【創作小説】自己紹介、僕のこと。

入浴ついでに浴室の掃除をし髪を乾かしている頃に、脱衣時にスイッチを押しておいた洗濯機が仕事を終えてピーと三度鳴く。
一日分の衣類と、枕カバー、ハンドタオル、バスタオルをそれぞれ一つずつ干すことが毎平日のルーティンになりつつある。
いろいろと試した末、ようやくこのサイクルに生活が落ち着いてきたと感じている。

インスタを見て掃除術や収納術を覚えた。
浮かせる収納?クエン酸?ディフューザー?
大抵のことは僕に聞いて欲しい。
オススメを教えてあげられるから。

そうそう、最近は積立NISAなんかも興味が出てきて、先週の土曜日には銀行にも行ってきたんだ。
これからはお金のことにももっと真剣に向き合っていきたいという気持ちが芽生えたのは、数字がものをいう世界に飛び込んだ影響だろうか?

土曜日と言えば、夜は久しぶりに同期全員で集まって新年会をした。
新年会とは名ばかりで、その日に至るまで2~3人単位ではすでに飲みに行っている。
みんな気のいい奴らばかりで、金曜日、目が合うとそれは招集の合図なんていうのが暗黙の了解だ。
それはさておき、みんなの仕事の話を聞くことは楽しい。
日々数字に没頭するあまり視野が狭くなっていることがわかったり、新たな戦略の気付きになったりと、僕らは互いにいい影響を与え合い、励まし合い、そうやって一人も欠けることなくここまでやってきたんだ。
きっとこの中の数人とは一生の友人になれる気がする。

土曜の夜から日曜日にかけては彼女と過ごす。
高校から付き合い始めてそろそろ丸7年になる。
同棲の話なんかも出ているけど、今はお互いの仕事もあるし土日に互いの家を行き来することで折り合いをつけている。
7年目ともなるといよいよデートのレパートリーが尽きてきていることが悩みの一つでもあるけれど、公園のベンチに座っているだけで一日が潰せるくらい僕たちは馬があっている。
何となくこのまま結婚するんだろうな、と思いつつきっかけを探っている。
もし結婚するならば彼女にはもう少しお金の使い方を考えてもらいたいところだけれど、今は家計も違うし僕らは一個人、一大人なのだから僕が口を出すことではないと思って静観しているのが現状だ。

洗濯物を干しながら、日々について考える。
この完璧な、理想通りの日々。
しかし慢心しているわけではなく心には秘めたる野心だってある。
これからもずっとこの完璧な暮らしを続けていきたいと願っている。
そのためならどんな努力でもしていくつもりだ。



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