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ロンドンでYMSビザで就職活動をする際のエージェントの活用方法

そもそもエージェントって?

ここではロンドンとか関係なく、まず就職(転職)で使うエージェントとは何かについて簡単に説明します。日本でエージェントを利用したことがある方は、日本での機能とほとんど同じかと思います。
エージェントとは、求職者と企業をつなぐ仲介役です。
求職者が「仕事を探しています」とエージェントに登録すると、エージェントがこの求職者の希望や適性に合う企業のポジション(求人)を紹介、面接のセッティング、条件面の交渉、勤務スタートまでを伴走します。
この流れの中で、求職者はエージェントへお金を払う必要はないので安心してください。

基本的な求人紹介の流れ

エージェントのWebサイトから求職者として登録、CVの送信を行います。
登録情報をもとに、エージェントに勤務する担当コンサルタントが面談の打診をしてきます。
コロナ前はエージェントに来社することが多かったようですが、現在はオンラインがメインのようです。
ZoomやTeamsを使ったことが無い場合は事前にダウンロードしておきましょう。自宅のWi-Fiが安定していない場合は電話面談を申し出てもいいと思います。

面談にてまずエージェント企業の紹介やエージェントとしての役割を説明され、その後求職者の詳しい経歴や意向を確認されます。
正式に求職者として登録するためにはパスポートなどの身分証明書の確認、ビザ確認のためBRPカードの写真提出を求められます。
個人情報を渡すことに抵抗がある方も多いかと思いますが、エージェントはイギリスで就業する資格のある身元のちゃんとした方のみを企業に紹介する責任があるため、個人情報の確認は必須となります。
エージェントによって書式は異なりますが、「個人情報の取り扱い同意書」にもサインを求められます。BRPカードを申請中であったり、渡英前でまだ手に入れていない場合などは相談しましょう。

正式登録後、求職者の経験や意向に沿った求人の紹介があります。
求職者はその求人にエントリーしたい、したくない、詳しく話を聞きたいなど意思表示をします。
エントリー後、エージェントが企業との面接を設定→内定→入社承諾となります。
企業によって、面接の回数や来社面接・オンライン面接・英語面接がある無しなどのスタイルは異なります。エージェントがスタイルについては把握しているので、事前にアドバイスをもらいましょう。

なぜ求職者にとっては無料なのか?

それは、内定後勤務スタートした時点で「素晴らしい求職者を紹介してくれてありがとう」ということで、企業からエージェントへ紹介料が支払われるからです。
エージェントはこの紹介料が収入源。その紹介料とはおいくらなのか?ほとんどの場合は、求職者がその企業から約束された年収に応じて変動します。日本では年収の20%前後です。
例えば年収400万円で決まれば、紹介料は80万円~

このパーセンテージは年収が上がれば同様に上がり、職種や年収により異なりますが、採用難易度の高い職種やハイスキル人材であれば、40-50%になることもあります。
そのため、どうせ仲介するなら紹介料を稼ぎたいのでハイスキル人材や管理職人材の仲介だけを狙おうというのがヘッドハンターとか言われますね。ちなみにロンドンで年収20Kの方の紹介を成立させた場合は紹介料は18~20%というのが相場です。

そして、勤務開始後〇ヶ月以内に「会社に来なくなってしまった」「退職を申し出られた」など、内定者の都合で勤務継続が不可能となった場合は、エージェントは紹介料の全額、または一部を企業へ返金します。勤務日数や継続不可能な理由によっても金額は異なりますが、「きちんとした求職者を紹介できず、すみません」という返金です。返金の代わりに即座に新しい人材を紹介することでリカバーを図る場合もあります。

エージェントはそうなることが無いように、求職者のスペックだけではなく、希望の働き方やキャリアプラン、職場の雰囲気に合うかなど慎重にすり合わせを行い、求職者と企業のマッチングを図ることが任務です。


なぜ企業はエージェントを利用して(紹介料を支払って)人探しをするのか?

