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この剣と盾があれば人は羽根が生える

もっとできるはずだ。
なまけているんじゃないか。
自分はすごくバカなんじゃないか。

そう思うことは人生でよくあります。

というのも、しっかりそう思える為の教育を受けてきたように思います。

これは別に家庭でというだけでなくて、学校でもどこでもずっと。

すべてが

「なんでできないの?」

という基準になっていた思い出。

今の自分のすべてを教育や過去の環境因子のせいにするつもりはありません。

私ってある時期からどうしても足を組む癖が抜けないよね、みたいな感じと言いたいのです。

気をつけてもなかなか抜けない思考。

気を抜くとすぐに現れる癖。

それが

「なんでできないの?」

なんです。

今は世の子供たちがたとえ体裁上でも学校で尊重されているのでそこまでではないのでしょうが、昔は給食を食べられないだけで先生やまわりからの

「なんでできないの?」

がすぐさま始動していました。

私は給食が大嫌いだったので、毎日そのことに悩まされていました。

給食は楽しいことがデフォルトな空気を押し付けられることも苦手でした。

取り合うほどまでは美味しいと感じない生ぬるいおかずの量でもめる男子や、休んだ人分のヨーグルトやゼリーの取り合いに一喜一憂する世界観。

かと思えば、他人のゼリーやヨーグルトを振り散らかすいじわるエンタメで大盛り上がりする人々。

なんにもおもしろくないし、楽しくない。なんなんだこれ。

そう思っていました。

食事が出るだけありがたいというのもわかります。

学校での食が楽しいというのがいいことだというのも理解できます。

でも昔は残すとダメなやつ扱いが多々だったので、まわりが盛り上がっていればいるほど自己嫌悪になったりなど。

牛乳を無理やり飲まされることも大嫌いでした。

私があまりに牛乳を嫌うので学校と家が話し合って、スタンプ制度を私にだけ作り、飲んだらスタンプをもらって家で見せるというシステムまで導入。

学校で怒られるのも嫌だし、家で親ががっかりしてはいけないとも思い、給食が始まるとまず一気飲みして、この世界からなかったことにする。

その後は、吐きそうになりながら生ぬるいクタクタのおかずと特に好きでもないパンを食べる時間は苦痛でした。

大人になって調べると牛乳は体質にあわないことがわかったし、なんならもう牛乳って体にいいわけじゃないこともわかってきているし!

毎日牛乳を飲めないだけで、先生からがっかりされたり時には怒られたり、まわりからおかしいと思われたりする「なんでできないんだろうこの子」という日々が何年も続くって、もはやタチが悪いカルト。

時代で仕方がなかったんだし、向こうは良かれと思ってのことだし……と思っていた頃もあったのですが、大事な時期に何してくれたんだよとも思います。

算数や数学の成績が異様に悪く、国語の成績だけがやたらいい。

これだって「国語の成績が良くてよかったね」ではなく「なんでこの子は数学がこんなにできないんだ」になってしまう。

そうすると、自分もどんどんそんな思考になっていく。

「なんでできないんだろう私」

と。

ただ、こんなこと全部子供の頃のことなんですよ。

恨み言のつもりもなくて。

染み付いているだけ。

スポーツでも語学でも子供の頃から毎日こつこつ叩き込まれたことは格段にうまくなるように「なんでできないんだろう私」がうまくなってしまった。

些細なことの長年の積み重ねで刻まれて癖になった「なんでできないんだろう私」マインドが始動しない自分がずっと欲しかったんですよね。

でも、例えば自転車にのれるようになってから乗れないようになる練習って、ただの悪あがきでしかなくめちゃくちゃ難しいじゃないですか。

悪あがきしているうちは、ぜんぜんダメでした。

かゆいところを意識するとどんどん痒くなるみたいなのと一緒。

数えきれないほどの「なんでできないんだろう私」を思いたおした頃、もう限界だったのか、ふと顔を出した感情と言葉があったんですよね。

その感情と言葉のおかげで、これまでずっともやついて重かった心が軽くなって、以前より生きやすくなったんです。

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