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【お薦めの一冊】 どんな健康法よりも大切なこと / 「健康をマネジメントする」 横山啓太郎

今まで多くの本を読んできました。

その中には、私の人生に良い影響を与えてくれた本も沢山あります。

そんな本の感想を書き留めておくことで、私自身の備忘のためにも、また、これを読んで下さった方の本選びの参考としても、少しでもお役に立てばと思っています。

1.具体的な健康法は紹介していないが、健康に何よりも大切なことを教えてくれる本

まず最初に述べさせて頂くと、本書では「これさえやれば健康になる」といった具体的な健康法を紹介しているわけではありません。

ただ、どんな健康法よりも、私たちの健康に大切なことを教えてくれます。

それが、「マインド」と「日々の習慣」です。

では、なぜそれが大切なのでしょうか。

2.健康は1日にして成らず

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当たり前のことと言われそうですが、どのような健康法でも、1日でいきなり成果が出るものはありません。

日々、継続しなければ意味がありません。

そのため、どのような健康法を実行するにしても、それをいかに継続するかが大切になります。

そして、その物事を継続するためには、マインドと日々の習慣を変える必要があると著者の横山啓太郎氏は教えてくれます。

3.著者 横山啓太郎氏とは

著者の横山啓太郎氏は、東京慈恵会医科大学の腎臓・高血圧内科の医師です。

高血圧などの生活習慣病に悩む患者と日々接することで、彼らは、毎日の生活習慣の積み重ねによって高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病に罹っており、薬だけを処方しても根本的な解決にはならないことを実感します。

そこで、患者の生活習慣を改善することを目的に、行動変容外来とライフデザインドックを立ち上げています。

本書では、その行動変容外来・ライフデザインドックで行われているアドバイスがベースとなっており、医師による生活習慣の改善方法を具体的に紹介してくれます。

4.「長生き=健康」ではない

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健康のためには、「マインド」と「日々の習慣」が大切だと分かっても、そもそも皆さんにとって「健康」とは何でしょうか。「健康」と聞くと何をイメージされるでしょうか。

平均寿命が長いことから日本は健康大国であると言われることもあるように、長生きであることが健康であることと同じように思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、長生きであることが必ずしも健康であるとは限りません。

現代医療の発展により、私たち日本人の寿命は延びましたが、同時に、晩年に寝たきりや認知症になり、自分の自由に動けないまま数十年を過ごす人も増えています。

つまり、たとえ長生きしても、それが寝たきりや認知症となった状態なのであれば、当然健康であるとは言えません。また、そのような人生は、本人が不幸なだけでなく、周りの家族等にも生活面・経済面で面倒をかけることになるでしょう。

そのため、私たちが目標とすべき「健康」とは、人生の後半を寝たきりや認知症として過ごすのではなく、最後の瞬間まで人生を楽しめるような状態にいることと言えます。

5.必要なことは老化を遅らせること

では、そのような健康な状態でいるために必要なことは何でしょうか。

寝たきりや認知症は老化の一種と言え、残念ながら現代医学では、薬などで老化を完全に止めることはできません。

医学では老化を完全に止めることはできませんが、唯一、老化を遅らせることができる方法があります。

それは、体に良い運動や食事といった日々の習慣の積み重ねです。

そのために、「マインド」と「日々の習慣」の改善が必要となるのです。

6.3つの具体的ステップ

本書では、「マインド」と「日々の習慣」の改善のための具体的な3つのステップを紹介してくれます

具体的には以下の3つのステップです。

(1)マインドを変える
(2)自分を知り、どうありたいかを考える
(3)自分にちょうどいいことを習慣化する

(1)マインドを変える

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人間は、まず心・マインドが変わらないと行動・習慣は変わりません。

ただ、残念なことに、人間のマインドを変えることは簡単ではありません。

特に健康に関することは、今まさに健康である人にとって、10年後の健康のために日々時間を割くことは後回しにされやすい傾向にあります(著者はこれを、スティーブン・R・コビィー氏のベストセラー「7つの習慣」における「緊急ではないが重要なこと」を用いて分かりやすく説明しています)。

