見出し画像

テレビレビュー『カラマーゾフの兄弟』(2013)誰が殺したクックロビン♪

ドストエフスキーを
映像作品で楽しむ

ロシアの文豪、
ドストエフスキーといえば、

本好きとしては、
いつかは読んでみたい
作家の一人です。

私はまだドストエフスキーの作品を
一冊も読んだことがありません。

なんせ、彼は、
「難しい」ことにおいては
定評のある作家なので、

気軽に手を出すことが
できずにいました。

以前の私ならば、
「映像作品を観てから
 原作を読む」

という読書を
否定していたところが
あったんです。

なるべく先入観を持たずに、
読みたいからこそ、
そのように考えていました。

ところが、私自身、
たくさんの本を読むようになって、
すでに10年近く経ちます。

しかし、未だに、
読んでいても内容が
さっぱりわからない本も
多くあるんですよね。

つまり、若い頃は
「読書を続けていれば、
 やがて難しい本も
 読めるようになる」

そう信じていたのですが、
10年近く経っても、
難しい本は、
やっぱり難しいんです。

もちろん、読書力が
まったく上がっていない
とは思いませんが、

この調子だと、
難しい本が
読めるようになる前に

自分の人生が
終わってしまいそうな
気がしてきました(笑)

そこで、難しい作品は、
なんらかの形で
予習してから臨む
というのもアリではないか、

と考えが変わってきたのです。

なんとしても、
一生の間にドストエフスキーは
一冊でもいいので、
読んでみたいんですよね。

そんなわけで、
本作をドラマ版から
楽しんでみることにしました。

人物の葛藤に焦点を当てた

本作は、ちょうど10年前、
フジテレビの土曜23時台の
ドラマとして放送されていました。

当時、妻が観ていて、
私もちょっとくらいは、
横目で観ていたんですよね。

それはもう、おもしろそうで、
とても気になっていたのですが、

前述したように、
当時の私は
「原作を読まずに、
 映像作品から入る」
というのに抵抗があったので、

(もちろん、もともと原作を
 読む気がないものは
 普通に映画やドラマを観る)

観たい気持ちをグッと堪えて、
やり過ごしました。

あれから10年、
今では古いドラマも
配信で気軽に観ることが
できるようになっています。

妻が久しぶりに、
このドラマを観はじめたので、

「ちょっと待って、
 一緒に観るから」
という感じで、
私も観はじめました。

思った通り、
本作は何よりも映像が
素晴らしく、

とても私好みの作品でした。

主要人物となる三人の兄弟が、
父親殺しの容疑をかけられる
という大筋のストーリーは
原作と同じですが、

本作は、ドラマとして
観やすいように、
宗教観や思想の部分が省かれ、

人物の葛藤に焦点を当てた
アレンジになっています。

誰が殺したクックロビン♪

本作はとにかく、
キャスティングが
素晴らしいですね。

父親・黒澤文蔵を演じるのは、
吉田鋼太郎で、
本作のメインとなる
「黒澤家」の当主です。

この男が、とんでもなく悪い奴で、
金にものを言わせて、
どんなことも周りを従わせる
傍若無人な人物でした。

その極悪非道な人物像が、
吉田鋼太郎のパワフルな演技で、
何倍にも増幅しています。

文蔵の息子たちを演じるのは、
長男・斎藤工、
次男・市原隼人、
三男・林遣都です。

長男は、若い頃に家を飛び出し、
父親から見放された
世捨て人のような
遊び人でした。

しかし、彼も人生と向き合い、
それを立て直すべく、
必死にもがいているのです。

次男は、学生時代に
父と契約書を交わし、
一流の大学に入り、
弁護士になりました。

すべては父親の役に立つため、
というのが建前です。

そんな彼も、
父親への憎悪は
しっかりとあって、

いつか父親の呪縛から
逃れたいと画策しています。

三男は大学生で、
医学の道を志しています。

父親は、長男や次男とは違い、
この三男だけは、
かわいくてしかたがないようです。

なにせ、三男は、
長男と次男に守られて
ここまで育ってきました。

人を疑うことを知らず、
まっすぐな心根の青年なのです。

そんな彼も、
のちに、自分の母親が
亡くなった経緯を知ることにより、

父親への想いが
変わっていくことになります。

やがて、父・文蔵が
何者かに殺害され、
この三人が容疑者となるんですね。

果たして、誰が犯人なのか、

ミステリーとしても
しっかり楽しませてくれる
作品になっています。

もっと本作の魅力について、
語りたいのですが、
長くなってしまうので、

他の魅力については、
後日、別の記事に
書くことにしましょう。

映像もストーリーも
役者の演技も素晴らしい作品です。


【作品情報】
2013年放送(全11話)
原作:フョードル・ドストエフスキー
脚本:旺季志ずか
   武井彩
演出:都築淳一
   佐藤源太
   村上正典
出演:市原隼人
   斎藤工
   林遣都
放送局:フジテレビ
配信:FOD、dTV

【原作】

【土ドラの作品】


この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

おすすめ名作ドラマ

サポートしていただけるなら、いただいた資金は記事を書くために使わせていただきます。