テリー・ギリアム
エミール・クストリッツァ
ディビット・フィンチャー
ポール・トーマス・アンダーソン
ペドロ・アルモドバル
クエンティン・タランティーノ
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
ミヒャエル・ハネケ
フランシス・フォード・コッポラ

思い浮かんだ順で書きましたが、もう挙げだしたらキリがないので割愛。
お気に入りの映画監督です。

三谷幸喜
SABU
西川美和

いや、ちゃうねん。
このままだと、また映画の話になりそうだから自重&割愛!

今回は「夢」の話です。

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違和感、疑念、確信、崩壊

僕のお気に入りの映画監督のひとりクリストファー・ノーラン。
彼の《インセプション》という映画をご覧になったことはありますか?

映画としては《インタステラー》の完成度、テーマ性に「こいつ、底が知れんな」と改めて感銘を受けたわけですが(やべえよ、ちょっと気が緩むと映画の話を延々と続けてしまいそうになる)、《インセプション》も好きで何回も観ている。

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《インセプション》は、まあ、夢に潜り込む話なんだけど、夢の捉え方が、僕の認識と合致していて、それが映画で表現されていてシンパシーを感じちゃって。

僕もノーランと同じようなタイプなんだと思うと、嬉しくなるっていうか、なんていうか。

*****

僕は、結構、夢の中で「これは夢だ」と気が付いてしまうタイプ

夢の中の僕が、現実との違和感を覚えた時「これは夢なんじゃないか」と疑い始める。
疑い始めると、夢の世界は徐々に歪みだして「夢だ」と確信した時に、その世界が崩壊し始めて消えてしまう。
そして目が覚める。

違和感。
たとえば家でくつろいでいる夢なんだけど、座っているソファの質感がなんか違うなと疑い始めます。
それで、周りをよく見たらいつもの(現実の)家の間取りとちょっと違っていたり、買ったことのない本が並んでいたり、それで「ああ、これは夢だ」と確信するのです。

夢は「夢だ」と確信してから夢の世界が急速に崩壊します。
それを理解しているので、その買ったことのない本の中の見たことのない面白そうなやつを急いで手に取り「この夢が完全に消えてなくなるまでの間だけでも!」楽しもうとします。

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違和感。
たとえば自分が殺人の罪で追われているような夢。
逃げているうちに、ある疑念が。

「僕が殺人なんてできるか? いつ? 誰を? どうやって?」
「ここどこ? どうやってここに来た?」
「昨日、大丸で働いていたはずですけど」

いま起きていること以前の、細かいことが思い出せないのです。

「こりゃあ、夢だな」

疑念が確信に変わり夢が歪み始めます
夢と気づいたら逃げるのも楽しいです。
ビルの屋上からビルの屋上をびょーんと跳んで(ライク・スパイダーマン)爽快に逃げているうちに夢が終わります。

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いい夢を長く見る、悪夢を早く終わらせる

夢だと気づくことが出来れば、ある程度、夢をコントロールできます。

いい夢を見ている場合。
めっちゃ女性にモテている、という場合も残念ながら違和感に気づいてしまう。9人くらいの美女を連れて楽しく呑んでいる(ダニエル・デイ=ルイス級に《NINE》)。

「いや、そんなわけないやん」
「この人たちとどこで知り合った?」

しかし、深く追求しない。
夢の中の僕にも、たまにはいい思いをしてもらいたいから(普段、ほぼ仕事の夢を見てうなされている)、夢だと気づいていないふりをしてその場を楽しむ。
この場合、大事なのは、それまでと同じような振る舞いをすることだ。

「これは夢だな」と疑った段階で、徐々に夢は歪み始めて消えてしまう。
疑念が確信に変わると夢の崩壊が早くなります。
だから、それ以上、深く追求しない。
「確信」せずに過ごす(ふりをする)のです。
急激な変化を加えなければ、少し長い間、その夢を楽しめるので、できるだけ夢と気づいてないふりをして、夢の管理者にバレないように楽しむのだ。
残念ながら、疑念(気が付いた)段階で徐々に歪んで消えていく運命なんですがね。

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悪夢の場合。
それが夢だと気が付いたら、すぐに起きることにしています。
徐々に歪んで消えるにせよ、できるだけ早く終わらせたい。
夢の中でも不快だし、夢の中の僕が痛いとか苦しいのも可哀そうだから。

早く起きる方法は2つ。

・腹の底から大声で叫ぶ。
「あおおおお!」って。
これ意外と難しいんです、なかなか声が出ない。
そして、難点は実際に声が出ていることが多い。
これで何度か隣の部屋で眠る妻子を起こしてしまい、現実が地獄になった経験もある。
でも一番、手っ取り早い。

