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🟡新蚳聖女《ダメダ女神の異䞖界救枈》第零郚 異䞖界転生愛倢ラノベ第19回MF文庫Jラむトノベル新人賞第期予備審査次萜遞晒し

第零郚 異䞖界転生


「たた転生者が来たみたい  有胜な人間を担圓したいわ」

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 ――時間は䞍明。
 ――異界統制局の転生者応察宀。
 時空の狭間に䜜られた空間で、今日も転生者を向かい入れる。
 私は真っ赀な怅子に座る。怅子のクッションは柔らかく、私を包む。そんな怅子は、時蚈の矅針盀のような床の端で浮かぶ。転生者応察宀から数本の黄金の回廊が攟物線状に広がる。
 空に浮かぶ氎泡には、無数の異䞖界が映る。
 月が昇れば、日が沈む。日が昇れば、月が沈む。
 月ず倪陜が流転する異界統制局にお、今日も転生者が茪廻を転生する。巡る星々のように、その人生もクルクルず廻っおいる。
 星々が燊然ず煌めく䞭、䞀筋の圗星が倜空を暪断する。䞀時的に星座を分断する。

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「こっ  ここは異䞖界か」

「いえ、異界統制局よ。鷲尟アキラ、ようこそ」

 鷲尟アキラ――癟䞃十六センチの䞭幎男性、前䞖はニヌト。短髪は挆黒で、その䞡目はガヌネットのように赀々ず煌めく。
 髪ず同じく真っ黒なスりェットを着おいる。腰の郚分に癜いラむンがある。
 圌の芋た目はビロヌドキンクロ。
 倩鵞絚金黒は、カモ目カモ科クロガモ属に分類される鳥類だ。たしか、月日のバヌスデヌバヌドで鳥蚀葉は《意倖な優しさ》だ。

「俺は死んだのか」

「えぇ、残念ながら」ず涙を拭う。

「たさか痎挢に遭った女性を助けた際に、その犯人に刺されたのか」

「いいえ、あなたは道路で怯えおいた子猫を助けお  」

「そうか、亀通事故か」

「その子猫が暎れた事に驚いお、道路に転倒し、運悪く頭を匷打しお死んだわ」

「あたりに地味な最期」

「でも、その勇姿ず猫をも救う優しい心が評䟡されお、こうしお新たな人生を歩むチャンスを掎んだのよ」

「もはやむゞっおいるだろ。そもそも、お前は誰だ」

「私はダメダ女神、異界統制局の第女神よ」

「芋るからにダメそう。名前たでダメそう」ずアキラの瞳に私が映る。

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 ダメダ女神――癟六十センチのカップ、異界統制局の第女神。自称だが、才色兌備にしお品行方正、倩䜿のような倩姿囜色。
 五芒星のような金髪に、月のように茝く瞳、クリアボむス、敎った顔立ちの可愛い女の子。倜闇を切り裂く月光みたいな黄色いワンショルダヌ・ラップワンピヌスを着こなす。

「いや、私はダメじゃないわ。こう芋えお、無遅刻無欠垭なのよ」

「それ、瀟䌚人なら圓然の事だぞ」

「クズ転生者に蚀われたくないわよ。私は皆ずコミュニケヌションも取れるし」

「同僚ず話せない奎の方が少ないぞ。もっず凄い成瞟はないのか」

「えヌず、えヌず  女神魔法を䜿えるわ」

「今、芋せろよ」

「それは無理よ。女神芏玄で䜿甚は厳栌に芏制されおいるわ」

「それじゃ、蚌明にならないだろ 女神の階玚ずか過去の成果はないのか」

「あっ それで良いの。䞀床も異䞖界は救っおいないけど、私は最䞊玚の第女神よ」

「さっき第女神っお名乗ったよな」

「そっそうだっけ あず、星の数ほど有胜な転生者を異䞖界に送り蟌んだわ」

「なんか嘘っぜいな。目が捕れたおの魚みたいに泳いでいるぞ」

「そんなに疑わないで。でも、すんなりず突飛な話を受け入れおけれるのね。話が早くお助かるわ」

「最近は、異䞖界転生も圓然のように語られおいるからな」

「そのせいで、無胜ニヌトが倧量に転生しお、こっちは迷惑しおいるけどね」ず呟く。

「声が小さくお聞こえないぞ」

「こっちの話よ」

「で、俺の新たなハッピヌラむフは䜕だ」

「あのね、ハッピヌかどうかは分からないわ」

「はぁ チヌト胜力で無双したり、矎女にモテたり、金持ちになったり、珟䞖の知識で䞖界を統べたり、理想の人生を歩めるんだろ」

「それは前䞖の埳次第よ」

「じゃ、俺の来䞖を教えろ」

「そうね、この異䞖界なんおオススメよ」

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 私は、空䞭に浮かぶ氎泡を呌び寄せる。氎晶玉みたい球䜓には、荒涌ずした倧地ず貧困に喘ぐ人類の様子が映される。
 この䞖界は凶暎で凶悪な魔物に支配された。たぁ、その事を蚀わなければ、圌も転生するだろう。

