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プロモデラーの師匠と情けない俺の話 第十話~模型に対する考え方~

部屋の片付けをしていたらずっと無くしていたものが見つかった。師匠に教えてもらった模型製作の基礎をメモしたノートである。今読んでみると忘れていることもあった。師匠の模型に対する考え方をメモとして残していた。師匠の模型に対する考え方を紹介するので少しでも参考になればと思う。

ガンダムなど空想SFロボットも突き詰めて考えると工業製品と同じで、例えるなら現実世界の重機や戦車などと同じと考える。人型の機械の縮小模型という考え方で師匠はスケールモデルと同じ感覚を持っていた。顔や手足など基本的には左右対称で面や線がきっちり揃っている。角の部分なんかは、尖っているのではなく少しだけ丸みを帯びている。模型は小さいから尖って見えるが現実の車や重機の角は尖ってはいないのだ。工業製品の縮小模型を作るという考え方を持つと面出しなど下地処理に妥協できないのだと言っていた。

スーパーロボットアニメなどは作画の問題もあるが空想上のものは現実的に考えたらありえない動きなどをしていたり左右非対称になったり見え方や形がおかしかったりする。アニメの見え方の感じやイメージだけで作るとパキッとしたリアリティのあるものが作れないのだという。当時聞いたときはそんな考え方があるんだと衝撃を受けた。

師匠の作るものは説明書やパッケージ写真になるものだから余計なものはなく一見シンプルに塗装してあるだけに見えるが他とは一線を画した美しさがあった。その表現の難しい何とも言えない美しさの秘密は妥協なき職人の考え方に基づく表面の下処理にあったのだと思う。

刀や陶器などシンプルで美しいものに通ずるものを感じた。


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