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🎚『青春をリペむント《カラフルで無圩色なアノァンチュヌル》』愛倢ラノベ第回小孊通ラむトノベル倧賞次通過、第回文庫新人賞第期次通過【芞術小説】【タむムリヌプ】【ラブコメ】【郚掻もの】

第零郚 プロロヌグ

 ――俺の初恋は、ほろ苊いピンクだった――

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 ――什和元幎月日の午埌時。
 ――私立時ヶ䞘クロノス孊園の階。
 今いる堎所は屋䞊ぞの階段、俺が登る倧人ぞの階段、実しやかに囁かれる本圓の怪談。
 孊校の䞃䞍思議で、屋䞊は自殺の名所ずしお人口に膟炙する。俺は県䞋に桜を眺めながら、屋䞊ぞず続く階段を歩む。むゞメから逃れるため、自殺を決意する。
 内向的な俺は心を叫べない。
 だから、加害者に文句も蚀えない。
 蟛い日々にピリオドを打぀ため、死ぞの䞀歩を螏み出す。するず、屋䞊でキャンバスを運ぶ少女ずぶ぀かる。
 倩䜿のような党身は倩姿囜色――茹でられたパスタのように艷やかな金髪が錻を觊り、ビヌズクッションみたいに柔らかな巚乳を党身で味わう。

「「あっ ごめんなさい」」

 これがホワむトずの最初の䌚話、ホワむトずの出䌚いだ。その時、俺は恋に萜ちた。初恋を知った。芋た瞬間、その笑顔に䞀目惚れをした。

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 ホワむト・゚ヌリダニヌ――歳の同玚生、癟六十二センチでカップ、アメリカ人ず日本人のハヌフ矎女。
 玚ムヌドメヌカヌ、笑顔怜定玚。
 サンザシ柄のスカヌフを䜿っお、枯草色のロングヘアをスカヌフ䞉぀線みにしおいる。䞞い瞳は、゚メラルドのように少し青みがかった緑だ。
 濃青色の制服に、赀耐色のカヌディガンを肩にかける。その容姿は実写版ティンカヌベル。

 ずにかく明るい癜日のような少女。その笑顔は党おを照らし、俺の心に黒い圱を生み出す。なぜ俺の方が笑っおいないのだろうか

「オヌマむゎッド 倧事な絵が萜ちちゃった」

「俺も手䌝うよ」

 ホワむトの絵を拟う。そしお、その䞊手さに驚く。颚景画や肖像画は、鉛筆の濃淡だけで衚珟されおいた――それは癜黒写真のよう。
 野球郚が走るグラりンド。
 談笑する生埒がいる教宀。
 静かで人気のない図曞通。
 吹奏楜郚が集たる音楜宀。
 そのどれもが珟実のワンシヌンを切り取ったような絵で驚く。無圩色のモノクロヌム、盎球勝負のモノトヌン。本物を封じ蟌めたように、现郚たで䞹念に描かれた線画だが、䜕か物足りない。

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「ねぇ、ひょっずしお黒井くんは自殺をしようずしおいたの」

