私と仕事どっちが大事なの?
「私と仕事どっちが大事なの?」と聞かれ黙っていたら彼女は「もういい!」と言って出て行ってしまった。おそらく、私のことをもっと大事にして欲しい、優先して欲しい、ということなのだろうが仕事も大事だし無いと生活していくのが難しい。どっちも大事だと伝えれば良かったのだろうか、連絡を入れてみたが返事は無い。お手上げだ。すぐに追いかければ良かった。
僕は彼女を失いたくない。この感情に嘘は無い。日頃の愛情表現が足りなかったのだろうか。
女はよく「口に出して言ってくれないと分からない」というが、確かにそうだ。いや、これに男女は関係無かった。僕も口に出して貰えないと何も分からない。
もう一度連絡をしてみる。「何?」と冷たい答えが返ってきた。
「僕は仕事も大事だけど君の事も大事だから失いたくない」
「何それ?そんな勿体ないから捨てられないみたいな言い方」
そう来たか、正直なところ否定は出来ない。
「良いから帰って来てよ、お願いだ」
「私のこと本当に好きなの?」
本当に好きか、本当に、とはこれまた難儀な言い方をする。彼女のこうゆう所は苦手だが一緒に居る時間は居心地がいいし、この時間が続いて欲しいだけだ。
段々と話している内にめんどうになってしまった。
「別れたいなら別れて良いけど、ただ一緒に居たいだけだよ。それじゃ駄目?」
人は利害関係が一致して初めて傍に居続けられる。彼女は納得したのかしてないのか分からないけれど黙って手を引かれて帰ってきた。
その晩は彼女に深く深く一緒に居たいのだと示してみせた。
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