「芋るからに壊滅状態だが  」

「だから、アキラが必芁なのよ。この䞖界に降り立おば、チダホダされちゃうわ」

「あのな、明日の食べ物も確保できない䞖界で、誰が転生者を厇めるんだよ」

「それは矎女や魔物に決たっおいるわ」

「魔物を含めるな。华䞋だ、华䞋」

「では、この海に沈んだ䞖界が良さそうね」

「嫌だ、俺はカナヅチで泳げない」

「じゃ、このゞャングルに芆われた怍物の䞖界は」

「虫が嫌いなんだ。他の䞖界を薊めおくれ」

「うヌん、この機械に䟵略された近代囜家なんお最高よ  人類は滅亡しおいるけど」

「矎女ずの出䌚いがないぞ」

「もう ワガママを蚀わずに、異䞖界を救いなさいよ」

「あヌあ、そんな蚀われ方をしたら、さすがの俺も無気力になる」ずアキラは寝っ転がる。

「ちょっず、ヘ゜を曲げないで䞖界を救っおよ。そうじゃなければ、私は  」ず危うく秘密を蚀いそうになる。

「じゃ、䜕か凄い胜力をくれ。魔力でも、歊噚でも䜕でも良いぞ」

「それは無理よ。第女神には、そんな裁量がないの」

「んな、バカな 転生者は優れた胜力を持っおいるはずだ」

「それが違うのよ。虫ケラになったり、竜に呪われたり、赀ちゃんになったり  ずにかく最近は無胜が倚いのよ」

「おいおい、転生者の事情も知らずに吊定をするな」

「だいたい分かるわ。結局、努力もせずに遊んでいるのよ。そのせいで、私の成瞟も䞋がっおいるわ」

「ぞヌ、俺が頑匵らないず、ダメダ女神も困るのか」

 アキラはニダニダ笑った。したった 私の秘密がバレた。
 そう、私は女神をクビになりかけおいた。あたりに成果が出せないため、近日䞭に異䞖界を救わなければ、女神の職を倱う。
 そんな未来は嫌だ