「えっ」ず驚く。

「ナヌは、いじめられっ子でしょ。スクヌルでも有名よ」

「そうだけど  なぜ自殺だず決め぀けるんだ」

「ふふっ、ここは自殺の名所でしょ。こんな屋䞊に来る理由は、぀しかないわ」

「仮に自殺だずしおも、俺の問題だ。君には関係ないだろ」

「たしかに、ミヌは無関係ね。でも、死んじゃダメ。飛び降りる勇気より盞談する勇気が倧切よ」

「それ、説埗力ないぞ」

「あのね、高い堎所は怖いし、死ねないず痛いし、飛び降り自殺なんお良い事が無いわよ」

「もし俺が死のうず決めおいたら、そんな蚀葉は聞きたくない」

「ずにかく自殺はノヌ ノヌ 生きおいれば、良い事もあるわ」

「はいはい、肝に呜じお眮くよ。ほら、これが最埌の絵だ」

「絵を拟っおくれお、サンキュヌ」ずホワむトの笑顔が匟けた。

「その  絵が䞊手いんだな」

「圓たり前よ、矎術郚の゚ヌスだもの」

「あれ、同じクラスじゃなかったっけ」

「そんな事は知っおいるわ」

「じゃ、幎生だろ それで゚ヌスなのか」

「もちろん、先茩より䞊手いもの」

「それじゃ、いずれは偉倧な画家になるんだな」

「それは    無理ね」ずホワむトは俯く。

「無理っお、君より䞊手い生埒がいるのか」

「ミヌは線画が䞊手いの。でも、カラヌを知らないのよ」

 そんな蚀葉を残しお、春䞀番のように、ホワむトは颚ず共に去った。
 その時、俺は絵の欠点に気が぀いた――ホワむトの絵に足りない物、それは色圩だった。

 この䞖には色がある。
 だが、ホワむトの䞖界は真っ癜だった。

 その埌、俺はホワむトの背䞭を泚芖した。そしお、圌女の蚀葉で自殺を䞭止した。ホワむトは呜の恩人だ。でも、そんなホワむトは幎埌に死んだ。
 この時、もし俺がホワむトの目になっおいれば、圌女の自殺を防げたかもしれない。
 でも、そんな未来は知らない――カレンダヌも時蚈の針も戻せないから。




第䞀郚 青春をリペむント
第䞀章 垆垃のホワむト

 どれほど人生が長くおも、倧切な青春は䞀床しかない。過去を振り返る事はできおも、過去に戻れる人間はいない――いや、少ない。

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 ――ホワむトの実家で行われる葬儀。
 ――什和幎月日、これは俺の初恋の人の呜日だ。
 そしお、幎前に俺ずホワむトが出䌚った日でもあった。そんな圌女は絵が䞊手かった。だが、圌女の䞖界には色がなかった。
 先倩性党色盲。
 俺にホワむトの䞖界は分からない。ただ、ホワむト曰く――䞖界は挫画ず同じらしい。
 そんなホワむトの生涯を悟ったのか、空が子䟛のようにワンワン泣いおいた。物憂げな小雚は涙みたいにタラタラず降り、地面をパラパラず濡らした。

「本日は、お悔やみ申し䞊げたす」

「あら  黒井くんも来たのね」

 ホワむトの母芪゚リダヌスが䞍思議そうな顔をした。四十路の顔は疲れおいた。あれ、どうしお初察面の俺を知っおいるんだ

「えぇ、同じクラスずいうだけですが、なぜかホワむトに呌ばれた気がしたんです」

「そう  もし宜しければ、葬儀の埌で話せる」

「たぁ、暇なので良いですが  」

 初察面の俺に䜕の話があるんだ
 そんな事を思いながら、よそよそしく遺族ず䌚話を亀わす。銙兞を枡す。ただ、人芋知りなので、目は合わさない。お誘いも亀わせない。
 そんな俺が氎たたりに写る。

 黒井圱――癟䞃十六センチの瀟䌚人幎目、法埋事務所の事務員、父の圱響でラップ奜き、玚人芋知り兌コミュ症怜定玚。
 ペヌルオヌキッド色の短髪で、孊生時代からマダガスカルゞャスミンの銙氎を愛甚しおいる。その䞡目は、鉄のように冷たい灰色だ。
 緑がかった喪服に、暗耐色のシャツずズボンを身に぀ける。
 メゞロみたいな容姿だ。
 鳥綱スズメ目メゞロ科メゞロ属に分類される目癜は、月日のバヌスデヌバヌドで鳥蚀葉は《玠盎な心》だ。

「ぜひ、お焌銙を䞊げお䞋さい」

「えぇ」ず短く答えお葬儀堎に入る。

 デリケヌトに敎理敎頓されたフラワヌアレンゞメント。
 リボンを暡した癜ナリずハヌト型に䞊んだカヌネヌションで食られた花祭壇、朚魚を叩く坊さん、棺ず線銙ず生菓子、なんか寂しい葬儀に参列者が来た。
 ホワむトは自殺をした。
 高校幎生の倏に、クロノス祭で玫芝ずいう少女に負けお、そこで筆も心も折ったらしい。そしお、悩み続けた末、理想の絵が描けないために、倧量の睡眠薬を飲んだようだ――倢の䞭なら、奜きな色が芋れるず遺曞を残しお。

「お焌銙の手順が分からねぇ」

 俺がスマホで調べおいるず、そこに奇抜な人組が珟れる。
 俺でも分かる䞀倧事。その人は矎術郚の問題児――コスプレで登校したり、廊䞋にケヌキを眮いたり、二宮金次郎像をラむトアップしたり、人は孊生時代から隒がしい。
 男性アヌトディレクタヌの小恋路おれんじ。昔ず倉わらぬツヌブロックのメガネ男子だ。
 コスプレむダヌの黄昏テタ。あの日ず同じロリ少女で、巚乳の䜎身長だ。
 ガン黒ギャルの玅友絵くれない・ずもえ。い぀も通りのドレッドヘアだ。

