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音楽レビュー『Still Life (Talking)』Pat Metheny Group(1987)ブラジル音楽のエッセンスを聴きやすくアレンジ


ゲフィン・レコード移籍第1弾

ジャズ・ギタリスト、
パット・メセニーが率いる
パット・メセニー・グループ、
6作目のオリジナルアルバムです。

’88年度グラミー賞
ベスト・ジャズ・パフォーマンス賞を
受賞しています。

5作目『First Circle』('84)までは、
ECM レコード、

'85年発表の
『ファーストネームはファルコン』は、
(同名映画のサウンドトラック)
EMI からの発表で、

本作は、ゲフィン・レコードに
移籍後、第一弾の作品となりました。

次作『Letter from Home』('89)と
同様にブラジル音楽の影響を
反映した作品となっています。

幻想的でもあり、
さわやかでもあり

①幻想的なギター、
スキャットからはじまる楽曲です。

9分28秒にもおよぶ長尺の曲で、
中盤あたりからドラム、パーカッション、
キーボードも加わり、

にぎやかなブラジル音楽のリズムが
感じられます。

②ストリングスをバックに、
渋いギターの音色が奏でられる楽曲です。
ドラムやパーカッションは、
やはりブラジル音楽のリズムですね。

③細かいドラムのビート、
シタールのような音色の
ギターシンセではじまる楽曲です。

この楽曲は2015年に
アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』の
エンディングテーマにも起用されました。

④ブラジル的なピアノ、
パーカッションをバックに
魅惑的なスキャットが展開されます。

猿の鳴き声のような音は、
「クイーカ」という打楽器で、
ボサノヴァなどでも
よく使われる音色ですね。

⑤このアルバムの中では、
もっともテンポが速い楽曲です。

リズムはサンバを
参照したものと思われます。

ギターとスキャットによる
ユニゾンが絶妙です。

⑥ブラジルの野外を
思わせる口笛などの音響と
管弦楽の演奏が展開される
映画音楽のような小曲です。

⑦は⑥とシームレスで繋がっている
3分ほどの曲です。

メインはピアノとギターによる
静かな演奏で、

中盤からオーケストラ的な
シンバルの音色も加わり、
ドラマチックなエンディング
となっています。

ブラジル音楽のエッセンスを
聴きやすくアレンジ

こうして全曲の解説を
書いてみると、
ブラジル音楽の要素が
それほど濃く感じられませんが、

そのエッセンスを
ほどよくブレンドし、
聴きやすいアレンジをしているのが
よくわかります。

私にとって、
パット・メセニー・グループ
といえば、

ホイッスルの音色を
伸ばしたような
独特なシンセの音です。

このアルバムでも
④の楽曲でその音が使われています。

この音を聴くと、
「パット・メセニーだなぁ」
と思いますね。

明るい楽曲と静かな楽曲、
テンポのいい楽曲と、
穏やかな楽曲の構成が素晴らしく、

何度聴いても飽きさせない
名盤になっています。


【作品情報】
リリース:1987年
アーティスト:パット・メセニー・グループ
レーベル:ゲフィン・レコード
     ノンサッチ・レコード

【アーティストについて】
アメリカのジャズ・フュージョン・バンド。
’77年結成。

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