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#16 「アルツハイマー病は脳疾患ではない」という”仮説”。脳じゃなければ何なのっ?!という件。

2022年9月27日、Newsweekに興味深い記事が掲載された。【アルツハイマー病は「脳疾患」ではないかも知れない。】というのだ。

アルツハイマー病は長年、脳疾患と考えられ、脳内で生成されるタンパク質の一種「アミロイドベータ」の凝集を抑制する治療法について研究されてきたが、これの元になっていた学術雑誌「ネイチャー(2003年)」に掲載された「『アミロイドベータスター56(Aβ*56)』というオリゴマー種がアルツハイマー病に関連する認知障害に寄与している可能性がある」との研究論文が、なんと2022年7月、学術雑誌「サイエンス」で「この研究論文は画像操作され、結果が捏造されたおそれがある」と報じられ、脳科学分野、認知症研究に激震が走る。

アルツハイマーが脳疾患でなければ、何なのっ?!

そこで、アルツハイマーの新たな理論として、加クレンビル研究所の研究主幹ドナルド・ウィーバー博士らの研究チームが、2022年4月22日付の学術雑誌「アルツハイマー&ディメンシア:トランスレーショナルリサーチ&クリニカルインタベンションズ」で「アルツハイマー病は脳疾患ではなく、脳内の免疫系障害なのではないか」との仮説を明らかにした。

免疫系は脳を含め、体内のあらゆる器官に存在する細胞や分子の集合体であり、損傷した組織の修復やウイルス、細菌などの侵入を防ぐ役割を担っている。
アミロイドベータは異常タンパク質であると考えられてきたが、ウィーバー博士の仮説によれば、脳の免疫系の一部として正常に生成される分子で、脳が外傷を負ったり、脳内に細菌が侵入した際、脳の免疫応答に重要な役割を果たす。

Newsweek本記事より抜粋

ウィーバー博士の「アルツハイマー病は自己免疫疾患だと考えられる。」という仮説は、当時、認知症の母の介護に奮闘していた私には、思い当たる節が多々感じられた。

認知症が進行すると、まず、「体重の減少」が顕著になる。
これは3食、ちゃんと食べていても、免疫機能の低下で、水分や栄養分が身体にうまく吸収されないからだ。なので、いくら食べても、痩せていく。
本当に植物が自然に枯れていくように・・・。

二つ目は、認知症患者の死亡の「起因」が「誤嚥性肺炎」である事が多いこと。
誤嚥性肺炎とは、鼻や口から入ったウィルスが、気管を通して肺まで侵入してしまい、肺に炎症を起こす疾患だが、免疫機能が平常運転している健康体であれば、鼻や口にウィルスが入った時点で撃退しており、誤嚥性肺炎にかかるリスクは少ない。万一、発症しても、治癒することが可能だ。

ところが、認知症患者で一度、誤嚥性肺炎を発症すると、治療をして、一旦は症状が良くなっても、また再発してしまう。免疫機能が低下しているから、鼻や口から入ってくるウィルスを撃退することができなくなっているからだ。

免疫機能が低下した認知症患者は、自分の唾(ツバ)を飲み込んでいるだけで、「誤嚥性肺炎」になる可能性が高い。(だから、認知症患者には、こまめな口腔ケアが必修。)

私の母は、「要介護3」と「中度後半~重度の認知症」の段階で、誤嚥性肺炎を発症し、治療の為の入院から寝たきり状態に陥り、みるみる衰弱して、入院からわずか1ヶ月後に亡くなった。「誤嚥性肺炎」を起こす2ヶ月前に、コロナに羅患していた事も、衰弱を早めたのではないかと感じている。

しかし、母の死因は「認知症」でも「誤嚥性肺炎」でもなく、
「老衰」と記載されていた。

認知症予防の要は、「脳の機能を落とさない事だ」と考えていたが、そうではなく、もしかして、「免疫機能を落とさない。」ことが、「脳の機能を落とさない」ことに直結しているのではないか?と、私は考えるようになった。

つまり、認知症予防には「脳トレ」ではなく、
「ヨーグルト」なんだ・・・。

というお話は、また次回w




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