「鬌オモむ。マゞ無理なんだけど  小恋路、ここで装眮はオッケヌよね」

「玅、もう少し奥に機械は眮かなアカン」

「アタシは甚意ができおいるる」ず黄昏は露出倚めの祈祷垫の姿をしおいた。

「「「さぁ、ホワむトにアヌトを芋せよう」」」

 矎術郚の問題児は、匏堎に音響装眮やら映像装眮やらを蚭眮しおいく。唐突に始たるプロゞェクションマッピング、葬匏ずは䌌合わないプロのゲストラむブ。
 その時、小恋路がスむッチを抌す。
 するず、音響装眮から爆音が蜟く。参列者は驚く。俺は慄く。䞀方で、黄昏は音に乗り、調子にも乗る。䜕なら勢いに乗っお、ホワむトの棺桶にすら乗る。

「ちょっず止めお䞋さい」ず゚リダヌスが怒る。

「「「えっ 聞こえたせん」」」

「だから、嚘の最期に暎れないで。小恋路さん、爆音を止めお」

「すたんな。ホワむトを明るく送り出そうず思ったんや」

「いい迷惑よ。玅さんも機械を片付けお」

「たぁたぁ、ガチで怒らずに、私たちのサプラむズでハッピヌになろう」

「いい加枛にしお 黄昏さんも棺桶から降りなさい」

「でも、ガヌナでは螊っお死者ず別れるる」

「ここは日本よ。ホワむトを静かに寝かせお䞋さい」

「「「でも、この方がホワむトも喜ぶ」」」

「そんな筈ないでしょ 人ずも倖に出なさい」

 ゚リダヌスが発狂した。芋かねた参列者は䞻犯栌の人を拘束した。矎術郚の連䞭は、やりたい攟題だ。
 その埌も人は倧声で隒いだ。゚リダヌスの声が葬儀堎に響いた。䜕なら心にたで届いた。

「なぜワテの芞術が分からぞんねん」

「小恋路さんの感性が普通ず違うからでしょ。嚘の葬匏で、非垞識な事はやらないで」

「゚リダヌスさん、芞術家は垞識の倖に飛び出す必芁があるる」

「黄昏さん、もう暎れないで」ず゚リダヌスは黄昏ず玅を掎んだ。

「マゞで觊らないで。ガチ最悪。ホワむトなら、私たちのアヌトも分かっおくれたじゃん」

「私の嚘は、もう死んだのよ」

 その蚀葉で、参列者は静たり返る。人ぱリダヌスの説埗で我に返る。それで心を入れ替え、螵を返す。やっず問題児は家に垰る。
 たぶんホワむトも人の行動は理解できないだろう。

「あヌ、うるさかった。䜕だ、あの倉な人組は」

 この時の俺は、ただ人の芞術性を理解できなかった  いや、する気が無かったのだ。
 しばしば人間は自分の䞭に芏範があっお、その芏範に圓おはたらない物を排陀しちゃう。そのせいで、新しい発芋を芋逃しおしたう。
 匏堎には、嵐が去ったように静寂が蚪れる。黙々ずホワむトずの別れは執り行われ、参列者も垰る。
 ――葬儀の埌、俺ぱリダヌスに呌ばれる。

「黒井くん、少しだけ時間はある」

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 本圓は垰りたかったが、俺は「えぇ」ず゚リダヌスの埌を歩く。
 ホワむトの実家は和モダンテむストで、栌子障子の先には、瞁偎のあるリビングや掘りごた぀付きの畳郚屋が芋える。江戞切子から挏れる灯りは、和箪笥などを照らす。芋䞊げれば、圧巻の化粧屋根裏倩井がある。
 しばらく歩くず、襖があった。
 奥に䜜られた和宀は寝殿造り、掛け軞や壺など食られた芞術品、マナヌを砎れば厳重泚意。

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「その襖の先がホワむトの郚屋ですか」

「えぇ、亡くなった圓日のたた時間は止たっおいるわ」

 襖が開いた。宀内は枩かい。たるで春の陜光を閉じ蟌めおいたみたい。それは郚屋が俺を歓迎しおいる合図に思えた  いや、そう思いたい。
 王道掟で高評䟡な床の間、芋れば分かる矎しい生け花、頭の真䞊にある欄間ず鎚居。そんな和宀には、数千枚におよぶモノトヌンの線画が食られおいた。
 いや、乱雑に積み重ねられおいたず蚀うべきだろうか

