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NHKEテレ u&iの動画を用いたジェンダーバイアスワークショップ【学校訪問】

IMPRO KIDS TOKYOでは、学校訪問ワークショップを実施しています。
今回は、2021年7月に訪問した開智のぞみ小学校での訪問ワークショップについてご紹介します。

テーマ:「自分らしさ」と「相手らしさ」を大切にするには?
対象:開智のぞみ小学校5年生の皆さん
実施:2時間×3クラス

一限目『自分らしさを受け入れ合う』

ワーク①:ストーリースパイン

ルール
4人1組でお話の型を使ってお話を作るワークです。
お話の型↓

Aむかしむかし〜
B毎日毎日〜
Cところがある日〜
Dすると/そこで〜
Aすると/そこで〜  …という感じで続いていきます。

このゲームでポイントとして伝えたことは”自分らしさを受け入れ合う”ということ

アイデアを出すときに、これを出したら変だと思われるんじゃないか、つまらないと思われんじゃないかと思い検閲をかけてしまうことがたくさんあると思います。このゲームの中でもそういうタイミングが必ず起こるのですが、そういう時にとりあえず出してしまう、自分らしさを思う存分出し合ってみることができるように目指していくことが大切だと考えています


動画を使ったワーク

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使用させていただいた動画:u&i「男らしく、女らしくがいいの?」

まずは途中まで動画を見てもらいました。

「野球少年のアイ君にはヒミツがあって、カワイイものが大好きで 家でお人形をつくっている。だれにも知られず来ていたのに、放課後落としてしまい、それをクラスメイトののユウに見られてしまい、こまっている」

その上で質問をしていきます

「なんでアイ君は悩んでいると思う?」
と全体に投げかけ答えを聞いていきました
これは自分たちで一度考えたり言語化してみることで問題をより身近なものに感じてもらい、このあとの流れに入って行きやすくすることを意図していました

実際に出た答え
・野球少年なのにかわいいものをつくっているから
・男の子なのにかわいいものをみられたら嫌だから
・趣味を知られたくないから

そしてビデオの続きを見ます

「アイもユウも「男らしい」(男は普通青が好きだ。男は普通ロボットが好きだ。男は豪快な性格であるべきだ)、「女らしい」(女はピンクが好きだ。女はお人形が好きだ。女はおしとやかであるべきだ)に縛られている」

その上で次のワークに進みます


ワーク②:「〜すべき」カードゲーム

ルール
「おんな」「おとこ」「上級生」「おにいちゃん」「おねえちゃん」「おかあさん」「おとうさん」「先生」「子ども」などのカードが入った山を使い、引いたカードをを◯◯だとすると、「〇〇だから××するべき」というのを言います。またそれに対して他の人たちは「そうだー!!」と声をあげます
例)上級生だからしっかりするべき 先生だから失敗しないべき など

蓄積された偏見の存在を知ることを意図してこのワークをやりました

ポイントとして伝えたことは以下の2つです

”お芝居”としてやること
「アイやユウだったらどういうこと言うかなって考えてみてー」「こういうことを言うような人になりきって答えてみてー」など、あくまで生徒たち自身の考えとは違うことだということを強調することで、検閲を押さえながらジェンダーバイアスについて体験することができます

「そうだー!」の声がけをしっかりやること
「そうだー!」があることで、何を言っても大丈夫、という空気感を作ります。本当に「そうだー!」と思っているから言うのではなく、発言者を勇気付けるための「そうだー!」だということを生徒たちに初めに伝えました

そして動画の続きを見ました。

「世界には自分らしさをつらぬいている人もいっぱいいる。女だから、男だから、○○だからと、やりたいことをがまんしたり、がまんさせたりすることは、その人の可能性をうばってしまう。どうしたらみんなが自分らしく生きられるか考えていこう」