実際、「そんな生活をしていると病気になる」と言われても、実際に生活を変えられる人はほとんどいないかと思います。しかし、健康を害してようやく生活を変えようと思っても、すでに手遅れになっているのです。

本書ではそんな困難なマインドを変える方法についても、具体的な提案を行っています。

いくつか例を挙げると、

(1)健康をアセットマネジメントの観点から捉え直すこと
(2)自己肯定感を大切にすること
(3)部下や子供に接するつもりで自分に接すること
・・・

など、具体的で納得できる方法がいくつも提案されています。

気になる内容は、是非実際に本書を読んで確認してみて下さい。

(2)自分を知り、どうありたいかを考える

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次に、客観的に自分の健康状態を知ると共に、今度どのようにありたいのかを考える必要があります。

自分の健康状態を知るデータとしては、健康診断の数値はもちろん重要です。ただ、毎年の数値に一喜一憂するのではなく、過去からの変動もきちんと把握することが必要です。

本書では健康診断で注目すべき数値(中性脂肪、コレステロール等)も述べられています。

また、日常生活における変化からも自分の健康状態を知ることができます。

例えば、歩行速度(家から駅まで歩くのに時間がかかるようになった)、二日酔いが抜け難くなった、階段を登ると直ぐに息切れするようになったなどです。

さらに本書では、自分にどのような健康法・習慣が適しているのかを知る手助けとするため、「性格傾向テスト(25項目の質問)」を紹介してくれています。

この性格傾向テストに基づき5つの性格傾向に分類し、具体的に各性格傾向に即した行動をアドバイスしてくれます。

そして、今後どのようにありたいかを考える手助けとしては、本書では「10年後老化度チェック(20項目の質問)」を実施してくれます。

このチェックにより、10年前から自分がどう老化しているか、また、10年後の自分がどう老化しているかを意識することができます。

上記の「性格傾向テスト(25項目の質問)」や「10年後老化度チェック(20項目の質問)」は、簡易版のテストではありますが、いずれも著者が行動変容外来で実施しているものです。

(3)自分にちょうどいいことを習慣化する

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マインドを変え、自分を知ることが出来れば、あとは、それを踏まえて実際に習慣化に取り組むことになります。

どのようなことを習慣化するかは、「(2)自分を知り、どうありたいかを考える」を踏まえて、皆さんが自分に合った行動を取り入れることになります。

ただ、本書では、そのような各人の習慣化のきっかけ作りとなるような簡単な行動「マインドフルネス・フック」(自分の体や健康状態に目を向ける癖)も紹介してくれています。

この「マインドフルネス・フック」は、いずれも自身の健康について考えるちょっとした行動で、リリース系(心身をリラックスさせる習慣)と制限系(健康の為にちょっとした我慢をする習慣)があり、いずれも15個程度紹介してくれています。

まずは、この「マインドフルネス・フック」を日々行うことで、習慣化を基礎付けることに取り組んでみても良いかと思います。

そして、本格的な習慣化についても、「習慣化のための21のメソッド」を紹介してくれます。

いくつか例を挙げると、

(1)初期目標は低くし、段階的に目標を上げる
(2)既存の習慣と結びつける
(3)簡単な記録を取るようにする
・・・

などがあります。

このメソッドも、著者が実際に行動変容外来での診療を通じて考案したものであり、是非本書で確認して頂ければと思っています。

7.必ず訪れる将来の老化を防ぐために、日々の習慣を今日から変える

冒頭にも述べさせて頂いた通り、本書は直ちに効果のあるような健康法を紹介したものではありません。

ただ、どんな健康法にとっても必要となる日々の習慣化の手法を分かりやすく、かつ、具体的に説明してくれている良書です。

将来、寝たきりや痴呆症にならず健康に過ごすためには、日々の生活の積み重ねを改善するしかありません。

そして、その改善は早く始めれば始めるほど、望ましいに越したことはありません。

上記で紹介した各種チェックや習慣化のための21のメソッドをはじめ、本書の内容が気になった方は是非、実際に読んでみて下さい。

やはり自分で実際に読むことで、内容をしっかり理解することができますし、実行に移すモチベーションも湧くはずです。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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