「䜕なんだ、この郚屋は」ず息も蚀葉も飲み蟌む。いや、郚屋に呑たれる。

「ここは嚘のアトリ゚よ」

「じゃ、この絵は党おホワむトが描いたんですね」

 至るずころに、ホワむトが芋た䞖界が食られおいた。粟緻に切り取られた構図のため、写真にすら思えた。今にも動き出したり、音が鳎ったり、䞍思議な事が起こりそうな絵だ。
 それを芋お、ホワむトの苊劎を知ろう。想像以䞊の衚珟技法はグッドポむントだが、そのどれもが黒ず癜。
 そんな絵の枚に俺の顔があった。
 その絵から油の臭いがした。枚だけ肌色が塗られおいた。しかし、塗り方が乱雑で、目も口も党お肌色、そこに赀やペヌルオヌキッドやグレヌが混ざっおいた。
 その絵は、䞍出来な犏笑いみたい。
 到底、俺には䌌おいない。
 圌女は俺の茪郭を知っおいたが、俺の色は知らなかった。ただ、だからこそ芋える本質があったのかもしれない。顔の再珟床だけは高い――その色を陀けば。

「やっぱり  この顔は君ね」ず゚リダヌスが指摘する。

「たぶん、そう  ですね」

「実は、君がホワむトの初恋の盞手なのよ」

「えっ」

「屋䞊で運呜的に出䌚っお、それから気になったそうよ。でも、幎生以降はクラスが違ったでしょ。それでホワむトは君の顔を曞いたのよ。どうキモいでしょ」

「いや、気持ち悪くはないですが、塗り絵は䞋手ですね」

「圓然よ、あの子は色が芋えないもの」

「そっ  そうですよね」ず気を䜿う。

「ねぇ、嚘の絵を貰っおくれないかしら」

「えっ 僕がですか」

「他に誰がいるのよ」

 ゚リダヌスが笑った時、誰かに呌ばれる。どうやら喪䞻ずしお埌片付けがあるようだ。

「少し考えさせお䞋さい」

「分かったわ、良い返事を期埅しおいるわね。この人物画は君にこそピッタリだから」

 ゚リダヌスがいなくなる。
 しばらく絵を眺めた埌、郚屋を探る。するず、幎前の屋䞊が描かれた颚景画を発芋する。キャンバスの裏面に、什和元幎月日ず曞かれおいる。
 それを取ろうず、手を䌞ばした時に、キャンバスの山が厩れた。
 屋䞊の絵の䞋敷きになり、死ぬず思った。だが、事実は小説より奇なり――いきなり俺は過去ぞず飛んだ。いや、正確には意識が飛んだ。
 たぶんホワむトの絵が珟実のワンシヌンを切り取るほど粟緻だったからだろう。




 ――日時は䞍明、ここは青春を謳歌した母校だろうか
 目を芚たすず、芖界には廊䞋。俺は私立時ヶ䞘クロノス孊園の最䞊階にいた。なぜかスヌツを脱ぎ捚おお制服を着おいた。

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「どうしお  孊校に」

 俺は葬儀堎でホワむトの絵を取ろうずした。そこに絵が厩れおきお  もしかしお絵の䞭に入ったのか。いやいや、たぶん死んだのだ――絵の䞋敷きになっお。
 これはきっず走銬灯、だから目芚めの時を埅ずう。
 そんな事を考えながら屋䞊に出るず、キャンバスを運ぶホワむトずぶ぀かる。あの時ず同じ肉感ず長髪の感觊を思い出す。

「「あっ ごめんなさい」」

「オヌマむゎッド 倧事な絵が萜ちちゃった」

「俺も手䌝うよ」ず絵を拟う。

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 野球郚が走るグラりンド。
 バスケ郚が集たる䜓育通。
 静かで人気のないプヌル。
 石膏像が食られた矎術宀。
 どこか芋芚えのある絵を拟う。無圩色のモノクロヌム、盎球勝負のモノトヌン。写真のような線画だが、やはり物足りない。

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「ねぇ、ひょっずしお黒井くんは自殺をしようずしおいたの」

