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好きな人(仮)にウインクされた話。

HR(ホームルーム活動、学活みたいなものです)の時間。

普段だったら、やれ文理選択だのやれ成績だの進路だのと、小難しい話をされるのが相場だ。

でも、今回のHRは一味違う。

なんと、学級委員長がウインクキラーなるものをする、と言い始めたのだ。

ウインクキラー自体はいたって簡単なゲーム。


拙い文章では伝わらないと思ったので気になった方はこちらのサイトをご参考に。レクリエーションで結構盛り上がります!


終始大爆笑して、ただひたすらにおもしろいゲームのはずだった。




そこで、事件は起こる。



突然だけど、自分はウインクが下手くそだ。

どう頑張ってもウインクしているつもりが、ウインクではなくてただの瞬きになってしまう、らしい。

何故か、自分の中にあるいたずらスイッチがかちりと入った。

好きな人にウインクをしてみた。ほんのいたずらごころ。

正直恋愛感情として好きなのかどうかはわからないけれど、少なくとも尊敬していて話しやすい人。




おそらくまったくかわいくなくて、死にかけの金魚のごとく半目のウインクだったと思う。まぶたぴくぴくしてたし。

そんな自分をみてその人は笑った。苦笑かもしれないがつられて自分もにへら、と笑った。



その刹那。

ぱちり。


自分の目を見て、ぱちり。と。

ほんとにぱちり。と。

音がなったのかと思った。

自分の中の何かが確実に撃ち抜かれた。

首をちょっとだけ左に傾けて、肩をすくめるようにして。




ずぎゅん。

一瞬、時が止まった。なんなら息も止まった。




冗談抜きでこれは心臓に良くない。

さすがにかわいすぎた。びっくりした。

その後、その人は複数の友達に「ウインク見たいな、ウインクしてよー」とせがまれていた。

でも、その人は「やだー」といってかわしていた。




思い違いでなければ、その人は私にみえるようにしかウインクをしていない。おそらく。クラスで唯一私にウインクをしてくれた、と思う。

自分だけに見せてくれた表情のような気がして、うれしくて。

やっぱりずぎゅん。ってしたな。


ぱちり。

きっと忘れないと思う。ただのゲームだったけど。それでも、自分は撃ち抜かれた。

かなわないな。


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