人を採用するってかなりの手間です。
採用する人数にもよりますが、採用スキームを組み、広告掲載、書類選考、面接連絡、選考連絡、面接官とのスケジュール確認、内定者の意志確認などステップが多いです。
大企業でしっかり人事部があって、全国で新卒100名募集しようとかなら自社で取り組みますが、ある部署の数名のポジションだけの採用となると、エージェントを使ったほうが結果として低コストで済みます。
今回の採用背景、採用基準、採用スケジュールをエージェントに伝えておけば、エージェントがそのポジションに見合った人材を精査した上で、候補者を紹介してくれます。イギリスの場合だと、イギリスで就労できるビザなのか、期限などもエージェントが事前に確認しておいてくれます。
本気度が分からない履歴書を何十枚も見たり、個人情報を扱ったり、落選の連絡をするのもすべてエージェントがやってくれます。

また、一般的に不人気な職種や評判の悪い企業、知名度の低い企業、条件が悪いポジションなどは求人広告やSNSで告知を出してもなかなか人が集まらず、広告費だけを垂れ流してしまいます。
エージェント経由の採用は成果報酬型なので、人を採用しない限り、何人面接してもお金はかかりません。

求職者にとってのメリット・デメリット

エージェントと企業間では金銭が発生していますが、求職者にとっては無料なので最高じゃん、という見方もできますがきちんと求職者にとってのメリット・デメリットを把握しておきましょう。

<求職者がエージェントを使うメリット>
・希望に合った企業の求人を紹介してくれる
・求人広告を公に出していない企業などもあるので、いわゆる「非公開求人」に出会える
・履歴書(CV)の添削や、面接対策をしてくれる(過去の面接で聞かれた質問、英語面接があったかどうかのデータがある場合も)
・面談(キャリアについてのカウンセリング)をしてくれる
・自分では想像もしていなかった職種、業界を適性に応じて紹介してくれることがある
・企業との連絡がスムーズ(給与面など直接では聞きにくいことも確認してくれます)
・紹介してもらう企業はある程度の規模、知名度のある企業なので安心
・すべて無料

<求職者がエージェントを使うデメリット>
・志望度が高くない企業や、興味のない求人を紹介されることがある
・求人広告ではなかなか採用できていない、一般的には不人気な企業を紹介されることがある
・コンサルタントとの相性が合わないことがある
・内定を得た後、就業するかどうかの決断を急かされることがある

このデメリットについては、求職者側がしっかり意思表示をすることや、自分の話をきちんとコンサルタントが聞いてくれているかなど、面談の中で判断する必要があります。受け身の姿勢で「自分にはどんな仕事を紹介してもらえそうですか?」というよりも、どういう仕事があるのかいろいろ積極的に相談してみましょう。
エージェントも慈善事業ではないので、カジュアルに言うと人を紹介してなんぼです。エージェントにとっては、求職者が在庫商品、企業が買い手です。

ちなみに日本にはこのようなエージェントが数え切れないほどあるので、評判や得意な業界を調べてみたり、面談に行ってコンサルタントと話してみることをお勧めします。リクルートグループ、パソナ、dodaなどの全国展開の大手から、ベンチャー企業や地域密着型など様々です。

ロンドンでの日系エージェント・英系エージェント

ロンドンには日系エージェント、英系エージェントがあります。日系エージェントは日英バイリンガルのコンサルタントが担当してくれるので、日本語の対応はもちろん、日本人的な考え方なども理解してくれます。ロンドンの日系エージェントに求人を依頼している企業の9割は日系企業です。残りの1割は非日系企業(英系、米系、欧州企業)です。エージェントが担当している企業の求人によって、YMSビザでの就業をOKとしている場合とNGとしている場合があります。例えば、産休カバーや人手が足りないポストに期間限定のスタッフを募集している場合はYMSビザでの応募をOKとし、期間限定でないポジションの場合は永住者(企業のビザサポートなく勤務できる権利を持つ求職者)のみを応募基準にしています。もし将来的に企業からのビザサポートを得て長期間の就業を希望している場合は、美容師や調理師などの専門職でない限り、最初から期間限定のポジションではなく、狭き門にはなりますが英系のエージェントを使い、非日系の企業へ応募したほうが近道です。日系エージェントが扱う求人は日系企業で日本語と英語両方話せる方や、日本的な対応ができる方を必要としている場合が多いのですが、英系エージェントが扱うグローバル企業だと日本語のスキルは必要無いことも多いです。
まれにアジア向けのビジネスを展開していて日本的なビジネスマインドや日本での就業経験のある方を募集している場合もあります。

