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ところで、年次報告書を送るタイミングと寄付キャンペーンを、組合わせていますか?~NPO法人リブクオリティ・ハブの取組みから学ぶ~

年次報告書を郵送する意味

NPO業界では、3月締め・6月総会・8月年次報告書送付のパターンが多いです。私はマンスリーサポーターは収入が凸凹あるのでできないので、単発寄付やクラウドファンディングで多くの団体さんに寄付をしています。そうすると、8月・9月に年次報告書が多く届きます。

年次報告書はデザイン・印刷・送付と費用がかかるので、最近ではオンラインでPDFのみで提供したり、スマホで最適化して見やすくしたりと、対象とする寄付者のニーズに合わせて提供する団体さんが多いです。

ちなみに私は今noteを書いている時点で48歳。毎日PCとスマホをつかっていますが、少し老眼がでてきていてスマホを近くで見ようとするとかすみます。近くというのが、ちょうど電車やバスで座ったり、立ったりしてスマホを見る距離です。なので、もっぱら移動時は音楽を聞いたりします。文字も読みますが、以前ほど長くは読めなくなってしまいました。

こういう状況だと、20代・30代に最適化されたオンラインの寄付者向けの情報は少し読みづらいことがあります。これは、あくまで私いち個人の視力の問題ではありますけれど、それが実感です。

こう書くと、「若い人に、歳を取った人に配慮せよと強要する典型的なおやじのパワハラ気質のコメントはしないでもらいたい」と反応される方もいるでしょう。

確かに、そうした捉え方もある思うのですが、寄付は年齢を重ねる程、寄付者率は高くなっていきます。

寄付白書2021_P31から抜粋

寄付者率の増加角度は、20歳代→30歳代が約10%と急激に伸び、30歳代→40歳代→50歳代は約3%ずつと増加傾向は横ばいとなりますが、50歳代→60歳代→70歳代は、約7%ずつ増えています。

自団体の影響範囲で寄付集めをしている第一段階から抜け出して、面識のない人にも寄付を募る第二段階の団体さんにとって、これまで対象ではなかった層に配慮するのは、やってみてもいいのかなと思います。

オンライン化することで、音声化や拡大など読み手に配慮した情報伝達ができるメリットがあります。そうしたユニバーサルな視点で是とする流れもありますが、様々な捉え方のひとつとして活動報告書を印刷して送ることも意味はあるのかなと思います。

NPO法人リブクオリティ・ハブの活動報告書と寄付キャンペーンの組合わせ

2023/8/15に愛知県で活動しているNPO法人リブクオリティ・ハブから16ページの年次報告書が届きました。この団体さんは、困難を抱えるシングルマザー家庭に住居・相談・各種支援を届ける活動をされています。

今回、noteで取り上げたのは、以下2つ理由があります。

  1. 活動報告書の内容がNPOが報告すべき内容が網羅されていて秀逸

  2. 届けるタイミングが寄付キャンペーンの絶妙なタイミング

これらを順に説明します。

1.活動報告書の内容がNPOが報告すべき内容が網羅されていて秀逸

様々なNPOの活動報告書を見ることがありますが、「何かが足りないような気がする」とか「ちょっと内容がくどいかも」と感じることがあります。今回いただいたNPO法人リブクオリティ・ハブの活動報告書にはそれがなくてちょうどよかったのです。

これは、NPOが報告すべき内容が網羅されていて漏れがないのと、それぞれのパートの分量が適量で、難易度も適度であることを指します。

報告書の大まかな構成をここでご紹介します。

【封筒】
A4の紙の封筒、宛名はラベルシール、表面に団体名と住所が記載されていて、裏面の綴る部分に「ひとりひとりに豊かな暮らしを」と書かれているオリジナル封筒です。佐川急便の差出発送代行です。

よくあるのはビニールの封筒にラベルシールですが、これは分別がしにくくて受けとるたびに・・・となってしまいます。安いのでしょうけど、ゴミを分別している人にとっては正直負担に感じます。

【同封物】

同封物は3つ。①送付状、②活動報告書、③夏の寄付キャンペーンのご案内でした。シンプル。70歳以上を対象とする場合は振込用紙も入れるパターンもありますが、40歳代、50歳代、60歳代の多くはオンラインで寄付しますから、その年齢層を対象にする場合は不要だと思います。

よく、振込用紙同封したほうがいいですか?と聞かれますが、団体への寄付者の年齢層と、振込用紙経由の寄付の割合についてお伺いするようにしています。振込用紙からの寄付が多ければ同封した方がいいです、少なければ振込用紙で寄付している人のみに同封するなど工夫した方がよさそうです。

振込用紙をつかわない人からすると「全く使わないのに捨てないといけないのが忍びない・・・」と思ってしまって、それが精神的な負担になってしまいます。

【報告書の構成】
報告書の構成は以下です。

  • 代表からのメッセージ

  • 団体説明

  • 団体が向き合っている社会課題

  • 困難を抱えている当事者の負のスパイラルとそれを示す相談事例

  • 事業概要とそれらのインパクト

  • 団体のあゆみ

  • 相談事業について(相談の内訳、相談者の属性、連携した機関)

