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連載(94):人類の夜明|まどろみの中で「生きるために消費を作る愚かさ」

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

生きるために消費を作る愚かさ

私たちは生きるために消費するのであって、生きるために消費を作っているのではない。

今日の資本主義経済は、生きるために消費を作っているのである。


ここに一人の大工がいたとしよう。

その大工は、一年の生活費を家一軒建てることで得ていた。

家の耐用年数が20年なので、この町にある20軒の家を毎年1軒づつ建て替えていったら、大工の仕事は一生なくならない。

したがって生活も困らないだろう。

ところが、もう一人の大工がこの町にやってきて店を開いたために、古株の大工の仕事が半分になってしまった。

そればかりではない。

競って仕事をもらわなくてはならなくなったので、値段も以前の半値になってしまった。

仕事も少なくなったし収入も減った。

大工はすっかり困ってしまい、何とか仕事を増やす方法は無いものかと考えた。


ある年の暮れ、今まで一度も起こったことのない火事が立て続けに二件も起きた。

勿論、二人の大工に仕事が転がり込んだのは言うまでもない。


さて、消費を作らなければやっていけないのが今日の資本主義経済であり、その火付け役が企業である。

どこかこの話と似ていないだろうか?。

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