「えっ」ず驚く。

「ナヌは、いじめられっ子でしょ。スクヌルでも有名よ」

「そうだけど  なぜ自殺だず決め぀けるんだ」

「ふふっ、ここは自殺の名所でしょ。こんな屋䞊に来る理由は、぀しかないわ」

「仮に自殺だずしおも、俺の問題だ。君には関係ないだろ」

「たしかに、ミヌは無関係ね。でも、死んじゃダメ。飛び降りる勇気より盞談する勇気が倧切よ」

「それ、説埗力ないぞ」ず幎埌に自殺するホワむトを睚む。

「あのね、高い堎所は怖いし、死ねないず痛いし、飛び降り自殺なんお良い事が無いわよ」

「もし俺が死のうず決めおいたら、そんな蚀葉は聞きたくない」

「ずにかく自殺はノヌ ノヌ 生きおいれば、良い事もあるわ」

 本来なら、俺は蚀われっぱなしで終わった。だが、なんか悔しかった。だっお、ホワむトは俺に忠告をしながら、幎埌に自殺をするからだ。
 こんな理䞍尜は蚱せない。ホワむトこそ生きろ
 そう思い、未来の埩讐がおら過去の改竄を詊みる。

「その蚀葉は、そのたた返す。そういうホワむトだっお、死のうずしたんだろ」

「なっなな  なぜ自殺だず分かるのよ」ずホワむトの声が震える。

「今、ホワむトが自殺の名所を説明したんだろ。こんな屋䞊に来る理由は぀しかない」

「たしかに、ナヌは鋭いわね」

「こんな謎は、シャヌロック・ホヌムズでなくおも解決できる。それよりホワむトも自殺なんお止めろ」

「  オヌケヌ、肝に呜じお眮くわ」

「頌むぞ、゚リダヌスが悲しむ」

「そうね  っお、なぜマザヌの名前を知っおいるの」

「ほっホワむトが教宀で話しおいる時に、小耳に挟んだんだ。ほら、これが最埌の絵だ」ずキャンバスを枡す。

「ふヌん、聞き耳なんお最䜎ね。でも、絵を拟っおくれお、サンキュヌ」

「その  絵が䞊手いんだな」

「圓たり前よ、矎術郚の゚ヌスだもの」

「じゃ、将来は必ず偉倧な画家になれよ」

「それは    無理ね」ずホワむトは俯く。

「無理じゃないさ。やる前から諊めるな」

「ミヌは線画が䞊手いの。でも、カラヌを知らないのよ」

 そんな蚀葉を残しお、ホワむトは立ち去っおしたう。幎前なら、俺は蚀葉を心に仕舞う。そしお、ホワむトを倱う。
 でも、これは倢である。だったら、埌悔のないように生きるべきである。
 今なら空を飛び、海を超え、時空すらも飛び越せる気がした――勇気さえあれば。

「ちょっず埅お」

「䜕よ」ず振り向くホワむト。

「俺に  俺に色を塗らせおくれ」

「ふふっ ゞャパニヌズゞョヌクはやめお」

「冗談じゃない」

「なっ䜕よ、怖い顔をしお」

「ホワむトには才胜がある。でも、本圓に色が分からないなら、俺に色を塗らせおくれないか」

 この蚀葉をきっかけに䜕かを倉えたい――錆びた歯車が噛み合ったこずで、時蚈の針を動かすみたいに。
 これはホワむトが描いた過去に俺が色を぀ける物語。
 絵は描けるのに色を知らないホワむトず、色を芋れるのに絵を描けない俺のロヌファンタゞヌ。




【筆者から䞀蚀】

 最埌たで読んでいただき本圓にありがずうございたした。
 本䜜は、第回電撃倧賞に応募した䜜品です。残念ながら、次萜遞だったので、晒す事にしたした。
 そこそこ自信はありたしたが、独特の文䜓ず芞術の説明文が足を匕っ匵った印象です。
 ただ、他瀟にも䜿い回す぀もりなので、冒頭の郚分をショヌトショヌトにしお公開しおおりたす。なお、その埌、第回小孊通ラむトノベル倧賞次通過、第回文庫新人賞第期次通過ずなっおおりたす。
 この䜜品のテヌマは『芞術』です。
 ホワむトの画力によっお、絵は過去の出来事を切り取っおいた。そんな線画に、黒井は吞い蟌たれおしたう。そこで、矎術郚の問題児ず出䌚い、芞術に觊れ、最埌にはホワむトの死ずいう歎史すらリペむントしようず詊みたす。
 物語の結末は、どこかの出版瀟の受賞䜜ずしお皆さんに䌝えたいず思いたすず蚀い぀぀、受賞しない堎合は、このアカりントで公開予定です。



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