映画「最後まで行く」 スクリーンのもう少し先の方
□公開初日に観るということ
映画公開の初日に鑑賞する
ということは自分がその作品に
大きな期待を寄せているということです
いや期待という以上に
「思い入れ」を抱いていて
その監督作品はどうしても
見届けたいと思っているのです
藤井道人
彼は私のそんな思い入れを背負わされて
いい迷惑だろうなとは思います
そこのところは
会ったこともない藤井監督に謝ります
ただやはり藤井監督の映画版ならびに
ドラマ版の『新聞記者』を思い出すと穏やかな
気持ちで藤井作品に向き合うことはできません
かの作品のことを考えると今度の作品は
人間や社会の可能性(あるいは不可能性)を
どう描くのだろうと心が沸き立つのです
□流れ弾『余命10年』
多くの人に愛された『余命10年』
ですが私は観ているときも観た後も
ひとりブツブツと愚痴ばかり言っているような
心の中でした
もし『余命10年』を他の方が監督していれば
よかったよかったと満足していたかもしれません
だからそれは藤井監督にとって
気の毒なことかもしれませんが
すっかり藤井監督に囚われている
私だって気の毒ですよ(逆ギレ)
最新作『最後まで行く』は
多くの方が讃えているとおりで
日本映画の高い水準にあります
ノワールの面白さ
遜色ないリメイク
俳優部の凄み
最後まで惹きつけられ
まさに劇場鑑賞すべき作品で
高い評価にもまったく首肯します
□囚われの私
ただ囚われの私は
ちょっと変になってます
だから観終わった後に
こんなことを思うのです
「そうか、すごいおもしろいだけか」
映画がおもしろくて何が悪い
そう自分に問いかけてくる声がします
もう藤井監督を自由にしてやれよ
そう自分を詰る声も聞こえます
公開初日に観に行くような監督
それは自分にとって大事な監督です
おもしろい映画だけを求めているなら
評価が出そろってから行った方が効率はいい
大事な監督というのは私の中でいわゆる
「おもしろいおもしろくない」とは
違う座標で輝いています
私は藤井作品をスクリーンで鑑賞していますが
実はスクリーンのもう少し先の方を
見ているような気がします
監督自身の
世界との向き合い方とでもいうべきものを
藤井監督が独自の座標において
本作で輝いているのか
誰にとってもそういう観点でとらえている
監督がきっと何人かいるのではないでしょうか
さぁ6月2日は『怪物』の初日です
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