・夢の中で死ぬ。
殺されれば夢が終わって目が覚めるんだけど、不快な思いをしたくなくて目を覚ましたいので「自分で死ぬ」方法がいい。
勇気を振り絞ってどっかから落ちるのがいいね。
地面に激突する前に目が覚めるので痛くない、大丈夫だ(とか言って、そうじゃなかった場合責任は持てないけど)。
難点としては、落ちる場所を探さないといけないんだけど「その角を曲がったら死ぬのにちょうどいい高さと広さの明るい(暗いと怖いからね)穴がある!」って強く思えば、高確率で落ちる穴がある(創造される?)から、あとは勢いよくダイブすれば目が覚める。

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ちなみに夢の中で「起きろ、起きろー!」って自分を引っ叩いたりするのも、まあまあ効果的なんだけど、あれ、やっぱり夢の中の僕、ちょっと痛いんすよ。
だから、悪夢から早く起きるには、上記の2つ方法がオススメです。

*****

・現実と夢の違和感
・疑念を抱くと徐々に歪んでいく
・確証する為に「どうやってここに来たか」を考える
・死ぬと目が覚める
・崩れる世界、創造・構築できる世界
・二重の夢

ノーランが《インセプション》で描いた夢の世界のルールが、僕が普段体験している夢と合致していたので、ノーランとは仲良くなれそうだって話。

僕と同じような人、どれくらい、いるかしら?

おばあちゃんの夢

強烈に覚えている夢がある。
30歳の頃、確か、ちょうど姉貴の住む尾道に住み始めた頃にみた夢。

*****

僕らは久しぶりに姫路の実家に集まった。
おじいちゃん、おばあちゃん、マサル(父)、まさこ(母)、たまこ(姉)、僕が座敷に集まって鍋を囲んで談笑している。

「アツシは元気にしているのか?」

喋ろうと思った瞬間、気が付いてしまった「これは夢だ」と。
おじいちゃんもおばあちゃんも、ずいぶん前に他界している。
間取りも、現実の実家とは少し違う。

僕は、できるだけ気が付いてないふりをして、この夢を崩さないように細心の注意を払って言葉を選ぶ。

夢で大きな言動は禁物、夢の崩壊を早めてしまう。

夢だとわかっていても、むしろ、夢でしか、こうして顔をあわせてお喋りする機会なんてできないのだから、一秒でも長くこの場にいたかった。

亡くなったおじいちゃん、おばあちゃんに伝えたいことが沢山あった。
僕は、慎重に言葉を選んで話をする。
それでも少しずつ、夢が終わりに向かって歪んでいくのを感じる。

「お野菜でも足しましょうか。」

おばあちゃんが席をたって台所に向かおうとした。

お喋り好きなおじちゃんに比べて、いつも一歩後ろからついてくるといったような古風なおばあちゃん
僕は高校を卒業してすぐ東京に行ってしまい、ろくすっぽ実家に帰らず、僕が19歳の時におばあちゃんは亡くなっている。
生前、ゆっくりと会話をした記憶はない。

「僕がやるよ。」

台所に行くな。
おばあちゃんだって、残り少ないこの時間をみんなと一緒に笑って過ごしてほしい。
席を立とうとしたおばあちゃんを遮り、僕が台所に向かう。
夢の本来の流れとは違う大きな動きをしてしまった。

すると夢は大きく崩れ始める

本当の実家とは少し違う見慣れない台所へ行き、大皿にキャベツともやしを盛って、ねぎを切る。
もう、これをみんなに届けることはできないだろう。
この夢はいよいよ崩壊して消える、もう終わる。
わかるんだよ、僕は。

「そんなこともできるようになったんやねえ。」

背後からおばあちゃんの優しい声が聞こえた。
驚いた。
振り返ろうとした瞬間、目が、覚めた。

*****

号泣していた。

おばあちゃんは、僕が心配で台所までついてきてくれたのかな。
ねぎを切っただけだけど、僕の成長を見てもらえてよかった。
そんな小さな成長でも、おばあちゃんは嬉しかったのかな。

夢のおばあちゃんも、あれは夢と知っていたんじゃないかな。
夢が崩壊する前に、最後、声を掛けてくれたんじゃないかな。

きっと、ねぎのことだけじゃなくて、現在の僕のことを褒めてくれた。
なんだか、そんな気がする。

前述したが、生前、おばあちゃんとの会話は、ほとんど記憶にない。
でも、あの夢の、その一言が、現実よりも鮮烈に、僕の心に刻まれている

いつまでも自慢の孫でありたい。
そのとき、強くそう思った。
現在の僕はどうだろう、おばあちゃんは、なんて言ってくれるかな。

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敬愛する映画監督テリー・ギリアムが《未来世紀ブラジル》のメッセージのひとつとして、こんな言葉を残している。

人間は夢の中でしか現実から逃れられないのだ。

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