(後半)【経営とPRとブランディング】パーパス経営とソーシャルマーケティングを考える―ウエビナーリポート
Hello, people.
今回も、パーパス経営とソーシャルマーケティングを切り口とした「経営とPRとブランディング」に関するウェビナールポをお届けします。
「パーパス設計の成功事例」と「理想的なソーシャルマーケティングの形」を熱く語った前半に続き、「BtoB、BtoC、DtoC… それぞれのソーシャルマーケティングの違い」や、「パーパス経営とSDGS、ESG、ソーシャルの関係性」について、今回はファシリテーターも含めたディスカッション形式でご紹介します!
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登壇者プロフィール
沢田圭一
株式会社エスケイワード
創業約60年企業のCOOとして、企業の理念や価値観に寄り添いながら“変革したい業務分野”と“開拓したい市場”の両面での成果を出すことを得意とする。現在はワークショップデザインや組織デザインを学び実践中で、中小企業の事業承継とブランド力向上を今度の活動領域にしていこうと画策中。趣味のボードゲーム+ワークショップによるプロジェクトの設計も。
福島享之
株式会社メンバーズ
旅行会社エイチ・アイ・エスにて、約7年間WEB事業に従事。その後、新規事業開発室を経て2014年にメンバーズに入社。ソーシャルメディアを主軸とした企業のデジタルマーケティング支援を担当。企業が掲げる戦略に基づき、戦略立案からマーケティグ支援やコンテンツ企画、SNS広告などの領域をカバーしつつ、コンサルティング業務に十字。企業のソーシャルメディアのマーケティング活用において、ソーシャルリスニングなどを用いた顧客の心理ロイヤルティの醸成を目的にした支援を強みとしている。
ファシリテーター
辻原咲紀
ILY,inc
BtoB、BtoC、DtoC… それぞれのソーシャルマーケティングの違い
福島 ソーシャルマーケティングにおいて、B2B(Business to Business)かB2C(Business to Customer)かで違いはないと思っています。一般的にB2Cの方がSNSと相性が良いと言われていますが、B2BにとってもSNSは発信装置として非常に有効だと思います。B2BはWEBサイトしかなく発信手段が少ないケースが多い。SNSを積極的に活用し、企業の姿勢やミッションビジョンを伝えることが有効な施策になると思います。
実際に、小売、不動産などで、SNSの活用は非常に増えています。製造業ももっと増えている肌感があります。
一般的なSNS の使い方として、広報宣伝は今や誰でもわかっていますが、最近のニーズとして会社案内や人材募集として使いたい企業も増えています。会社案内にミッションや活動を載せたり、コーポレートサイトを切り出してコンテンツ化したいという要望もあります。
辻原 経営の方針を立てるところまではできても、それをソーシャルマーケティングに落としていくのは結構なカロリーがかかるのでは。
福島 そうですね。まず経営層の方や、詳しい方は「パーパス経営」というとすぐ気付いてくれますが、日々忙しい担当者の方などには理解していただくのが難しい。そこで思い出したいのが「WHYの定義」です。なぜソーシャルマーケティングをやる必要があるのかというと、企業の姿勢やミッションビジョンを広く伝えるためですよね。業務に追われていると、どのようにやるか(HOW)ばかりを考えてしまいますが、そのまえになぜ(WHY)やるのかを考えることが大切です。
〈B2C でもB2Bでも受けては人。誰に伝えるかは制限せず、正しい情報を発信すること〉
辻原 B2Bの場合は、そもそも誰に伝えるかという問題もあります。
福島 日立の代表者のケースでも「お客さま、取引先、協力企業の皆様へ」という話し方をしていますが、取引先や協力会社に呼びかけるのもありだと思います。経営者のおよそ60%が、投資や業務提携をする前にSNSを見る傾向があるという調査結果があります。そこに日々の活動や周りの評価があるからです。
辻原 B2Bのマーケティングでよく言われるのが「最終的にピープルである」という言葉。B2CでもB2Bでも最終的に一人の人間が、コンテンツ自体をどのように受けてくれるかを考えることが重要ですね。
福島 B2B企業から「やってみてよかった」といわれることの1つが、事業の活動や経営者が今何を考えているかをSNSで発信することです。従業員が、その発信で知るというんですね。誰が見るかは制限せず、受け手がしっかりいることを理解して、正しい情報を発信していけばいいと思います。
〈内発的動機を掘り下げ、事業を価値あるものにする言葉を探すこと〉
