というコメントをいただき、心が温かくなりました。

つくり手の思いを込める。これはメディア運営を始めるうえで、わたしがいちばん大切にしたかったことです。

誰かの大切な音楽が、ほかの誰かの大切な音楽になるかもしれない

ヂラフマガジンは現在、常時5〜6名のヂラフライターさんに記事を執筆していただいています。年齢は20〜40代、フリーライターのかたもいればライター未経験だったかたまでキャリアはさまざま。サイトオープン前にクラウドソーシングで応募いただき、現在も継続してくださっているライターさんのほか、紹介やスカウトでジョインしていただいたライターさんもいます。

全員に共通しているのは「音楽が心底好きであること」、そして「その音楽愛を自分のことばでアツく綴ってくれること」。

マガジンを始めようと思ったとき、前回お話ししたようにコンセプトこそ超絶ふわっとしていましたが、明確に決めていたことが2つだけありました。

1つは、ライターが自分の推したい音楽を紹介するメディアにすること。
もう1つは、すべて署名記事にして、ライタープロフィールを掲載すること。

ニュースリリースや流行りの音楽を取りあげれば、PVは集めやすいかもしれません。でもそれは既存の大手メディアにお任せすべきことであって、弱小メディアが価値提供していく手段ではない。そもそも、わたしのメディア運営の目的は収益化よりも「自分のブランドをつくること」だったので、大多数に受けることより、自分の納得のいく方法でコアなファンを地道に増やしていくことを重視したかったのです。

世の中には、みんなが知っている音楽ではないかもしれないけれど、誰かにとっての「かけがえのない音楽」がたくさん存在しています。それは楽曲だったり、楽曲のなかの一部のメロディや歌詞だったり、あのアーティストのあのライブで目にした一瞬の光景だったり、憧れのフレーズをはじめて奏でたときの高揚感だったり…。

そうした、誰かにとっての「かけがえのない音楽」を知ることに純粋に興味があったし、自分が胸に秘めてきた「かけがえのない音楽」をみんなに紹介したいという気持ちもありました。誰かの大切な音楽が、ほかの誰かの大切な音楽になることもあるかもしれない。そのきっかけを提供できたら、メディアとしてどんなに素敵だろう、と。

いまはYouTubeでもサブスクでも、高度なアルゴリズムで自分に合ったおすすめ曲が自動的に流れてくる時代です。そういう出会いももちろん素晴らしい。ただ、感性の似ている友だちからグッときた音楽を教えてもらうような、そんな感覚で読んでいただけるメディアをつくることができれば、いまの時代だからこその価値を提供できるのではないかと考えました。

となれば、「誰がその記事を書いたか」、つまり署名記事であることがとても重要。ライターの知名度や実績は関係なく、どんなバックグラウンドの人がその音楽をおすすめしているかがわかることで、記事にストーリーが生まれて共感度がより高まると思うからです。いずれ、「このライターさんがすすめる音楽なら聴いてみようかな」と思っていただけるくらいに、ヂラフライターさん一人ひとりをブランディングできたらいいなぁ。そんな思いを抱きながら、2019年10月1日、ヂラフマガジンは走り出しました。

アジカン・ゴッチがくれたビギナーズラック

最初に予想外の事態が起こったのは、オープンから10日ほど経ったころ。

現在は、各ライターが発掘した魅力的なインディーズ&アマチュアアーティストの紹介記事やインタビュー記事、ライブレポート、新しいイベントやコンテンツの紹介記事など、アーティスト本人や関係者に承諾を得た記事を中心に掲載しています。でも当初は、なんの実績もないメディアへ出演依頼をする度胸もツテもなかったので、ライターさんの好きなアーティストや楽曲に関するコラム的な記事をお願いしていました。

そのうちの1本、『未来を見据えて今を歌う人、アジカン・後藤正文のこれまでとこれから』という記事をゴッチご本人が見つけてくださり、記事の告知ツイートを「あざっす!」というコメントとともにRTしてくれたのです。

当時、ヂラフマガジンのTwitterのフォロワーは数十人くらいだったのに、ツイートのいいねはあっという間に400近くまで到達。Googleアナリティクスの設置ミスでそのときのアクセス数を測定できていなかったことが痛恨の極みですが…汗、プロモーションもとくにせずヌルッとオープンしたメディアにしては、奇跡的な数字が計上されていたのではないかと思います。

その後、ほかのアーティストからもご本人RTやフォローをちょくちょくいただけるようになり、徐々にではありますがアクセス数も増えていきました。

「自分のため」は、いつしか「誰かのため」になる

立ち上げ期の救いになったのは、わたしがひとりで始めた無名弱小メディアにもかかわらず、ヂラフマガジンにコミットしてくれるライターさんが何人かいたこと。アーティストインタビューやライブレポートを掲載するようになったきっかけも、ライターさんからの提案でした。

「あるバンドから取材の問い合わせを受けたので、ライブを取材させてほしい」「気になるアーティストがいるのでインタビューしてみたい」など、積極的に提案してくださるようになり、オープンから1か月後には取材記事を掲載できるように。そこから数珠つなぎで、さまざまなアーティストやイベントの取材機会をいただけるようになりました。

その年の年末、ライターさんたちからいただいたメールはいまでも忘れません。

「ライター経験もほとんどなかったのに、見つけてくださってありがとうございます」「ずっと敬愛してきたアーティストに自分の記事を読んでもらえるなんて。今年は忘れられない年になりました」「ライターの仕事をするようになって、はじめてやりがいを感じることができました」「ヂラフマガジンは大好きな場所です」…

いやいや、お礼を言いたいのはわたしのほうなのに。
ひとりで構想を練っていたころには想像もしていなかった形でヂラフマガジンが育ち始めているのは、紛れもなくみなさんのおかげなのに。

「大好きな音楽で自分のブランドをつくりたい」
その一心で突っ走ってきたはずが、まさか、誰かの喜びややりがいに微力ながら寄与することができていたなんて。思いがけないギフトに、涙ぐんでしまいました。


…なんだか話したいことがありすぎて、全然進まなくてごめんなさい(笑)。
続きはまた次回に。
ここまで長文を読んでいただき、ありがとうございました。


🦒音楽発掘ウェブマガジン『ヂラフマガジン』
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(カバー撮影・髙田みづほ)




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