見出し画像

’90年代中期、ゲーム業界に遅れてやってきたパット・メセニー・グループの波

少し前にこんな記事を書きました。

いつも読んでくださっている方には
唐突な感じがしたかもしれませんが、

実は、この記事は、
他に書きたいことがあって、
先に書いたものなんです。

ニンテンドースイッチオンラインで
遊べるレトロゲームを遊ぶことが多く、

最近は、ニンテンドウ64の
『ウエーブレース64』
というゲームを遊んでいます。

その話を書きたかったので、
先に、このサービスの
紹介をしました。

『ウエーブレース64』は、
’96年に発売された
ニンテンドウ64のソフトで、

水上バイクのレースゲームです。

詳しい内容は、
もっと遊んでから、
レビューとして書くつもりですが、

私が本作を遊んでいて、
「誰かに伝えたい!」
と思ったのは、

本作の音楽の話です。

レースゲームなので、
基本は激しめの
ロック調の BGM なんですが、

コースや場面によっては、
フュージョンっぽい音楽も
使われているんですよね。

例えば、レースがはじまる前の
コース紹介のシーンは、
穏やかなイージーリスニング
といった感じです。

そして、私が気に入っている
「ミルキーレイク」というコースは、
霧が立ち込める湖のコースで、

このコースの音楽を聴いた時、
ある音楽を思い出しました。

それが、以前、音楽レビューでも
紹介したパット・メセニー・グループの
『Letter from Home』だったんです。

使われている電子音が
ものすごく似ていますし、
たぶん、このアルバムに
収録しても違和感がないくらいの
楽曲になっています。

パット・メセニー・グループの
『Letter from Home』といえば、

以前からネット上で、
「プレイステーションの
 『風のクロノア』の音楽が
 似ている」

という話をよく見かけました。

▼当時、ナムコに在籍していた
 堀込高樹(キリンジ)も一部の楽曲を手掛けた

これも確かに似ているんです。

音がすごく似ているんですよね。

シンセサイザーの音なんですが、
ホイッスルの音を伸ばしたような
独特な音なんです。

『ウエーブレース64』が’96年発売、
『風のクロノア』が’97年発売、

さらに、
『スーパーマリオ64』(’96)でも
『Letter from Home』っぽい
音楽が使われています。

(セーブデータを選ぶ画面の BGM)

そんなところから、
当時のゲーム音楽業界では、
『Letter from Home』っぽい
サウンドがトレンドだったことが
わかりますね。

でも、『Letter from Home』は
’89年のアルバムですから、
7~8年前に流行った音楽なんです。

なぜ、ゲーム音楽では、
これが遅れてトレンドになったのか、

自分なりに考えてみたんですが、

考えてみれば、
先ほど挙げた一連のゲームは、

プレイステーションや
ニンテンドウ64といった、

’90年代の中期に発売された
当時の次世代機です。

その前の家庭用ゲーム機といえば、

スーパーファミコン、
PCエンジン、メガドライブ、

あるいは、
携帯ゲーム機のゲームボーイ
などがありました。

これらのゲーム機で、
『Letter from Home』っぽい
音が作れるとは、思えません。

たぶん、ゲーム音楽を手掛ける
作曲チームの人たちも
広くいろんな音楽を知っているでしょう。

なんせ、ゲームには、
いろんな世界が出てくるので、
広範な音楽の知識がないと、
それらに対応できません。

しかし、古いゲーム機では、
再現できる音に限界がありました。

’90年代中期に発売された
プレイステーション、
セガサターン、
ニンテンドウ64
といったハードが

一斉にその制限を解き放ったため、

少し遅れて
『Letter from Home』っぽい
サウンドがゲーム音楽の世界でも
流行ったということなんだなぁ
と思いました。

しかし、’90年代中期に発売された
これらのゲームを遊んだ層と

’80年代末に、
『Letter from Home』を愛聴した層が
重なるとは到底、思えません。

これらのゲームと、
パット・メセニー・グループの
『Letter from Home』を
並べた時に、

これらを遊んだ層、
アルバムを愛聴した層、

浮かんでくるイメージが
まるで違います。

『ウエーブレース64』や
『風のクロノア』を
熱心に遊んだのは、

’90年代中期の
子どもたちでしょうし、

『Letter from Home』を
愛聴していたのは、
音楽好きの大人たちです。
(しかも、そこそこマニアックな)

何が言いたいかというと、

ゲーム音楽といえど、
その楽曲を手掛けているのは、
音楽に精通した大人なので、

やっぱり、音楽も本格的なものが多いです。
(特にマシンのスペックが上がってからは)

でも、それを遊ぶ子どもは、
そんな音楽のことを知らずに
ゲームに触れています。

なので、こうやって、
何十年も経ってから、

私のような
ちょっと変わったラインナップの
エンタメを嗜んでいる人間が、
こういうことに気づくんですね。

こんな発見があるから、
ジャンルの異なる
いろんなものに触れる
おもしろさを感じます。

でも、『ウエーブレース64』と
『Letter from Home』の
両方を知っている人が

私の周りにはいないので、
実社会の生活の中では、
まったく話す機会のない話です。

これからも、
こういう発見は note に
書くことにします。

誰も聞いてくれない話なので(笑)

サポートしていただけるなら、いただいた資金は記事を書くために使わせていただきます。