エージェントとの面談について

ロンドンにある日系エージェントに登録する際には、CVの内容に加えて下記のことを聞かれるので、事前に書き起こしておきましょう。また、面談で自分がどのように答えたのかも控えを残しておきましょう。

・VISAの種類・期限
・渡英済みか(まだの場合はいつ渡英する予定か)
・いつから就業可能か(渡英後しばらく語学学校に通うなどの予定があれば事前に伝えておきましょう)
・希望休日(土日休みor平日休みor不定期、現時点で○月には一時帰国の予定があるなど)
・希望年収、最低希望年収
 →イギリスでは月給ではなく年収ベースで話をし、年収を20Kや30Kとい  う金額で表現します。20Kは£20,000なので、例えば日本円で年収400万円ほどの希望であれば25Kです。基本的にイギリスでは通勤交通費は支給されないので、年収には含まれません。
・希望業界、職種
・希望しない業界、職種
・経験のある業界、職種(CVを見ながら話します)
・英語力について(TOEICや英検などのレベルの確認や業務において英語を使いたいかどうかなど)
・現在の就職状況
 →すでにほかのエージェントを通じて応募済みの企業については、選考状況まで詳しく聞かれます。これはすでに応募済の求人情報を重複して求職者に案内しないようにするためです。複数のエージェントからAさんを紹介された場合、企業はどちらのエージェントに紹介料を支払うべきか迷いますし、「Aさんってすでに○○エージェントからエントリーしているのに、また応募してきた。うちに応募したことを覚えていないのかな」と企業が持つ心象も悪くなる場合があります。
・仕事をする上での長所や短所(前職で頑張ったことなど)
・イギリスに来た理由

エージェントとの面談は面接や試験ではないので、カジュアルな雰囲気で行われることが多いです。まだ決まっていないことや、ロンドンでの相場が分からないなどは正直に伝え、相談してみましょう。良き相談相手となってもらうことが大事です。

エージェントを味方につけましょう

エージェントが企業に求職者を紹介する場合はCVとともに、面談を通じて得たコンサルタントの所感を紹介文や推薦文、補足という感じで提出します。
コンサルタントにはできるだけ自分のことを推薦してもらえるように、面談時に多くの情報を与えましょう。コンサルタントもできるだけ求職者の情報を得ようと、渡英の理由や趣味、学生時代のことなどを聞き、コミュニケーションをとります。
ここであまり興味を持ってもらえないような場合は、コンサルタントは「この人はあまり売れないな・・・。とりあえず登録だけしてもらうか」と思っている可能性が高いです。

前職で頑張ったことや長所などは「前向きです」や「人と話すことが好きです」という内容だとあまり人柄を感じることができないので、具体的なエピソードがあったほうがいいです。
面接ではないので緊張する必要はありませんが、コンサルタントにも「この人を〇〇に紹介したい」「紹介しても恥ずかしくない」と思ってもらえるように好印象を残しましょう。
エージェントをうまく使い、味方になってもらいましょう。
また、実は不安に思っていることや、今〇〇に内定をもらっていて迷っていることなども正直に話しておいたほうが後々のためになります。エージェントはロンドンでの生活が長いので、評判の悪い企業やあまりお勧めしない職種なども教えてくれることがあります。給与なども正直に相談したほうが後々のミスマッチを防ぐことができます。

例えば、本当は給料は23K欲しいけど、面談では「20Kあればいいです」と宣言し、20Kの企業にを紹介され応募する→内定を得る→「やっぱり給料が低いので内定を蹴ります」となると、求職者を紹介したエージェントのメンツが立ちませんし、この求職者はまた意見を変えてしまうかもしれないと不安に思われ、エージェントのサポートも手薄になってしまう可能性があります。
ここはお互いの信頼関係なので、企業にはっきり伝えてほしくはないけど、エージェントには把握しておいてほしいことなどは「企業側には伏せていただきたいのですが、実は」という形で相談してみましょう。

どのエージェントがいいの?

