見出し画像

「三輪の地をそのまま瓶に宿らせる歴史の継承蔵」今西酒造(奈良県桜井市)訪問記


清酒発祥の地で造る、清く、正しい、酒造り
今西酒造(いまにししゅぞう)とは日本最古の神社である大神神社(おおみわじんじゃ)の近くに酒造があり、創業当初から現在まで大神神社に御神酒を奉納しています。「清く、正しい、酒造り」をモットーに「三輪の地を液体で表現する」ことを目指し酒造りが行われています。正しいと思うことを常に優先に考えて取り組み、他の蔵に比べ圧倒的に多いスタッフ、製造のみの蔵人だけで22名体制で各工程に徹底的に取り組んでいます。

大神神社

・コンセプト「清く、正しい、酒造り」の言葉通り、全ての工程で手をかけており、洗米については多くの蔵元が100kgの単位で行っているところ、今西酒造では10kg単位で行っており、さらには一回洗うごとに真水を張り直し、合計で約17,000回ほど繰り返すそう。この作業によりムラなく米についた糠を落とすことができているそうです。

今西酒造 14代目蔵主 今西将之さん

・大神神社と活日神社大神神社は日本最古の神社と言われており、本殿を持たず、三輪山をご神体として祀っており、酒の始まりとも言われる神社です。そのため毎年11月14日には全国から蔵元や杜氏が集まり醸造安全祈願祭が行われ、醸造安全祈願祭の後には全国の酒蔵へと杉玉が配られているそうです。

大神神社

また、同じ敷地内には実在したとされる日本最古の杜氏「高橋活日命(たかはしいくひのみこと)」を祀った活日神社もあります。

高橋活日命は実在する最古の天皇である崇神天皇時代に、疫病流行で国が混乱を極めている中、天皇は夢で大物主大神様(おおものぬしのおおかみさま)から「私の子孫である大田田根子(おおたたねこ)を祭主にし、酒を奉納しなさい」とお告げを受け、それを聞いた天皇は高橋活日命を呼び、一夜で酒造りを行い神酒を奉納しました。
すると疫病は去り、国が富みはじめたことから高橋活日命は杜氏の神様として大神神社の摂社「活日神社」にまつられました。

活日神社

・酒造りの仕込み水は蔵内の井戸から湧き出る御神体「三輪山」の伏流水を使用しており、水質は硬度36度のやや軟水で柔らかい口当たり。主に使用している米は三輪の契約農家から仕入れている山田錦と奈良県唯一の酒造適合米の露葉風。そして「再現性のある酒造り」をもう一つのモットーにしており、基本的には生酒ではなく火入れを主体とした造りをしています。

三輪山の井戸水

・木桶菩提酛今西酒造といえば木桶菩提酛造り。現在4つの木桶があり、使用している木桶は全て三輪山から移植された吉野杉を使用している。木桶にはそれぞれ、東西南北の表記があり、南北の木桶は東西に比べると縦長の形状になっており、酸素に触れる部分を少なくすることで発行を抑えているとのことです。そして自然の力(対流)をうまく利用している。また、2024年には「木桶菩提酛をもっと広めたい」との思いから、世界初の菩提酛蔵を建設予定とのことで、蔵から木桶まですべてを三輪の吉野杉で建てる予定とのことです。

木桶樽

テイスティング
今西酒造のみむろ杉、定番6種類をテイスティングさせていただきました。
その中でも印象に残った2種類をご紹介させていただきます。

〇みむろ杉 特別純米 辛口 露葉風
香りは穏やかながらも、口に含むと瑞々しい旨味が広がり、後半には綺麗な酸とシャープなキレがありとてもバランスの取れた一本。
天ぷらなどと相性が抜群です。

〇みむろ杉 木桶菩提酛
蔵主の今西さんが一番好きな味と言っていたのがこの木桶菩提酛。
バナナのような香りとほのかに清涼感のある杉の香り。
程よい甘味と厚みのある旨味があり、木桶由来のタンニン感と複雑味が特徴の一本です。


6種類のテイスティング

おわりに
今回、今西酒造を訪問してみて、今西酒造について深く知ることができたのはもちろんのこと、お酒の神様が宿るとされている大神神社、杜氏の神様が祀られている活日神社について学ぶことができたのは今後この業界に携わっていく中でとても大きな収穫でした。

また木桶菩提酛については今西さんの「木桶菩提酛をもっと広めたい」の言葉通り、今後この木桶菩提酛の良さを広めていくことが私たちIMADEYAの役割であるということを実感しました!

今西酒造さんのお酒一覧


この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?