見出し画像

まち・空間・飲食ビジネス ウェビナーリポート

Hello, people.
今回のテーマは「まち・空間・飲食ビジネス」です。
今、空き家増加や地域のコミュニケーション不全など問題を抱える「まち・空間」と、コロナ禍で課題も増えている「飲食ビジネス」とをうまくマッチングさせることで、もっと人が生きやすくなる社会に変わるはず。

そこで実践的ビジネスコミュニティ GDA(Good Days Association)では、豊富な事例を紹介しながら、「まち・空間・飲食ビジネス」にまつわるウエビナーを開催。その内容をお届けします!

GDA(Good Days Association)
約 30 名の経営者、ビジネスマン、事業推進責任者 が集まり、専門知識の共有によるオープンディス カッション、他社・団体との協業、社会投資や支援 を活動の主軸とする実践的ビジネスコミュニティ。

日神山さんの事例

日神

日神山晃一
株式会社シーナタウン

埼玉県生まれ岡山育ち。店舗設計施工会社でインテリアデザイナーとして働いたのち、父の稼業の内装屋(有限会社日神山内装:岡山本社)を継ぎ、東京セクションを立ち上げる。
たまたま住み始めた豊島区池袋西エリアで有志とまちづくり会社、株式会社シーナタウンを立ち上げ、商店街のまち宿とお菓子工房「シーナと一平」、お弁当と社食「アホウドリ」、ブルワリーパブとコレデイイノダラジオ「Nshiike Mart」を運営している。おもしろい才能があぶりだされ、チャレンジできる拠点づくりがモットー。現在は運営も含めた場所・空間・まちづくりの提案をおこなっている。

日神山 これまでインテリアデザイナーとしてレストランや美容院などを手がけてきましたが、たまたま住み着いた豊島区の椎名町で、地域の仲間とまちづくりの事業を始めました。

まいにち

株式会社シーナタウンでは、商店街のまち宿とお菓子工房の「シーナと一平」、お弁当と社食の「アホウドリ」、ブルワリーパブとラジオ「Nshiike Mart」の3つを運営しています。

「シーナと一平」についてご説明します。
豊島区は都心で唯一消滅可能都市といわれていて、

・高齢者率が高い、それも単身高齢者。
・古い木造密集地域で防災上の問題がある
・商店街だらけだがお互いがあまり仲良くない
・商店街の空き店舗が増え、だれも継がない

などの問題があります。
実際に住んでみて、世代を超えた対話の場が少ないと感じ、そこを解消すれば外から人がきて、お金を落としてもらえたり、住みたいと思ってもらえると感じました。

そこで商店街の中にある築40年以上のとんかつ屋をリノベし、まちを楽しみ商店街を味わう「タウンステイ」という考え方の「シーナと一平」をオープン。

最初に「お掃除ワークショップ」や「空き家バーなど」のイベントで人を集め、少しずつ出資もしてもらいました。
もちつき大会でもちをふるまいながら、地元の人にも知ってもらったり、地域の祭りにも参加。カフェ、菓子店、飲み会、落語会、子どもの商売体験なども行い、イベント時だけでなく日常的に存在することで、まちのことを聞きたい人、何かを教えたい人など、いろんな人が来るようになりました。

コロナ禍では1年間限定でシェアハウスをスタート。世代も属性も多様な人が集まり、バー、ワークショップ、まち情報の発信など、それぞれできることをしています。

「Nshiike Mart」は、回廊型マートだった古い物件を借り、子どもから大人まで関われるイベントを開催。

出会ったブリュワーさんが、その地域のビールを飲む「ドリンクローカル」という文化を広めたいという思いに共感し、ビールの醸造場を設置。

またこのあたりはトキワ荘、池袋モンパルナスなど自分らしい人生を歩んでいる人たちが多く住んでいたことを受けて「クリエイティブな人たちが集まって一歩踏み出せる街に」という思いでインターネットラジオ局も開設しました。

「アホウドリ」はケータリングや社食の提供を行っています。

シーナ

このように株式会社シーナタウンは、まち・空間を中心に、大家さんやプレイヤー、まちづくりに関わる行政などともつながりながら活動し「行ってみたくなるまち」「人に自慢したくなるまち」になることを目指しています。

小野さんの事例

小野

小野正視
株式会社Yuinchu

新卒でZoffに入社。その後、学芸大学のカフェにて店長を経験し、KOMAZAWA LOCATIONSを立ち上げる。IT企業にて代表の補佐をしながら、レンタルスペースGOBLIN.を立ち上げ、事業を引き継ぎ2012年8月に株式会社Yuinchuを設立。
現在、「場をつくり、接点を増やす。」をコンセプトにヒト/モノ/コトが行き交うカフェやレンタルスペースや撮影スタジオ、ケータリングなど様々なカタチで展開中。

株式会社Yuinchuでは、オン、オフとわず、人々が一人でも多くの人が、ヒト/モノ/コトに触れる接点、コミュニケーションスポットを増やすために以下のようなサービスを展開しています。

ユインチュ

まずひとつは「GOBLIN.」というレンタルスペース、収益化が苦しい飲食店を継続させるため、渋谷、表参道、品川などのスペースを貸し出すサービスとして15年前に始めました。BtoC ではなく、企業のために大きな空間を提供するサービスなので、コンシェルジュをつけて、コールセンターも設置するなどサポート体制も充実させています。

