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刺さる言葉の作り方

デザイン領域において、相手に刺さる言葉は非常に重要です。

「UXコンサルの価値って何?」の投稿でも触れたように、良い体験、サービス、プロダクト、システムは、それが良いものであればあるほど、相手に違和感なく受け入れられます。ここであなたが、背景にある価値を言語化して伝えなければ、「なぜこんな当たり前のことに多くの時間を使っていたのですか?」となってしまうからです。

例えば、私が信頼する一人のビジュアルデザイナーは「この色味はなんとなく採用しました」と説明することはありません。「人にやすらぎを与える意図でこの色味を採用しました」など背景にある意図をバシッと説明します。当たり前のようですが、「なんとなく」と答えるビジュアルデザイナーは、そんなに少なくありません。笑

さらにいうと、説明されれば何でも良い訳ではなく、価値を伝えるべき相手に刺さる言葉でなければなりません。あなたがデザインしたモノ・コトは、この刺さる言葉とセットになって初めて世に出るのです。

では、刺さる言葉はどう作るのでしょうか?

2つのステップです。

What to say(伝えるべきコンテンツ)を考え、

How to say(どう伝えるか)を考えます。


What to say(伝えるべきコンテンツ) 

コンテンツの①洗い出しと②絞り込み、2段階で行います。

①洗い出し: 特筆すべき事実(競合にはない優位性など)、結論に行き着くまでの過程・理由、ユーザーに対するメリット(デザインによって解決した課題)、その他工夫した点など、相手に伝えたいコンテンツをとにかく挙げ尽くす段階です。

例えばスマホのアプリデザインであれば、「この領域でAI活用しているアプリは世界初(特筆すべき事実)」「PCではマウスカーソルだが、スマホでは指で操作するので、ボタンのサイズは大きくしている(結論に行き着いた理由)」「太陽光の下でも反射しにくい背景色であるため、外出時も使いやすい(ユーザーに対するメリット)」等の要素が伝えるべきコンテンツの例です。

②絞り込み: 洗い出した要素は相手に全て伝えるべきでしょうか?否、違います。往々にして、あなたが相手に伝える時間には制約があるはずです。その限られた中で、相手に伝えるべき内容はどれかを取捨選択する必要があります。

ちなみに、この絞り込みステップで重要じゃないと判断して捨てた要素も頭の片隅には入れておくのが重要です。相手から質問された場合にすぐに思い出すためです。

このように、自分自身の作品/アウトプットを棚卸しして、伝えるべき要素を整理していきます。


How to say(どう伝えるか)

相手にとって分かりやすいとは?」、この問いを考えることが全てです。

What to sayで考えられた要素はあなたが伝えたいことであり、相手視点は含まれていません。How to sayでは、①伝える順番の整理と②言葉の洗練を通して、「伝えたい」コンテンツを「伝わる」コンテンツに変化させます。

①伝える順番の整理: 背景→概要→詳細の基本構成、起承転結などのフレームワーク、相手は何を聞きたがっているかを考慮します。

特に、相手は何を聞きたがっているかは重要です。例えば、「こういうアプリを作りました」ではなく、「今までのお客様との議論で、今回の肝(相手が聞きたがっていること)は◯◯だと理解しました。そこで、こういうアプリを作りました」にするイメージです。

色々と基本構成やフレームワークは溢れていますが、結局はどれだけ相手の立場に立って考えられるかです。

②言葉の洗練: ここまでで骨子はできたので、最後は言葉を洗練させる段階です。「短く端的に」と「言葉のリズム感」がポイントです。

「短く端的に」はどこでも言われているのでここでは書きませんが、「言葉のリズム感」について一言だけ。あのラップはなぜ韻を踏むか知っていますか?これはただダジャレがやりたい訳ではなくて、説得力を高めるためなんです。つまり、言葉のリズム感が良いと、あなたの言葉の説得力は高まるのです。

動画クリエーターとして有名な明石ガクトさんが言っていました。「『映像と動画』は『動画と映像』ではダメなんです。人の記憶に残らないのです。なぜなら、『戦争と平和』と韻を踏んでいるからなのです。」

このように刺さる言葉の仕上げにはリズム感が必要です。ゆえに、この仕上げの段階では、ぜひ声に出して言葉の仕上げをおこなう必要があります。


このように、What to say(伝えるべきコンテンツ)とHow to say(どう伝えるか)が決まると、相手に刺さる言葉が出来上がります。デザインというとモノ・コトを作って終わりの感じが出てしまいますがそうではありません。

良いデザイン+良いコミュニケーションで、モノゴトを前に進めることができます。ぜひ、刺さる言葉を意識してみてください。

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