テレビレビュー『志村けんとドリフの大爆笑物語』（2021）コントの再現度がすごい！
豪華な布陣によるドリフの物語
2020年に逝去した志村けんの
半生を描いたドラマです。
特撮『海賊戦隊ゴーカイジャー』
映画『東京リベンジャーズ』などに
出演した若手俳優・山田裕貴が
若かりし頃の志村けんを演じています。
志村けんの先輩であり、
相棒ともいえる加藤茶を勝地涼、
ドリフのリーダーであり、
志村けんの師匠ともいえる
いかりや長介を遠藤憲一が演じました。
監督・演出を務めたのは、
『勇者ヨシヒコ』『銀魂』など、
コメディー作品を多く手掛けてきた
福田雄一監督です。
やはり、伝説のグループを描くとあって、
豪華な布陣になっています。
志村けんがドリフに入るまで
志村けんが
いかりや長介の自宅に押しかけ、
弟子入り志願したのは、
’68年のことです。
当時の志村は、高校卒業直前の18歳でした。
ドラマではこの時代から話が始まっています。
青年・志村は、
雪が降る中、12時間も長さんの帰宅を
外で待ち続けました。
長さんがいくら断っても、
食い下がる熱意に圧倒され、
ドリフのボーヤ（付き人）
として加入することになりました。
1週間後、志村のもとに
長さんから
「青森に行くぞ」と連絡があり、
『8時だョ！全員集合』の現場に
立ち会います。
（当時のドリフは全国を巡回しながら
『全員集合』の収録をしていた）
これが志村けんの
ドリフのボーヤとしての初仕事です。
あまりにも長さんが厳しかったためか、
実は1年後には志村けんが
一度、脱走して別のコンビを組む
という事態もあったのですが、
その辺りはドラマでは描かれていません。
再び、ドリフのボーヤに戻る際には、
メンバーの仲では年齢も近く、
親しかった加藤茶に
仲介してもらったようです。
その後、志村けんが
ドリフのメンバー見習いとして
加入するのは、
’73年のことでした。
（志村けん、23歳）
志村の加入は、
メンバーの荒井注の
脱退にともなったものです。
コントの再現度がすごい！
ドリフに加入してからも、
すぐに志村けんの人気が
出たわけではありません。
なかなか思うように
笑いがとれない中、
志村けんが笑いのネタとして
見出したのは「日常」でした。
日常生活の中で、
「おもしろい」と思う人がいたら、
それをよく観察し、
コントの中に盛り込んでいったのです。
こういった手法は、
それまでのドリフにはない
ネタの手法でした。
それと同時に、
自身の出身地をネタにした
「東村山音頭」をヒットさせ、
徐々に志村けんが世間に
認知されていくことになります。
それまでのドリフでは、
ネタも含めて長さんがリードして、
たくさんのコントを作っていました。
志村けんが急成長していく一方で、
長さんは50代に差し掛かり、
徐々に長時間の打ち合わせや
毎週の生放送がつらくなっていきます。
’77年にはフジテレビでの
スタジオ収録のコント番組
『ドリフ大爆笑』もはじまりました。
そんな中で、グループをリードする立場を
長さんから、加藤茶、志村けんへと
シフトしていく形になっていきます。
ドラマ全体の流れを通して、
グループの道程を知ったうえで観る
終盤の『全員集合』の終了を知らせる
長さんと志村けんの二人の
やりとりは感動ものです。
主演の役者さんを知らなかったため、
正直言って、
観る前は不安も感じました。
しかし、この時代の志村けん役は、
若い人がやらないと意味がありません。
劇中のコントも含めて、
この俳優さんで良かったと思います。
志村けん特有の声色やなまりが
うまく再現されていましたし、
『ドリフ大爆笑』のオープニング、
エンディング、コントの再現も
精巧な出来栄えでした。
過去の映像をそのまま使う
という選択肢もあったなか、
敢えて、役者さんで再現したことに
大きな意義を感じます。
勝地涼の加藤茶っぽさ、
遠藤憲一の長さんっぽさも
すごく良かったですね。
私自身は『全員集合』を
知らない世代なのですが、
『大爆笑』の方は、
子どもの頃によく観ていたので、
再現度の高さがよくわかりました。
特に印象に残ったのは、
「もしも」シリーズの銭湯のコント、
加藤茶がボケ役を演じた
時代劇の役者のコントですね。
あれらのコントが
志村けんが中心となって作られていたことは、
当時の私が知る由もありませんでした。
どちらもドリフの転機となる
重要な作品だったのですね。
ドリフを知らない若い方には、
ぜひとも、本物とドラマの方を
見比べてほしいです。
再現度の高さがよくわかるでしょう。
【作品情報】
2021年12月27日放送（全1話・93分）
脚本：福田雄一
佐藤さやか
監督：福田雄一
出演：山田裕貴
勝地涼
加治将樹
放送局：フジテレビ
配信：TVer／GYAO!
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