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「嫌われる勇気」感想① このタイトルは損しているのか、得しているのか?

このタイトルから「他人に嫌われても自分を主張しろ」という内容だと勝手に思い込んでいました。
しかし、早計でした!

それは、この本で書かれているアドラー心理学の中の一部で「嫌われる勇気」も必要という解釈があるだけだったのです。
この本、アドラー心理学が本当に言いたいことはそこだけではないことは本を最後まで読むとわかってきます。
それにしてもこのタイトルの付け方、誤解をされることもあるので損しているのか得しているのかわからないですね。
けれど、結果ベストセラーになったのだから得したということか。

さて、この本は発行は少し古く2013年に発売されたものだが、今でも売れているロングセラー作品。
なんとなくそのタイトルから興味が湧かずに読んでいなかったのですが、なんとなく読みたくなったので図書館で借りて読んみました。


結果、もっと早く読んでおけばよかったと(^^;

色んな本を今まで読んできましたが(気がする)、どれとも違い、新しい価値観に出会えた気がした。それと同時に今持っている自分の価値観に共感できるところもある非常に面白い一冊でした。

ベースになっているアルフレッド・アドラーは、フロイト、ユングと並び、「心理学の三大巨頭」と称される偉大なる人物の一人であり、哲学者の岸見一郎とライターの古賀史健氏の共著でアドラー心理学を、「哲人」(先生)と「青年」による対話篇形式で書かれています。
読むうちに出てくるであろう読者の疑問を、青年は代弁するかのように鋭く「哲人」に質問を投げかける。(先生に対する言葉としてやや乱暴な面もあるが)
この物語になっている設定がこの本のもう一つの面白さですね。

序章~第一章(第一夜)

◆世界はシンプルで誰もが幸福になれるということ。

何をどうすれば良いのか、また、どういう理論でそう言えるのかという疑問から始まります。

◆過去に起きたこと(原因)に囚われないということ。
今現在起きていることは、過去に何かしらがあったから結果として今の環境や現状があることは否定できない。しかし、そこに囚われていては変わらない。

いきなり出てくるのはこんな理論。
過去といっても人それぞれ十人十色だろうけど、トラウマさえも否定する。過去にとらわれていては現実は変わらない、普通は原因(過去)があって、現在があると考えるが、今の問題を反らすために、そのような原因を作り出してをしているといいます。
「過去に○○があったから■■になっている」ということが「原因論」であり、それでは前に進むことができず、変化することができないということ。
まず「■■になっている」ことを目的、問題とする「目的論」

例えば、起きている「感情」に対してその「感情」が起きていることが一番の事実だということが「目的論」であり、後から理由づけとして過去のことを(無意識に)くっつけているということが「原因論」だと思います。

◆「変われない」人は潜在的に「変わらない」という決心をしているから変われない。それは『いろいろと不満はあっても「このままのわたし」でいることのほうが楽であり安心だから。』

こういった言い回しは自己啓発本で聞き飽きたフレーズかもしれないが、「楽をしている」から変われないんだと言われている気がして、一瞬ハッとします。
要するに変わる気持ちがあるかないか。

◆自分を変える為にはどうすればいいのか。それはただライフスタイルを変えればいい。しかし、そこでわれわれは勇気を試される。
変わることで生まれる「不安」と、変わらないことでつきまとう「不満」。
過去に囚われて、執着していては現実は変わらない。
人生に必要なのは「いま、ここ」であると。

今の自分に不満を持っていない人はこの本は読まないと思うのですが、やはり変わることには不安がつきまとうもの。
不安が生まれない、もしくは不安を払拭できる人が比較的簡単に変わることができるのではないかと思います。
ここで思ったことは「いま、ここ」というフレーズは仏教の教えにも出てくるではないかと。
ニュアンスは若干違うかもしれないがどうなのか。

特にアドラー心理学では、「過去に何があったかは今後の人生になんの影響も無い」といいます。
仏教でいう因縁(縁起)とは矛盾するかもしれないが、仏教では起こっている「現象や環境」には原因が結果となって現れているという理論だが、アドラー心理学の原因論は「起きている心や感情」の事を言っているので取り扱っているものが違うのだろうと思います。
言葉で説明が難しいが、読んでいるうちにこの本はどこか仏教哲学に似ている雰囲気がありました。

◆世界や自分への意味づけ(ライフスタイル)を変えれば、世界との関わり方、そして行動までも変わらざるをえなくなります。
自分の人生を生きるのは「いま、ここ」に生きること。

さらに深くなっていく②へ続く(予定)
興味がある人は待っててください。

(2020.9.5一部修正)

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