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 「She’s enjoying the fantasy 」第2話

”妹“は言った。

「それでお姉ちゃんが自決したら、私のシナリオは全て完璧になるの!言ったでしょう?お姉ちゃん、私に。”貴方のためならなんでもできる“って、だから私のために死んでくれるよね?できるよね?その為に全て準備したの!ここに入れるようにする為、しょぼい男を落として、侵入セキュリティーから、暗証番号、そして銃を入手するのにもね?簡単だったわ笑
残念だけど、彼には1番最初に死んでもらったけど…だって全部知ってるんだもん、私が仕組んだ事も!だからね?そしてここに侵入してから殺すまでの映像やら証拠は全部お姉ちゃんにすり替わってるよ?その技術は勉強して手に入れたわ!褒めてくれる?ふふっ!私もやればできるのね!勿論、今後のことは心配しないで!貴方の旦那様は私の虜なの…きっと再婚するなら私ね?うふふ。お姉ちゃんが研究に没頭してくれたおかげで私はお姉ちゃんの旦那さんと一緒にすごしてたわ!よく夜いなかった時は私が一緒にいてあげたの!うふふっ、なんでもシェアだね。」



…”妹“は嬉々として悍ましい事を口にしているのに、まるで楽しい話をしているかのような口調だった…

目の前が真っ暗になった。



…私の可愛い日本人の”妹“



私達はステップファミリーである。
私の両親はアメリカ人で私はブルーの目に、金髪という所謂「白人」である。父親と母親はソリが合わず結局離婚してしまい、私は父親と共に生きることにした。…母親は何となく「姫タイプ」なので、私をいらないだろうと思っていた。案の定喜んで私を手放した…わかっていたので特に傷つくこともなかった。

私は父親に少しでも楽をさせたくて、頑張って勉強し、日本語も学び、薬剤師の資格も得て、政府関係の仕事に就くこともできた。
父親は大喜びをし、お互い離れて暮らしても支え合っていた。


ある日、父親から「再婚を考えている…会って欲しい人がいる」と。

ずっと独り身も長かったし父親にも幸せになってほしいので、喜ばしいことだと会いに行った。


…再婚を考えている相手は、日本人でアメリカに住んでいた。娘が1人いるという。習った日本語がこんなとこで役に立つとは思っても見なかった。

可愛らしい感じのいかにも日本人という感じだった。

…娘ちゃんは、今高校生ということだ。セーラー服を着たくて日本語学校に通っていると。


…黒髪のサラサラと音が聞こえてきそうな程綺麗な髪で、笑顔はパァとその場が明るくなるような愛くるしい笑顔で、
「嬉しい!ずっとお姉ちゃんが欲しかったの!」と私にハグしてきた。

漆黒の黒目を見上げて「初めましてお姉ちゃん!」と言って笑った。
私も嬉しくなってハグを返し、「よろしくね、妹ちゃん」と日本語で言った。



…あの“妹”が…虫ケラでも見る様に私を見下している。
混濁した意識の中でそれだけは認識できた。

↓第3話


#創作大賞2023

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