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書籍レビュー『地震イツモノート』地震イツモプロジェクト・編(2007)かわいいイラストでわかりやすく

阪神・淡路大震災とは

本書は1995年にあった
阪神・淡路大震災の被災者の
体験談をもとに作られた
防災マニュアルです。

阪神・淡路大震災
1995年1月17日、
兵庫県淡路島北部沖の
明石海峡を震源に、
マグニチュード7.3の地震が発生。
亡くなった犠牲者数は
6,434人にものぼった。

本書を作成するにあたり、
167人の被災者に
アンケートやヒアリングを実施し、

それらの生の声が、
ほぼそのままの形で
収録されています。

かわいいイラストでわかりやすく

本書は以下の
5つのパートで構成されています。

「1.地震が起きた瞬間」
「2.地震とその直後」
「3.救援活動」
「4.避難活動」
「5.地震が教えてくれる未来」

巻末には「イツモメモ」
という付録があり、

普段からできる防災の心掛けや、
非常時に役立つ知識やグッズが
まとめられています。

いずれの内容も被災者の声が
もとになっているので、
とても実用的です。

さらに、本書の特筆すべき点は、
コラムなどの文章がありつつも、
イラストを豊富に使った、
視覚的にわかりやすい構成ですね。

イラストは、JT 広告
「大人たばこ養成講座」などで
知られるイラストレーター、

寄藤文平氏によるもので、
(よりふじ・ぶんぺい)
非常にユニークでかわいらしい
ビジュアルです。

「震災」というと、
恐ろしさが前面に
出てしまいがちなところですが、

イラストの力によって、
誰もが親しみやすい
紙面になっています。

被災者のリアルな声が聴ける

これまでにも震災に関する本は
読んだことがありますが、
そんな中でも本書が際立っているのは、
やはり、生の声を集めたところです。

専門家が知見を述べた本も
大変興味深いものではありましたが、
実際に経験された方々の声には
「情報」以上のものを感じました。

地震が発生した瞬間や
その直後に体験したこと、
感じたことは、

本書に収録されたアンケートから
リアルに伝わってきます。

地震発生後の救援活動、
避難所生活など、

実際に経験してみなくては、
想像もできないようなことが
多くあるんですね。

例えば、阪神・淡路大震災では、
自衛隊による救援活動だけでは、
人手が足りなく、

多くの市民が近所の住民を
助けたとも書かれていました。

そして、このような震災は、
日本に住んでいる限り、
どこの地域でも避けられません。

だからこそ、実際に震災に遭う前に、
このような知識を得て、
備えておくのは大事なことです。

特に、本書が
紙媒体で発行されていることに
大変意義を感じますね。

私も経験があるのですが、
大きな地震があると、
インフラが
止まってしまうこともあります。

電気が使えなくなってしまえば、
携帯電話もネットも
使えなくなります。

あっという間に情報難民です。

そんな時に本書があれば、
いろいろと役立つ情報が
掲載されているので、
有効活用できるでしょう。

何かあった時のために、
すぐに取り出せるところに
本書を置いておくことを
オススメします。


【書籍情報】
発行年:2007年(文庫版2010年)
編:地震イツモプロジェクト
監修:渥美公秀
絵:寄藤文平
出版社:木楽社、ポプラ社

【監修者について】
’61年、大阪府生まれ。
大阪大学大学院
人間科学研究科教授。
日本災害救援ボランティア
ネットワーク理事長。

【シリーズ作品】


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