見出し画像

そんなふう を読んで|読書感想文

娘の初めてのことばが思い出せない。
あんなに心がほくほくしたのに、
悲しいほどにきれいに忘れてる。

写真家である川内倫子さんの
そんなふう を読んで、こんなにも忘れていくことに驚いた。
そして私がすでに忘れてきた一つ一つが
こんなにも美しいものだったんだと、少し泣いた。


書き留めなければ忘れてしまいそうなこと。

娘を産む前の気持ち、産んだ後の気持ち、
育てていく中での自分の変化、娘の変化、
取り巻く家族の変化。景色、いろいろ。

変わっていくことを楽しみ
労り、抱きしめるように。

感じたこと一粒一粒が、
大切に正直に語られていた。

はじめ、筆者が写真家であることを知らずに読み始めたのだがページをめくるごとに分かってきた。

この人の「書く」は
写真を「撮る」ことと同じなんだと。

その時の気持ち、雨の音、におい、
こぼれ落ちそうな瞬間瞬間を
シャッターを切るように書き留めてある。

添えられた写真には
いろんな光が差し込んでいて
言葉をもっと深いところに連れていってくれるような不思議な力があった。

娘との日々をもっと残しておきたい。
これがこの本の感想だ。

娘の初めての言葉はなんだろう。
ワンワンか
パパだった気がする。

はなみずが出ると
自分でティッシュを持ってくるようになったり、
バイキンマンを怖がったり
雷の音に怯えてずっと足にくっついていたり
ウィンナーのことをエビと読んだり
にこっってしてーと言うと
人差し指をほっぺにあてて顔を傾けたり
ジンベエザメが大好きだったり
ゾウさんが好きだけど、本物にあったら
大きすぎて大泣きしたり
座布団のことを"ふわふわ"と呼んでたり
野菜にぜんぶ〇〇さんをつけたり
ぎゅーしてーと言ったり
近くおいでーと言ったり
〇〇ちゃんやだよー!と言ったり
〇〇ちゃんやる!と主張が強くなったり
寝かしつけの時に黙って手を握ってきたり
牛乳こぼしちゃったーと笑ってたり。

今思い出すことだけでも書き足りない。

きっと今からでも遅くないはず。

今の私の娘へのまなざしを
未来の私に贈りたい。

大変でもう嫌だ!と叫びたくなるこの日々が
いつかきらきらの宝物になりますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?