  • 居住事業について(物件の特徴、入居者受入れ数、居住者への伴走支援)

  • 伴走支援活動による成果(当事者と支援員の対談、連携社協のコメント)

  • イベント実施報告

  • 物品寄付・ボランティア・マンスリーサポーター説明、人数、コメント

  • メディア掲載、会計報告

  • (裏表紙)寄付方法の案内(マンスリー、クレカ・銀行振込、Amazonほしい物リスト、不用品の寄付、連携商品購入、団体資料を置いて応援)

【特にいいなと思った記載】

”私たちのアプローチとインパクト”として事業におけるインプット・アウトプット・アウトカムが記載されている部分が特にいいなと思いました。

LivEQualityHUB ANNUAL REPORT2022_P4-5から抜粋

よく「数字で見る◯◯」みたいな感じで他団体でも紹介されるケースがありますが、それは活動のアウトプットのみが掲載されることが大半です。リブクオリティ・ハブの場合は、インプット・アウトプット・アウトカムがバランスよく説明されています。

簡単に語句説明をすると、インプットは事業を行うための資源を、アウトプットは事業によって直接生まれた結果、アウトカムは事業によって生まれた受益者や環境の変化を表します。

その上で整理をすると以下となると思います。

インプット:入居者を受入れることができる物件の保有
アウトプット:支援が必要な親子とのつながり
アウトプット:入居・受入れをした世帯・人数
アウトカム:1世帯が繋がった支援機関・人の数
アウトカム:リブクオリティ・ハブがつながっている支援機関の数

困難を抱えた人でも住める物件を保有を増やしつつ、相談事業によって住まいを確保することで状況がよくなる当事者とつながり、物件と当事者をマッチングして入居してもらい、伴走支援をすることで当事者が地域でのつながりを増やしていきながら課題の解決につなげていく姿が見えてきます。また、団体の活動を通じて、関連機関が増えていき、多様な当事者の課題に対応できるようになっている環境の変化も表現されています。こうした奥行きのある数字の出し方はどの団体でもできることではありません。

2.届けるタイミングが寄付キャンペーンの絶妙なタイミング

リブクオリティ・ハブでは、8/1-8/31で夏の寄付キャンペーンを行っています。それを説明するA4両面チラシが同封されています。チラシのQRコードをアクセスすると、以下の夏の寄付キャンペーンのランディングページにリンクしています。

https://livequality.co.jp/donate

そのページには、住まいがないことからはじまる「負のスパイラル」や夏休み中のシングルマザーの悩み、負のスパイラルを断つためのとりくみなどが説明されていたり、5,000円、10,000円、100,000円の寄付で何につながるか、等が説明されていて、各種寄付ができる決済ページにつながっています。

さらに2023年の7/24〜30で行ったJAMMINとコラボしたTシャツなどのチャリティー販売を8月末まで再販売されています。

https://livequality.co.jp/news/230802

こうした8/1-8/31の1ヶ月の寄付キャンペーンのちょうど中間地点の8/15に活動報告書と寄付キャンペーンチラシが届くというタイミングのよさに感心しました。

ちょうどお盆で、時間があってゆっくりこうしたものが読める時期でもあります。

活動報告書をつくったらすぐにでも送らなければ!と思いがちですが、寄付キャンペーンを実施していて、その中間に届くようにタイミングをはかっているのが用意周到だなと思いました。

※8/17追記 活動報告書到着の2日後に、活動報告書に関するアンケートがメールで送られてきました。読んでいない人にはリマインドにもなりますし、読んだ人は前向きに答えることができて、こちらも最適なタイミングでした。

さいごに

今回NPO法人リブクオリティ・ハブの、活動報告書の郵送と、寄付キャンペーンを組合わせて実施した事例をご紹介しました。

こうした取組みは、国際協力NGOでもよくされていて、夏募金・冬募金というように呼ばれて実施されたりします。

やり方自体はオーソドックスではありますが、それを質高くやっていることが伝わってきますので、着実に寄付につながっていくだろうなと思います。

NPO法人リブクオリティ・ハブの2022年度収入は、約3100万円の経常収益で、そのうち約2000万円が寄付、約1000万円が助成金です。2/3が寄付という比率ですので、団体としても力を入れて取組んでいるのがわかります。

地道に、質高く、繰り返して、寄付をお願いしていくことが大事なんだなと改めてわかりました。

是非このnoteの記事を見て、勉強になったなと思われた方は、NPO法人リブクオリティ・ハブさんに寄付してみてはいかがでしょうか。


私はNPOの伴走支援をしています。自団体の寄付キャンペーン実施の相談をしたいなどありましたら、公式LINEのチャットやホームページの問い合わせからご連絡ください。


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