辻原 ところでコロナ以降、パーパス的なところに立ち戻ろうという企業は増えたのでしょうか。
沢田 以前は周年記念行事などを盛大にやりたいというところが多かったのですが、時期柄できず、なおかつ今後の不安もお持ちの企業が多い。だからこそ、今一度自社の存在価値を考え直すために、経営者の考えをもう一度言語化し、社員にも落とし込んで、行動指針まで作りたい、というご相談は増えています。
辻原 事業を価値あるものにする言葉をあらためて探していくことは大切ですね。沢田さんのワークショップでもされているような、外からではなく内発的動機を掘り下げていくことですね。
沢田 誰がつくったかわからないミッションやビジョンになぜ従うのかという疑問が生じ、たとえ結果が同じでも自分たちでもう一度作り直したいという声は増えています。自分たちで考えて作った定義だからこそ次の一歩が歩めると。
辻原 内発的動機をいかに作るかが社会のテーマだと感じますね。企業内でもミッションやビジョンを自分たちで作り直すことで内発的動機を作り出せます。また「ソーシャルグッド意識」の図版を見ると、内発的動機や自分たちのオリジンを示すようなソーシャルマーケティングを行うことで、生活者から選ばれやすいという傾向もありますね。
〈生活者がSNSでシェアする情報の中に、参考にすべきヒントがたくさんある〉
福島 ソーシャルで面白いと思うことはもう一つあります。今や企業も商品やサービスについて投稿することは当たり前となり、そこで生活者の自己実現を満たしていますが、生活者はさらにそこから情報のシェアをしてくれます。そこに企業へのフィードバックのたまり場があります。
生活者に経営方針やメッセージがきちんと伝わっているのかをリサーチするため、当社ではソーシャル上の何万件という声を全部拾って分析し、企業にフィードバックしています。直接生活者の声を聞く機会がない企業には、こうしたナチュラルなデータはとても喜ばれます。
そこで経営方針が伝わっていなければ、メッセージを変えていくなどして、サイクルを回していく。ソーシャル上に参考になるデータはたくさんあります。
辻原 企業としてはソーシャルを育てる課題もありますね。成果を実感するのはどういうところなのでしょう。
福島 わかりやすいのが、「売れなそうなものが売れる」という成果。普段訴求していないものを投稿すると、売れることも多いです。大切なのは機能訴求にせず、商品が誕生した背景や、使われてきた歴史、企業理念などを伝えていくことですね。
沢田 B2Bの方が、ソーシャルの最初の一歩を軽やかに踏み出すためには?中には「出すものが何もない」と言う方もいます。
福島 B2Bの場合、こだわりのある職人や専門職の方も多く、お話しするとネタの宝庫です。「出すものが何もない」というのは、壁打ちの相手が社内にいないからわからないんだと思います。壁打ちするところから可能性を引き出していくと、比較的カロリーを使わず楽しくできると思います。
パーパス経営とSDGS、ESG、ソーシャルメディアの関係性
辻原 お二人のお話を伺っていて、キーワードは「パーパス」「オープネス」「ステートメント」と感じました。つまり、経営目的を明らかにし、それを広く内外に伝えるということです。
今だとSDGsとかESGなどの指標や概念があるので、そこにつなげたほうが社会的認知が取りやすいという認識は浸透してきているのでしょうか。
沢田 SDGsやESGを意識している企業には2通りあって、1つは「流行りだからやらないといけない」といった考え方の企業です。もう1つは、もともと日本企業がよく大切にするような近江商人の「三方よし」に近しいことをやっていて、それをどう伝えたらいいのかわからない企業です。こちらになると相当お話しがやすくなります。
社会貢献をビジネスでやりたいのか、ビジネスで得た利益を通じてやりたいのかは結構大きな違いがあります。
辻原 SDGsやESGのゴールを目指して、ビジネスモデルから見直すべきだと考える企業が増えることは、希望ですね。
ブランディングは見た目だけよくしても、最終的にその企業が海外で不正労働などさせていたら‥。そのあたりもESGなどを使いながら、きちんと足並みを揃えていけるのはいいですね。
沢田 生活者が賢くなっているので、中身が伴わない見た目だけのブランディングや、単に商品を売るためのPRでは選んでもらえなくなっていますよね。
辻原 SDGsやESGのゴールを目指して、ビジネスモデルから見直すべきだと考える企業が増えていくのは希望ですね。本日はありがとうございました。
次回ウェビナーでは「PR視点でのブランディング&マーケティング」をご紹介します。
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