どうして地元からダイエーがなくなったのか
※この記事は
2020年10月21日に書いた記事に
加筆修正をしたものです。
20代半ばに
『ポケモンを創った男』を
読んだのがきっかけで、
私たちが暮らしている都市が、
どのように形成されていったのか、
気になるようになりました。
著者の田尻智さんは、
丁度、都市化が進む端境期に
少年時代を過ごしているので、
その経緯を自分の目で
見ることができました。
ところが、
80年代に生まれた私は、
すでに都市化した
街並みしか知らないのです。
それこそ、
子どもの頃に親から聞いた、
「昔は道路が
舗装されていなかった」とか、
知っていたのは
そのくらいのことでした。
そこから、数年が経ち、
さらに気になることが
でてきました。
それは子どもの頃から
当たり前のようにあった
大型スーパーのダイエーが
地元から姿を消したことです。
(厳密に言うと、イオンに変わった)
地元には昔から
当たり前のようにダイエーがあり、
なぜ、それがなくなってしまったのか、
この疑問は、さらに私が
昔のことに興味を広げる、
大きなきっかけとなりました。
ある時、その疑問の答えを得るのに
最適な本を見つけます。
それが『完本 カリスマ』でした。
2009年にノンフィクション作家の
佐野眞一が執筆したこの本では、
ダイエーの創業者・中内功の
生涯について書かれています。
(初出は1998年。
2009年に加筆修正を加えた
文庫版が発行された)
中内功は1922年生まれなので、
戦時中に兵隊として従軍した
フィリピンで、
生死の境をさまよう話から
はじまりました。
その後、戦後の闇市から
ダイエーを創業、
70年代には
小売業のトップに輝き、
90年代に転落していくさまが
一気に描かれていて、
何度読み返しても
エキサイティングな内容です。
この本を通して、
私は現代の日本の社会が
いかにして
形成されていったのかを
知ることができました。
子どもの頃は、そこにあるのが
当たり前のようだったものが、
調べてみると、
数えきれないほどの人たちの
血と汗と涙の結晶だったことを
知ったのです。
ダイエーが衰退し、
イオンが台頭したのは、
紛れもなく時代の変化によるものでした。
特に大きかったのは、
ダイエーが繁栄していた時代は、
車が今ほど普及していなかったことです。
そのため、ダイエーは
駅前に出店することが多かったこと、
さらに駐車場のスペースが
足りなかったことも
イオンとの大きな違いでした。
(自明の通り、イオンは郊外に
広い店を構え、駐車場も充実。
モータリゼーションの時代を
見据えていた)
土地を担保に新店舗の開店
→販路の拡大
という手法が、
バブルの崩壊とともに
通用しなくなり、
さらに、ダイエーが
得意とした「安売り」も
デフレの到来で、
それが当たり前の時代に
なったことなど、
さまざまな時代の変化が原因で、
ダイエーは衰退していきました。
私が子どもだった90年代には、
すでにそういった時代に
突入していたのですが、
大人になってからこの本を読むまで、
さらに、その後、
さまざまな分野の知識を得るまで、
こういった経緯が
よくわかっていませんでした。
今でもこういった時代の
移り変わりに関心を持って、
いろいろと調べたり、
関連書籍を読んでいますが、
未だに興味は尽きません。
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