恋愛心理学について

 ここ2,3年、ずっと恋愛小説ばかり書いていました。
 どういう心情描写をすれば説得力があるのかをずっと考えていたのです。
 それで幾つか仮説を立てて、それに基づいて小説を書き、周囲の反応や自分の感覚で正しいものを特定したので、今日はそれについて書きます。

人は自分の理解の範疇でしか相手を理解しない

 結局、恋愛だろうが何だろうが、感情と言うものは他人から伝染するものではなく、「自分の中」から湧き上がるものです。ですから、元々自分の中に存在しない感情が湧き上がると言う事はないのです。「恋は盲目」と言われるのはそういうことで、結局恋とは自分の都合のいいように相手を捉えているだけ。それが前提となります。では、ひとつひとつ見ていきましょう。

なぜ「優しい人」に惹かれるのか

「好きなタイプ」と聞かれて「優しい人」と答える人は多い。勿論それは甘えたいからという事もあるだろうが、「優しい人にドキドキする」という心理があるのだ。これは突き詰めると「自分のテリトリーに入り込んでくる人間に対する防衛本能」である。例えば転んだ時に「痛くない?」と言われると、「痛む」という「弱み」を見透かされたという防衛本能が無意識に働き、相手を無意識に脅威と認識してしまうのだ。これが強すぎれば当然喧嘩になる。恋とはそれが僅かに、無意識的に起きている状態。これがまず恋心のひとつ目である。だから、別に甘えたいワケではないハズなのに、優しい人と居ると緊張してしまう、ドキドキしてしまうといった人も多い。それは自分のテリトリーが常に脅かされる恐れがあることで緊張しているからだ。優しい人は、プライバシーリテラシーも低い傾向がある。あからさまなボディタッチは厳禁だが、手を差し伸べられたり、少し撫でられたりすると、ドキドキしてしまうものなのだ。

一人一人に元々存在する「好み」に合う人

 これを最初に書けよと言われそうだが、当然「一目惚れ」ということもある。見た目や声、或いは匂いなど、生まれつきそれぞれに持つ「好み」に合致すれば当然その人のことを好きになる。これが恋愛感情の二つ目である。また、生まれつきあまり「好み」を持たない人と言うのも一定数いる。流されやすく、相手に合わせることが苦ではないタイプだ。こういった人は、結局、相手の好みに合わせてカメレオンのように変化できるので、モテる。もちろん生まれつきのものは変えられないが、服装やヘアスタイルや雰囲気などは本人の意識で相手の好みに変えられる。それに、相手が延々と自分の趣味の話ばかりしていてもうんざりしない。むしろ、スポンジのように吸収し、染まってしまうことができる。そんな人は、優しいと思われるし、自分のことをすごく考えてくれていると思われる。だから、やはりモテる(ますます好きになってしまう)のだ。実は自閉症はその傾向が強い。だから、自閉症がモテると言われるのはその辺りにあるのではないかと思う。また、メンヘラや地雷女(依存癖のある人)が最初のうちはモテる原因もここにある。
 また、自閉症がモテる理由の一つとして、やはり「天然」と言うのが挙げられる。後述する「大胆」と誤解されるのだが、あまり深く考えずに行動することにより、相手が勝手に深読みしてしまうのだ。つまり、「思わせぶり」な行動をしがちなのである。そうすると相手は勝手に深読みして、その人の言葉の意味ばかり考えてしまったりして、結果的にそれが恋になるのだ。もちろんこれらも、あまりにも空気が読めなさすぎればただの嘲笑や恐怖(ストーカーなどになれば当然恐怖である)の対象となる。恋とはほんの僅かなすれ違いのときに起きるものである。

優位「そう」な人に対する「委縮」

 人は誰でも自分よりレベルの高い人に恋愛感情を抱く訳です。つまり「劣等感」やコンプレックスのある人はそれだけで恋愛弱者(好きにはなるが、好きになってはもらえない)となります。ですので無意識に、実際のレベルに関係なく、「レベルが高そうな人」に惚れてしまう心理があります。つまり「頭が良さそう」とか「落ち着いている」とか、そういう「凄そう」だけでモテてしまう訳です。「男は度胸」と言いますが、そういう事です。

「恋」と「愛」の違い

 さて、今まで3つの恋心をチェックしましたが、これらは全て自律神経の中の「交感神経」を刺激する感情です。ちなみに感情が自律神経を刺激する理由は、感情を支配する大脳新皮質と自律神経を支配する視床下部が隣接しているからです。交感神経を刺激することで心拍数が上昇し、ドキドキして恋をする(相手を上位の存在だと認める)ということなのです。この逆の感情は副交感神経を刺激することになります。副交感神経が刺激されるとリラックス(相手を下位、無害な存在だと認識する)するので、「萌え」とか「可愛い」とか「癒される」といった感情を抱きます。例えば次のようなことです。

困ってる人を見ると可愛いと思う

 本気になっている人や怒っている人を見ると逆に冷静になるという経験をしたことがある人もいると思います。ちょっとしたイタズラをするだけで本気で怖がったり驚いたり怒ったりする人って可愛いでしょう。また、自分に気があって、自分の行動ひとつひとつに赤くなったり慌てたりしている人は「かわいいなあ」と思うはずです。恋愛とはその「ドキドキ」と「可愛い」の繰り返しで、その回数が釣り合う者同士がバランスの取れた「お似合いカップル」という事になるわけです。

 また、「性欲」においても二種類があります。勃起や愛液の分泌は副交感神経、射精や絶頂は交感神経が行います。ですのでセックスをする時はまず相手の「副交感神経」に働きかけてリラックスさせ、フィニッシュをかける時は「交感神経」に働きかけるとよいでしょう。

以下、関連サイト
創作理論から作品を書いてもらえませんか?1「恐怖=恋」
恋愛理論通し番号3 「自身の感情の増強」

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