「SHOOTEST」は、撮影スタジオやロケ地を探せるポータルサイトです。撮影設備やフードコーディネータがついたスタジオも用意、撮影者が仕事に集中できる環境を作り、サイトも撮影者が検索しやすい仕様にし、20万PVまで成長しました。

「HYPHEN TOKYO」は、都心での事業である「GOBLIN.」に対して地方や郊外の課題を解決していくために、コーヒースタンドを起点とした場作りを提供。チェーン店と個店の中間のような感じで、しくみとしてのコーヒースタンドを提供。店主はコーヒーを追求したり、コーヒーは1種類だけ出して地域の人との会話に収集したりと自由に運営できるライトなパッケージを設定しています。

カフェの8割は1年以内に閉店する中で「HYPHEN TOKYO」のしくみがあれば、もっと場作りのためのコーヒースタンドが立ち上がると期待を込めました。

「Mo:take」は、「GOBLIN.」を運営する中でパーティーの需要が多くあったことから始めた、テーブルコーディネートのケータリング事業です。企業イベントを中心に4〜5年かけて成長し、オリンピック関連の仕事も決まって有終の美を‥と思っていたら、コロナの影響を受けてしまいました。
そこで食をもっと広義にとらえ、今は法人の商品開発お手伝いも始めています。

このような4つのサービスをやりながら、大切な情報をアーカイブするためにオウンドメディアも運営しています。

他にもグループ会社が2つあり「Pooka」は、クリエイティブのチームと一緒に、もともと私たちが得意とする、企業の想いをマーケティングやクリエイティブにアウトプットしていく事業を行っています。「No WORK」はビジネスにおけるコミュニケーションデザインをテーマに、企業のコンサルティングサポートを行っています。

まちと“お店”の関わり方

小野 コーヒースタンドの「HYPHEN TOKYO」を始めるヒントとなったのは、多磨霊園の駅前にある、訪問医療介護の会社が運営するカフェの事業でした。

その介護会社の代表と出会い、企業として地域に関わっていくきっかけづくりとして「FLAT STAND」というカフェを始めることに。店名には「誰でもフラッと来られる」というテーマと、「誰でもフラットなのだから、何かあれば助け合おう」裏テーマが込められています。

たとえば1時間5000円だとハードルがあるけれど、店と主催者が一緒に企画を半分ずつ持ち寄るとか、企画自体は主催者が出しても1人の参加費を店と按分するような事業モデルならやれると思い、実際にやってみたら立ち上げて半年には20本の案件が入りました。

日神山 ビジネスをあえてきっちり仕上げず、それぞれにちゃんとかかわる余白をつくっているところがいいですよね。

小野 僕らが商売としてやっていくことも大事ですが、「FLAT STAND」を運営している方々の思いも大切。僕らは機能としての場を提供しつつ、余白をつくりことができると考えました。今、まちに必要なのはそういうことかもしれません。まちに違和感のあるようなおしゃれな店ができたり、エリア開発でチェーン店ができるより、「FLAT STAND」や「HYPHEN TOKYO」のようなしくみのほうが安心して店を回せて、結果的に個性を発揮するレベルも高くなるかと。

日神山 インテリアデザイナーとしても空間だけ作るよりも、その前から関わることができると人間関係もできるし、違和感があれば是正できるようにもなります。そうしてまちのことに関わった結果、今は設計の仕事も近くで増えています。

小野 クリエイティブ先行で、そこに立つ人が想像できていないと違和感の原因になるかもしれませんね。

これからのまちとお店について

おみせ

小野 これからのお店づくりやまちづくりは、役割分担が明確な状態で混ざり合うのがいいと思います。僕はオペレーションとか、人事戦略などソフト寄りの人間なので、これからは日神山さんのように、ハードのデザインをしている人との議論が増やしたいですね。

日神山 そう思います。その人にどういうことができて、任せると何が返ってくるのかを考える。お店にしてもそうで、食べ物も服もネットで買える今、そこに行くことで、偶然性も含めてこういうことが得られる、という空気を出していくことも大事ですよね。「シーナと一平」も、常に新しい面白い人が入ってきて、「なんか楽しそうにやっているよね」って感じで見られていると思います。

小野 「シーナと一平」も人ありきの場づくりなんだなと感じました。働くという感覚すら超えて、暮らし、生きる場所として楽しめばいいですよね。

日神山 人が浮かび上がらないと面白くないですよね。僕も仕事や家の境界線がなくなってきて。その中で宿があることでいろんなチャンスが生まれてきています。

小野 僕らの会社のテーマでもある「コミュニケーションスポットをつくり、ヒト/モノ/コトに触れる接点を増やす」というのは、プラットフォームにも近い言語。人ありきだからしくみやプラットフォームがいるわけですが、プラットフォームでシームレスに予約がとれるだけではだめ。なぜコミュニケーションをオフラインでもとらないといけないのかを、真剣に考える企業も増えるのではないでしょうか。

――お二人とも、まちや空間を起点に文化をていねいにつくろうとしているところに魅力を感じました。お二人へのご相談があれば、当社でおつなぎしますのでお気軽にどうぞ!

Thank you, we love you!

▼こちらの記事もぜひチェックしてみてください!GDA#01week3​:空間と建築、まちづくりと飲食ビジネス『フードビジネスの戦略設計とこれから』

私たちILY,は、ロゴ制作やビジュアルデザインなどの”見た目のデザイン”にとどまらず、MVV策定や事業・サービスのコンセプト設計などの”コトのデザイン”もご提供しております。お気軽にご相談ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?