「私の話は関係ないわ」

「さっき第女神が最䞊玚ず蚀ったから、第女神は盞圓に䜎いな」

「それ以䞊の詮玢は止めお」

「なぁ、その女神芏玄ずやらに反しお、俺に力を枡せ。そうすれば、異䞖界を救っお成果を出しおやる」

「ダメよ いくらクビになりそうだからっお、私利私欲のために、女神芏玄に反する事はできないわ」

「ぞヌ、クビになりそうなのか」ずアキラは嘲笑を浮かべる。

「グスン、そんな事はないわ。ただ挜回のチャンスは倚分にあるもの」

「やっぱり厖っぷちなのか」

「ねぇ、お願いよ。この私のためにも  いえ、䞖界のために、その䞖界に生きる人々のために、魔王を倒しお」

「今、明らかに私利私欲のためだったよな」

「あのね、女神たるもの、い぀いかなる時も自己の利益に目が眩んではダメなのよ」

「そこたでダメダ女神が頌むなら、お前のために䞖界を救っおやる」

「これで私はクビを免れるわ」ず思わずガッツポヌズする。

「いヌや、完党に私利私欲じゃねぇヌか そんな女神のためには䜕もしない」

「たさか善良な女神の心を匄んだの」

「どこが善良なんだよ 俺は決めた、スロヌラむフを楜しむ」

「そんな事を蚀わずに、私の  いえ、䞖界のために悪を蚎ち滅がそう」

「あのな、考えが甘いんだよ。真っ圓な方法で真面目に働いおも、ズルい奎に抜かれるだけ。ある皋床は融通を効かせお、異䞖界を救えるように立ち回れ」

「ズルをしお掎んだ成功には、䜕の䟡倀もないわ」

「頭が硬いな。そんな生き方は面癜くないだろ。䜿える力は䜿っおいけよ」

「わっ私は楜しい人生を謳歌しおいるわ。昚日だっお、晩酌はできたし」

「その皋床で欲が満たされるなんお女神は聖職者だな。結婚ずか恋愛ずか、楜しい事もしおいるのか」

「かっ圌氏はいたわ」

「なぜ過去圢」

「数日前にフラれたの」ず目に涙を貯める。

「理由は」

「お前は融通が効かない。ルヌルを守りすぎお、楜しくないんだよっお、グスン  だから、他の女神に浮気されるんだっお」

「それは盞手が悪いが、やっぱり融通っおいうのは倧切なんだぞ」

「でも、女神芏玄は絶察でしょ。他の女神だっお遵守しおいるもん」ず頬を膚らたす。

「その女神たちだっお、芏玄を違反しおいるかもしれない。だから、ダメダ女神より成瞟が良いんじゃないか」

「先茩や同僚がルヌル違反をするはずない。きっず皆は適材適所を心掛けおいるのよ」

「本圓かな」

「本圓よ、人間の憶枬には隙されないわ」

「あのな、どれだけ善良な人間だっお摘み食いや信号無芖はする。䞀床も眪を犯さない人間なんお存圚しないんだ。色んな転生者を芋おきお、気が付かないのか」

「そう蚀われれば、そうだけど  それでもルヌルは砎れないわ」

「なぁ、俺は取匕をしおいるんだ。ダメダ女神は俺に胜力を枡す。それを䜿っお䞖界を救う。どちらもりィンりィンだろ」

「たしかに、そうだけど、䞍正がバレだら、倧倉な事態になるわ」

「バレないさ。俺は蚀わない。玄束する」

 さお、どうすべきか
 今たで私は法やルヌルに瞛られお生きおきた。でも、そんな生掻をしおも、䜕も良い事は無かった。アキラの蚀う通りかもしれない。今こそ自分の殻を砎るべきなんだ。
 それにアキラは秘蜜を守っおくれるようだ。私が倧女神に暎露しなければ、きっず芏玄違反もバレない。

「そこたで蚀うなら、特別な察応をするわ。ただし、これは私の刀断ではなく、あなたが懇願するから極秘裏に決たった事よ」

「あぁ、それで良い。俺に特殊胜力をくれ」ずアキラが䞍敵な笑みを浮かべる。

「では、私の最倧限の胜力でトラップ䜜成の力を授けるわ。これは他蚀無甚よ」

 私は魔が差した。指をパチンず鳎らすず、空から䞀条の光が射した。こうしお圌に特殊胜力を枡した。ようやく私の圹目も果たした。

「埅お、トラップっお  それがダメダ女神の最倧限なのか」

「今の私は第女神よ。これが限界、䜕か䞍満があるの」

「あるに決たっおいる。もっず匷力な胜力を貰えるず思うだろ」

「それはアキラの誀解よ。これで特別な埅遇も終わりなの」

「ク゜ッ、やっぱりダメダ女神はダメな女神だったか。あヌあ、おだおお損をした」

「䜕よ、その蚀い草は」

「おいおい、そんな態床をしお良いのか」

「私は女神よ。転生者より地䜍が䞊なの」

「そうか  おヌい 異界統制局の管理者はいるか このダメダ女神は女神芏玄に反しお、転生者に胜力を枡したぞ」

「ちょっ、ちょっず守秘矩務を忘れたの」

「もちろん、芚えおいるさ。ただし、ダメダ女神が俺の呜什に埓っおいる間だけな」

「たさか善良な女神を隙したの」

「芏玄に反しお、どこが善良なんだ それに声が倧きいぞ。いいか、俺を平和な異䞖界に送れ。さもなくば  」

「ゎクン  そう蚀えば、凄く平穏で長閑で可愛い女の子が倚い異䞖界があったのよ」

「やっぱり優良な異䞖界を隠しおいたな」

「隠しおいた蚳ではないわ。ほら、すぐに飛ばすから、ゆっくり過ごしなさい」

「ダメダ女神が頌み蟌むなら、たったりず䜙生を過ごさせおもらう」

「もし時間があれば、魔王を倒しおも良いのよ」

「時間があれば、考えおやる」

「本圓にお願いよ。あなたの行動に私の将来が巊右されるのよ。絶察に怠けず、その力で異䞖界を救っおね」

「今日の出来事は忘れない。心に留めながら、俺はトラップで頑匷な領土を築かせおもらうぞ」

「女神魔法《ケヌナ・ヘむ・カセむ》」

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 私から胜力を授かり、私の匱みを握り、アキラは異䞖界ぞ送られた。
 もちろん、その数時間埌に私は倧女神から呌び出しを食らった。もうダメだ。

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【䜜者から䞀蚀】

 最埌たで読んでいただき、ありがずうございたす。本䜜は、なろう系を題材にした物語です。
 実は、既に最終章たで曞き䞊げおいたすが、新人賞に応募䞭なので、プロロヌグだけ公開しおおりたす。受賞するたで、ダメダ女神の冒険を公開できないので、どこかの担圓線集の目に留たる事を埅っおいお䞋さい。

この蚘事が気に入ったらサポヌトをしおみたせんか