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 「She’s enjoying the fantasy 」第3話

「…可愛い妹?ふざけないでよ!お姉ちゃんと家族になってから、今まで私が1番だったのに!お姉ちゃんが全部奪ったの!!私の大切なお母さんも!友達もみんな!みんな!目のブルーの金髪の優秀なお姉ちゃんに夢中になって!私をほったらかして!二の次にして!お姉ちゃんさえいなければ私は1番だったわ!誰よりも大切にされる子だったわ!大切で大事な娘だったのに!お姉ちゃんが現れた途端お母さんは私よりもお姉ちゃんを愛したわ!私よりも!実の娘よりも!そんな残酷なことある?友達も私よりもお姉ちゃんに会いたくて、お姉ちゃんのことばかり…彼氏も私よりお姉ちゃんに会いたいと!お姉ちゃん会いたさに私に会っていたの!…許せないわ!私が自分が一番じゃないと嫌なので!大切にされたいの!誰よりも!お姉ちゃんにあっさりそれを奪われたの!こんな辛い事ある?
お姉ちゃんは旦那さんもいて、金髪で目がブルーで白人だ誰よりも愛されて…優秀で新聞にも取り上げられて…“あの人の妹さん”としか呼ばれないこの上ない屈辱があって!!」


「だから考えたの?どうすればまたみんなに1番に愛されるかを…」 


“妹”は言った。
「そうだ、お姉ちゃんが極悪人で同僚を殺しまくって最後私を人質に取って、最後罪悪感にまみれて、自殺する!そうすれば私は可哀想で可愛がられるわ!また!同情を集めまくって、お姉ちゃんを愛してたのって…涙を流すの…あぁなんて素敵なの!そしてお姉ちゃんの旦那さんは私をよりそれはそれは大切に扱ってくれて、きっと結婚してくれるわ!」


…意識が朦朧とする中、“妹”は微笑みながら言った。


「ありがとう!お姉ちゃん、私の姉になってくれて!」


…あんなに可愛い妹は、いま悪魔の様な笑みを私に向けて、そして銃を持ち、私の手と共にこめかみに押し付けた。


「脳みそ吹っ飛ぶけど、セーラー服がお姉ちゃんの赤い血で染まるなんてなんて最高なの!ねぇ?残念ながらお姉ちゃんは見れないけどね、その光景…。最後にもう一度言うわ!ずっとお姉ちゃんが欲しかったの!ありがとう」



…ドンっ




…私の意識はその音で闇に溶けた…




#創作大賞2023



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