「ハーメルンの笛吹は黒い羊の夢を見たか」
幼稚園児らしき集団がスイミングスクールの黄色いバスに吸い込まれていく。
「なんだかハーメルンの笛吹を思い出すなあ」なんて、ぼんやりと見ていたら、斜め前のコンビニエンスストアからいかにも目がイってしまった男が憑りつかれたようにそのバスへ歩み寄っていった。
思うよりも先に動いていた。
何となく黄色いバスに近づけてはいけない気がして、何となくで歩み寄ったら、向こうは小さな銀色の刃物を右手に持っていた。そこから先は正直あまり記憶になくて、視界が赤くなって、急速にフェイドアウトし