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ファンドレイジングのビジョンを描くための3つのアクション

私がNPOのファンドレイジングの伴走支援をする際に意識している5つのステップがあります。これまでのnoteでも度々紹介してきましたこのステップの中で「ファンドレイジングのビジョンを描く」ことについて今回は扱っていきます。

ファンドレイジングの5つのステップにおけるファンドレイジングのビジョンの位置づけ

ファンドレイジングの5つのステップ

ファンドレイジングの5つのステップの赤枠に注目してください。そこではステークホルダーピラミッドを使うことが多いと記載しております。

これは、ステークホルダーピラミッド関係者を整理することを通じて、既存寄付者や新規寄付者との接点づくりの戦略につなげる意図があります。

このやり方は、ファンドレイジングの担当者が明確になっている場合には、短期間で行動計画策定につながるので、まずは既存のやり方にてこいれをしたい場合に適しています。

一方、組織内でファンドレイジングの考え方が根付いていなかったり、ファンドレイジング担当の経験が浅い場合などには、その手前のビジョンづくりから考えていく必要があります。

ビジョンづくりのアクションについて、書籍「正解がない時代のビジョンのつくり方」を参考にみていきます。

団体らしいファンドレイジングの大切さ

私が、伴走支援をする際に大切にしていることは、「団体らしいファンドレイジングができるようになること」です。

NPOは少ない人数で多様な仕事をおこなうことが多いので、負担感がある作業はどうしても後回しになって、結局されなくなってしまうことがよくあります。

伴走支援者が関わっている間はよくても、いなくなったらやらなくなってしまっては意味がありませんから、ファンドレイジングを日々の活動に沿ってされる「団体らしい行動」にしていくことが大切になります。

で、団体らしさって何?

ということですが、この本では自分たちらしさの構成要素として、以下の3つから抽出したものと述べられています。

・哲学
・歴史
・資産

正解がない時代のビジョンのつくり方
p51-53から抜粋

歴史とは、団体の立ち上げ前から現在までで、起きた団体の特徴を表すできごとのことです。過去にあった放ってはおけないできごと、やらなくてはいけないと思った瞬間、仲間が集まってきた時のこと、分裂しそうになったあの時、事業が社会的に注目されて一気に成長して超忙しくなった時のこと、などを丁寧に見ていきます。

歴史を振り返っていくと、それぞれの意思決定の根底にある哲学を感じることができます。我々は誰のために活動する団体なのか、どのように問題を解決する団体なのか、迷った時に優先するのはどんなことか、どんな世界を目指しているのか、そうしたことを言葉にしていきます。

そして、活動を続けていくなかで、事務所などの資産や、人、資金、経験、信頼、関係性など、これまで得てきた資産をみていきます。

こうして、歴史・哲学・資産を見ていくと、団体らしさが見えてきます。

その団体らしさが、みんなの認識とは限らない

団体らしさを抽出できると、なんだかみんなに認識された団体らしさと誤解してしまいますが、それは代表さんなど、特定の人たちが思う団体らしさで、働いているひとりひとりの認識とは異なる場合があります。そうした距離感のある団体らしさは空回りにつながり、結局は団体らしいファンドレイジングにつながりません。

そうならないように、抽出された団体らしさをひとりひとりが納得する状態にしておくことが大切です。そのために、団体らしさとして抽出された言葉に向き合った時に心に浮かび上がってきたことを共有しあう作業が必要になります。

・誰かの犠牲の上に成り立っている団体らしさではないか?
・いいことばかり言っていて、違和感がないか?
・大切なことが抜けているような気がする
・昔はそうだったかもしれないが、今は違う
・表現がダサい
・抽象的すぎてよくわからない
・自分だったらこう言うのだけどなぁ・・・

例えば、このようなことが誰にでも浮かんできますから、それを話し合うことになります。

この作業は結構デリケートなので第三者に入ってもらった方がいいです。でないと、代表、ベテラン職員、声が大きい人、経験が浅くて勘違いしている人の独演会になってしまうからです。

このように、いったん団体らしさを言葉にしてから、ひとりひとりのモヤモヤに向き合って、団体らしさを見出していくことになります。

将来の社会像を思い浮かべる

団体らしさがわかる=団体らしいファンドレイジングができる、ではありません。単に団体らしさがわかっても、でどうしたらいいの?となってしまいます。

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