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千年後の海

海水が地球を覆う様になって何千年経つんだろう、そんな事を考えていても仕方ない。

「今日も木材集めと釣りの日々か」

海へ潜り、破片を拾い集める。

「これは、コンクリート、こっちもコンクリートまぁこんなものか」

海の中は落ち着くけれどずっとは居られない、人とすれ違っても素通りするだけだ。アイツらは喰っても不味い。あとは、今日の収穫は…あれ今日は何日だっけ。暑いということは分かるが、石を動かさないと忘れてしまう。

「あっ、いけね。昨日石を動かしていないんだった」

水のタンクは充分にある。と言っても自分の分だけだ。

「俺もペアを組んだ方が良いのかな」

その方が効率的なことは分かるが、どうにも億劫でする気にならない。する気にはならないけれどやらないと効率が悪い。徒党を組んだ方が効率がいい。だけど徒党を組むと疲れる。一人でいた方がマシだ。マシだ。マシだ。マシになりたいのだけれど、マシになりようがない、私は一人が好きだ。一人が好きだから、世界が海水で覆われても一人でいる。

寧ろ一人になってせいせいしている。人間なんて大嫌い

「なっ、そうだよな」

自分の声を出してみる。良かったちゃんと私の声だ。私の声が聞こえている。ちゃんと聞こえている。

そうだ

「私はここに居る」

段々と自分のことがよく分からなくなってきたけれど私はここに居る。

「お腹が空いたなあ」

モリでついた魚を捌く。刺身は美味しい。と言っても今ここに醤油はない。だから正直味はあまりしない。

あまりしないけれど、塩を刺身にパラパラとかけて食べると案外美味しい。海と刺身の絶妙なハーモニーが意外と美味しい。

「美味しいなぁ」

  • シーンとしている。あぁ、美味しいともとても美味しいともさ。美味しいけれどこうゆうのは誰かと一緒に食べた方がおいしいと知っているからこそ孤独から抜け出したい。

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