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【ライフハック】退職後の競業避止義務契約【職業選択の自由】

経営戦略コンサルタントのちょーすです。

転職時において、これまでの経験やスキルを活かすには同業他社が1番良いかと思います。

しかし、これまでの勤務先と競業避止義務契約を締結してしまっている場合には注意が必要です。

競業避止義務

在職中の競業行為が認められないことは労働契約法第3条第4項にありますが、退職後においても競業避止義務を課す会社もあります。

労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない

労働契約法第3条第4項

しかし、これをそのまま受け取ると日本国憲法に規定される「職業選択の自由」を侵害していると言えます。

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

日本国憲法第22条第1項

そのため、憲法の内容を侵害しないように、労働契約法が施行されています。

そもそも競業避止義務契約は企業側の営業秘密等の守るべき利益があり、その利益に関係していた特定の従業員が対象となる法律です。

そのため、その営業秘密に触れていない従業員は対象とはならないですし、その秘密を洩らしたとて、企業に損害が無ければ特段問題にならない可能性が高いです。

競業避止義務契約の有効性判断

経済産業省から競業避止義務契約の有効性に係る報告書が公開されています。

これは「人材を通じた技術流出に関する調査研究」でとりまとめられたもので、競業避止義務契約のみならず退職金や年金の支給制限についても、判例をもとに分析・検討が行われています。

  1. 守るべき企業の利益があるか

  2. 従業員の地位

  3. 地域的な限定があるか

  4. 競業避止義務の存続期間

  5. 禁止される競業行為の範囲について必要な制限があるか

  6. 代償措置が講じられているか

競業避止義務存続期間

競業避止義務の存続する期間についても、形式的に何年以内であれば認められるという訳ではなく、またそれを会社側も敢えて明記していないケースが多いです。

従業員等の不利益の程度を考慮した上で、業種の特徴や会社の守るべき利益を保護する手段としての合理性等が判断されます。

過去の判例的には概ね、 退職後1年以内の期間であれば有効とされるようで、2年以上は否定的に判断されているケースが多いようす。

競業避止義務のトラブルを回避するためには、在籍した企業との誓約書を見直すことが必要です。

もし競業避止義務や秘密保持義務が記載されており、そこに署名を行っている場合、その禁止事項に従わなければならなくなります。

退職の際の誓約書に、競業禁止条項ともに競業禁止に違反した場合は違約金として、直近の給与6か月分相当額を支払う旨の違約金条項を定めている場合もあるようなので、注意が必要です。

まとめ

これまでの経験やスキルをベースに考えると同業他社が良いのですが、新たな経験やスキルは身に付きません。

一方で、他業界へは未経験者となるので、ゼロからのスタートとなる一方、その業界についての知識・経験が得られると、これまでの経験と掛け合わさって、あなた自身が唯一無二の存在になることは間違いないです。

私も過去勤務していた会社を退職する際に、誓約書という名目の競業避止義務契約を締結していました。

私は現在の本業は別業界なので、直接的には関係ないと思っていましたが、兼業や副業もこれに規制されるのは困ります。

幸いにして、「競業避止義務期間」「禁止行為の範囲」の指定が無く、「代償措置」についても該当するものがないため、約1年間の競業避止義務契約の期間を終え、晴れて自由の身となりました。

もしこれから退職して、同業他社へ転職をする方や同業種で独立起業される方については、是非、この競業避止義務契約の確認を事前にしておくことをオススメします。

また企業側へは以下のポイントは以下にまとめてあります。

競業避止義務契約締結に際して最初に考慮すべきポイント

  • 企業側に営業秘密等の守るべき利益が存在する。

  • 上記守るべき利益に関係していた業務を行っていた従業員等特定の者が対象。

競業避止義務契約の有効性が認められる可能性が高い規定のポイント

  • 競業避止義務期間が1年以内となっている。

  • 禁止行為の範囲につき、業務内容や職種等によって限定を行っている。

  • 代償措置(高額な賃金など「みなし代償措置」といえるものを含む)が設定されている。

有効性が認められない可能性が高い規定のポイント

  • 業務内容等から競業避止義務が不要である従業員と契約している。

  • 職業選択の自由を阻害するような広汎な地理的制限をかけている。

  • 競業避止義務期間が2年超となっている。

  • 禁止行為の範囲が、一般的・抽象的な文言となっている。

  • 代償措置が設定されていない。

労働法との関係におけるポイント

  • 就業規則に規定する場合については、個別契約による場合がある旨を規定しておく。

  • 当該就業規則について、入社時の「就業規則を遵守します」等といった誓約書を通じて従業員の包括同意を得るとともに、十分な周知を行う。