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どのような気持ちで種と向き合うか?

こんにちは、だいきです。

ある野菜づくりの師匠の話なのですが、、、

その師匠は、30年以上にわたって、自家採種をしており、
種を受け継ぎながら、毎年作物を作り続けています。

ある時、別の農家の方から、

「種取りをするときは、どのような気持ちで種と向き合っているのか?」

と聞かれたときの答えが、深遠で示唆に富むもので、
大変感銘を受けたことを覚えています。


その答えの前に、、、

一般的な農家の種取り事情はどうなっているのかというと、
ほとんどの農家は、自分の畑で採れる野菜の種取りはせず、
種苗会社から種を買って、畑に蒔いています。

その理由としては、
買った種の方が形質が安定していることと、
作物の回転を早めたいというものです。

その他にも様々な理由は考えられますが、
概ね、この二点に集約されると思います。

まず、買った種の方が形質が安定しているというのは、
作物の色や形が揃いやすく、
安定して栽培ができるというメリットがあります。

また、作物の回転を早めたいというのは、
種取り用に作物を畑に残しておくと、
そのスペースで他の野菜が育てられないので、
必然的に、畑で採れる野菜の絶対量が少なくなります。

なので、種取りはせずに、収穫が終われば畑を綺麗にして、
また次の種を蒔いて、効率よく栽培できるように
作物の回転を早めているのです。

以上の理由から、

ほとんどの農家さんは種取りをせずに、
種苗会社から種を買って育てているのが現状です。

そんな中で、30年以上にわたって種取りを続けているのは、
かなり異質であり、想像以上に大変なことなのです。


師匠は、種取りをするときに、

「どういう風にこの野菜は生きたいんだろう?」

と考えていると言います。


「作物を知り、本当に生きたい姿に導いていく。

種の一番の持ち味は多様性であるから、

野菜本来の姿を引き出してあげること。

それが、種取りをする意味だと思う。」


師匠は、種取りの重要性について、
経済合理性や利益追求といった範疇を超えて、
純粋に野菜と向き合い、野菜のことを知り、
野菜の本来の姿を引き出すために、
30年以上にわたって自家採種に取り組んでいました。

毎年、継続して種取りをする過程で、
野菜と真摯に向き合い、
思考を深め続けたからこそ、
このような境地に至ることができたのだと思います。

それは、美味しいや美しいといった自分本位な考え方ではなく、
野菜の本来の姿を引き出すという作物本位の考えで、
利他の精神を持っている人が至る境地です。


野菜本来の姿とは何か?

野菜の多様性を守るためには?

作物の生きたい姿とは?


問いを持って畑を見つめ、
野菜の成長を見守りたいと思います。

そして、野菜の本来性を引き出せるような農法を研究していきます。

それでは、また!

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