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映画レビュー『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002)本当に劇中の年数が経過したみたいなディカプリオ


どうして彼は金融詐欺に精通しているのか

この作品は公開された
20年前からずっと気になっていた作品で、
いつか観ようと思っていました。

まさか、実際に観るまでに
20年もかかるとは
思っていませんでしたが(^^;

本作は、フランク・W・アバグネイル
というアメリカの
セキュリティ・コンサルタントが書いた
自伝的小説を原作としています。

アバグネイルは、連邦捜査局に勤務し、
同局のアカデミーや現場事務所で、
コンサルタント、講師を務めています。

さらに、コンサルタント会社、
アバグネイル・アンド・アソシエイツの
経営者でもあります。

アバグネイルが得意とするのは、
おもに金融詐欺に関する知識です。

フランク・W・アバグネイル
(2007年に撮影。Wikipedia より引用)

どうですか?
なんだか気の良さそうな
おじさまですよね。

こんなに優しそうな方が、
なぜ、金融詐欺に精通しているのか、
不思議に思わないでしょうか。

いや、見るからに、
頭が良さそうですものね。

きっと、犯罪についても
たくさん勉強してきたのでしょう。

そんな風に思う方もいるかもしれません。

その予想は、半分は合っている
と言っていいかもしれませんが、
半分は正確ではないとも
言えるでしょうね。

実は、フランク・W・アバグネイル氏は、
'60年代に世界を飛び回っていた、
有名な詐欺師だったのです。

その頃の彼は10代で、
その若さとともに、

犯罪の鮮やかな手口が注目を集め、
テレビ番組で取り上げられることも
あったんですよね。

つまり、前述した自伝的小説は、
彼が10代の頃にやっていた
詐欺の数々をモチーフにした
物語だったのです。

パイロットに成りすまし、
世界を飛び回る若き詐欺師

フランクは、
(レオナルド・ディカプリオ)
ニューヨークに住む
16歳の学生で、

両親を尊敬する
素直な子どもでした。

しかし、父の事業の失敗により、
広い家や立派な車を手放し、
フランクも転校を余儀なくされます。

その頃から両親は険悪になり、
母が父の知人と不倫していることを
フランクは悟りました。

ほどなくして、両親は離婚、
フランクは両親のどちらかを
選ばなくてはなりません。

両親のどちらも
愛していたフランクは、
選ぶことができず、
家を飛び出しました。

彼はこう思ったのです。

「お金さえあれば、すべてが解決する」

お金のないフランクはその後、
誕生日に父親からもらった
自分の口座の小切手をもとに、
小切手の偽造をはじめます。

しかし、彼があまりにも若いので、
銀行はまともな対応をしてくれません。

このままでは、
お金が手に入らない、

そう思った彼は、
ある時、航空パイロットを見て、
身分を偽ることを思いつきます。

当時のパイロットは、
市民の憧れの職業であり、
社会的な信用も高かったのです。

高校の新聞記者と身分を偽って、
航空会社に取材し、
その内情を探りつつ、

航空会社の制服を
これまた身分を偽って、
入手しました。

こうして、彼はパイロットを装って、
複数の航空会社に出入りし、
世界中を飛び回ったのです。

偽造小切手によって、
尽きることのないお金と、
行く先々で豪遊を繰り返しました。

しかし、そんなことが
長く続くわけもなく、

偽造小切手が出回っていることに
気がついた銀行は、
FBI に捜査を依頼します。

こうして、世界的な
偽造小切手詐欺の捜査に
乗り出したのが、

カール・ハンラティです。
(トム・ハンクス)

フランクとカール、
二人による壮大な
追いかけっこがはじまりました。

本当に劇中の年数が
経過したみたいなディカプリオ

その昔、見た本作の予告、
あるいは DVD のジャケットの
イメージから、

エンターテインメント性が高い作品
という印象があったのですが、

実際に観てみると、
映像的にも内容的にも
シリアス寄りの作品で、
現実に忠実な作りに感じられました。

もちろん、本作は
実話をモチーフにした
「フィクション」なので、

脚色された部分は多いようですが、
それを大袈裟に感じさせない
シンプルな編集です。

主人公はフランクなので、
おもにフランクの視点から
物語が語られていきます。

必然的に鑑賞者は、
フランクに肩入れした
物語への没入感を感じるでしょう。

劇中で時代は、
フランクが捕まった直後、
詐欺をやっていた時代が
交互に出てきます。

この時に、フランクを演じる
レオナルド・ディカプリオは、

「10代の青年」、
「少し時代を経た詐欺師」を
交互に見せることになるのです。

この彼の佇まいの違いが
とても素晴らしく、
本当に数年の時間が経過したような
雰囲気が感じられます。

音楽を手掛けたのは、
映画音楽の巨匠、
ジョン・ウィリアムズです。

(代表作『ジョーズ』『スター・ウォーズ』
『スーパーマン』『インディ・ジョーンズ』
『E.T.』『ジュラシック・パーク』など)

メインテーマの
ミステリアスさと悲しさを
合わせたような旋律が印象的でした。

この音楽が
オープニングのアニメーションとも
バッチリ合っていましたね。

そして、映像を手掛けたのが、
スピルバーグとあって、
安定感もハンパではありません。

上映時間が141分と
少々長めですが、
最後までダレることなく、
楽しませてくれます。


【作品情報】
2002年公開(日本公開2003年)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ジェフ・ナサンソン
原作:フランク・W・アバグネイル
   スタン・レディング
出演:レオナルド・ディカプリオ
   トム・ハンクス
   クリストファー・ウォーケン
配給:ドリームワークス
   UIP
上映時間:141分

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