おそらくYMSの方がオフィスワークを探す際にお世話になるであろうロンドンにある日系エージェントは下記の5社です。上場企業もあるので念のため伏字にします。MixBなどのクラシファイドサイトで募集の社名を明らかにせずエージェント企業の名前で「ロンドン中心地の日系食品会社での事務募集」のように広告が出ている場合は企業がエージェントへ候補者の選定を依頼している募集になります。

・J〇Cリクルートメント
・センター〇ープル
・ピー〇ルファースト
・アクセス〇ポイントメント
・ケン〇リクルートメント

ジャパニーズレストランのキッチン・ホールスタッフなどは、オーナーが直接MixBに求人広告を掲載していることが一般的です。オフィス系職種は上記のエージェントを利用していることが多いです。また、エージェントが扱う求人は基本的にはフルタイムの仕事がメインです。

どのエージェントが良いとうよりは、実際に担当するコンサルタントによって良し悪しはあると思います。それぞれ会社の歴史や、規模、コンサルタントの人数、得意とする業界などが異なるので、複数社に登録することをお勧めします。
ロンドンにある日系企業はどこかしら上記のエージェントを利用しており、複数のエージェントへ依頼していることもあれば、エージェント1社に頼んでおけば十分だろうということで、上記のうち1社にしか求人の依頼をしていないこともあります。

例えば事務職で仕事を探している求職者Aさんはセンター〇ープルからも、J〇CリクルートメントからもB社の事務職の求人を紹介されることがあります。
逆に、エージェント1社にしか登録していなかったばっかりに、紹介される求人の数が少ないということもあり得ます。

また、担当コンサルタントによっては「〇〇さんは株式会社▲▲のポジションにはスキルが足りない、きっと書類選考落ちだろう」と判断され求人を紹介してもらえないことがあります。逆に「業界経験年数は少ないけど、ポテンシャルはあるので、ぜひ企業にあなたのことをお勧めしたい」と推薦してもらえたりもします。

企業がエージェントへ求人を依頼する際には、ビザの残存期限のほかに「金融業界での経験が最低3年」や「英語力がビジネスレベル」など、条件を提示しています。
「事務スキルが高く、マルチタスクで業務を遂行できる人材」など、判断基準が曖昧なものもあります。

ここで頑張ってくれるコンサルタントであれば、なるべく多くの候補者を紹介することで、内定獲得へつなげたいので、企業に紹介する際には「経験年数は2年と少し少ないですが、少数精鋭のチームで勤務していたこともあり、裁量のある業務を行っていた方です」と推薦コメントを添えてCVを企業へ紹介してくれたりします。

このようなコンサルタントの姿勢は、コンサルタントによっても異なりますし、登録してくる求職者のスキルやポテンシャル、また在庫状況(ほかの登録者数の人数やスキル)によっても異なります。

紹介して紹介料を得るのであればより高い紹介料を得られる(高い年収で紹介できそうな)スキルや経験のある求職者、応募先の幅が広がる永住者に親切になるコンサルタントもいます。
しかしハイスキル人材はなかなか居ない、もしくはそういう人はエージェントを使わずに自らLinkedInなどを使って自ら企業へアプローチして内定を得ている場合も多いです。

エージェントはYMS人材が多く登録してくる季節を把握しているので、他社エージェントで決められないように、早めに応募の意思確認の電話をしてきます。エージェントはスピード勝負なので、電話連絡をしてくるコンサルタントは熱心な場合が多いです。
求職者はエージェントをうまく活用することで就職活動がスムーズにできますし、エージェントは登録してくれる求職者のおかげで仕事になります。
持ちつ持たれつの関係なので、お互いをうまく活用しましょう。

さらに詳しいエージェントの活用方法や、CV作成、企業研究、面接対策について、下記に1万1000文字のノートを書いています。
有料300円ですが、私と知り合ってロンドンでお茶でもしようかとなると、往復の交通費のほうが高くなってしまうので、私にコーヒー一杯ごちそうしてくれるような感覚で購入頂ければ幸いです。目次だけでも見てみて下さいね。
購入頂いた方には「これを読んでCVを書き直した」「面接でなぜこの質問をされるのかの意図がわかった」など、感想のDMを頂いて本当に嬉しいです。これを読んだ方々が素敵な企業から内定がもらえますように。
【YMS】複数社内定獲得の経験に基づくCV作成、面接アドバイス
https://note.com/im_in_london29/n/n9864fbdd8f98

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