動画はここまでで、2限目ではワークによってこれらを深掘りしていきました


2限目 「自分らしく生きるための環境をお互いにつくる」

ここからは、自分らしく生きるための環境をお互いにつくれるようになれることを目的として、よりお芝居を使ってワークをしていきました。

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一人が”アイ役”となり、それに対して数人が関わっていきます。アイ役は始めはスタッフがやり、途中からは生徒がやりました(アイ役の代わりにユウ役を出したりもしました)
”アイらしさ”を奪う関わりと、”アイらしさ”を大事にする関わりをそれぞれやってみて、その後アイ役の人からフィードバックをもらいます。(〇〇が嬉しかった、悲しかった、気になった、うーんと感じた)

ポイントとして伝えたことは以下の2つです

”お芝居”としてやること
一つ前のワークと同じ理由です。とくにアイらしさを奪う関わりにおいて大切と考えます

発言内容だけでなく言い方や居方にも目を向けること
一言も喋らなかった子がいたとして、例えば目線の向けかただけでも十分に影響を与えるものだったりします。そこに対しても言及することで、関わりかたの幅を大きく広げることができます

フィードバックとして出たもの

嬉しかった関わり
・体を前のめりにみてくれていたのが嬉しかった
・みんなできてくれたのが嬉しかった
・「みんなでやらない?」と声をかけてくれた時嬉しかった。自分達も一緒にやろうと思っているのはみられるより心強い!
・興味を持って関わってきてくれた時嬉しかった
うーんと感じた関わり
・戻ってゴニョゴニョしてたときなど、計画してきたのかなと感じた時
・可哀想だから声をかけてあげよう感を感じた時
・後ろで笑われてるとき、男なのにってこっそり笑われてるんじゃないかと思った
・間ができた時、気を使わせてしまっているかもしれないと思った

今回のワークショップでは、ファシリテーターから率直なフィードバックをしていきました。自分の振る舞いによって相手がどう感じるかについて、フィードバックを積み重ねていくことが、相手が”相手らしく”いられるための関わり方につながっていくのだと思いました。

生徒の皆さんの感想

アンケートの回答より
・人それぞれものの価値は違う。言葉の受け入れ方も一人一人違う。
・(ジェンダーバイアスについて)今まであまり考えたことがなかったけれど、インプロを通じて「あ〜、そうだな」「考えてみよう」と向き合えて、とても楽しかったです。
・相手らしさと自分らしさについてわかった
・人の個性や可能性を「男らしくない」「女らしくない」などの言葉で傷つけられることがわかった
・ジェンダーフリーとは、具体的にどういうことをすれば良いのかあまり分かりませんでしたが、今回のインプロ(ワークショップ)でジェンダーフリーとは男女共に平等に接するということなのかな?と、少し考えられました
・ワークショップを受けた事によってクラスの人の性格を知ることができました.他にも斑で良いコミュニュケーションを取れたと思います とても楽しかったです 

スタッフの所感

〜1時間のワークと2時間のワークの違い〜
今回のように2時間のワークだと、実践に使える時間がたくさんあるので、自分の体で実感しながら学ぶことがよりやりやすくなる感覚がありました。

〜今後の学校生活につながる「共通言語」をつくる〜
今後同じ学校生活を送っていくクラスメイトと一緒にこのワークショップを受けることは、今回のワークショップで学んだことを今後生かしていく中ですごくポジティブに働くと考えます。同じ動画教材やワークをやったことによる共通認識、共通言語が存在していることにより、日常の中に存在するジェンダーバイアスに気づきやすくなったり、気づいた時に伝えやすくなるからです

改めて、一緒にワークを実施していただいた開智望小学校5年生の皆様、コンテンツを考える際にご意見をくださった野崎さんをはじめとするu&iの番組制作スタッフの皆様、本当にありがとうございました!

NHKEテレ u&iの教材はこちらからご覧になれます。今回のテーマの他にも様々な切り口のテーマが用意されていて、文字や絵を超えた具体的な状況共有あり、日常を揺さぶる問い立てあり…一歩踏み込んだ授業づくりにとってもお勧めです!

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