壹岐悠太郎

犬と闘う

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ライヒ・リゲティ・花小金井、

9月18日 [スティーヴ・ライヒ(Steve Reich、1936年10月3日‐)は、ミニマル・ミュージックを代表するアメリカの作曲家。母は女優のジューン・キャロル(旧姓・シルマン)。異父弟に作家のジョナサン・キャロル。] いわずと知れたライヒの《Electric Counterpoint》(1987)の、とくに三楽章を寝る前によく聴く、ライヒはエモい、と私は思う、そのほかにもこの人は、《Counterpoint》を題にもつ様々な作品を書いているが、エレクリックギターのた

    • 短歌練習帖 #5

      すごい雨降っててカッパ着た子ども見た しわ寄せが来る おばさんがまいばすの前で座って唱えるらしい R1ばかり飲んでよくないよ、なんて思う?医師の数% 電気代払ってません催促の電話着信拒否 ハッ★落雷 悪口をいえないすごく怖いからちっちゃい犬のタトゥーを掘った 半額になるのを待ったスーパーで列をなすおばあさんの横に私 【さ】を連打するる3円のビニールが比喩みたいねと下書きにある ウンコ部に入りたいです 準備室の彫刻、人は減っていくだけ 通知センターに貯まる派遣の

      • 0720(ヤンヤン観た)

        映画館を出たら、大雨で、まだ映画続いてるのかも…とか思ったが、そんなことはない。どうにもやまなそうなので傘を買いに近くのセブンに走る、『台風クラブ』の気分でたのしかった。 とうとう観ることができた『ヤンヤン 夏の思い出』。たびたびかかっているのだが、観れずにいた(早稲田松竹でこの前やってたけどどうせ満員なのでパスした)。3時間ほどあるにもかかわらずあっという間に終わってしまった、終わるのが悲しくて、ずっと終わらないでほしかったけど、ケツも痛くなってくる…。 この間、中尾太一

        • 0712

           バストリオの新作『新しい野良犬/ニューストリートドッグ』にくらってしまい何もできずにいるのだが、こうして書きはじめてしまったから最後まで書こうと思う。やはり今作もよかった。思考家の佐々木敦がツイッターで「バストリオこそ、正真正銘、真正にして本物の社会派演劇だ。」(2024年7月11日のツイート。@sasakiatsushi)と書いている。これには大きく頷く。    ***  やはりバストリオの演劇(パフォーマンス)を見るときに、そこに置かれるモノたちについて、ある物語に

        ライヒ・リゲティ・花小金井、

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        • h式練習帳
          2本

        記事

          ピチカッ、リー

          光りを吸い上げた葉が その空白になった、文字の ひとつとしてきざまれた緑地の、 通路に沿っていくつも並んだ小部屋の 埃こりまみれの蛍光灯ごしに 青く点滅したりする植物の一株。 コラージュ画のノートを一枚やぶいて ゆるくつなぎとめられた鱗の もしくは魚群がおとづれた痕の あいまいになっている紙束に滲みこんだ ブルーインク、犬たち、 眠りながら なにか口ちづさんでいるのか なにか、つぎはぎのmonologueなのか。 、白熱した 羊歯の、夢。 弯曲し続ける窓辺に、注そがれた水 紙

          ピチカッ、リー

          犬塚堯ノート(草稿)

          犬のポメラニアンとコーギーを掛け合わせた犬がハシビロコウのぬいぐるみを齧り破壊する動画を見た私はハシビロコウと言う鳥が何なのかよくわからないそれは見たことがないというわけではなく何を考えているのかよくわからないということであり犬も、何を考えているかわからないところがあったがハシビロコウよりはマシであるし、この犬塚堯という詩人についてもよくわからないことが多くそれゆえ「堯」の字の、「土」が重なったかたちにはあざとさも感じるのだがそれは漢字についての文句でありこの犬塚という詩人に

          犬塚堯ノート(草稿)

          犬塚堯(イヌ・アザラシ)

          海豹 earless seal sea dog 食肉目イヌ亜目イヌ下目イヌ科 が、 食肉目イヌ亜目クマ下目アザラシ科 でないことと、関係はないらしい Pinnipedia(Wikipedia 鰭脚類) 系統ではアザラシはイヌ科よりイタチ科やアライグマ科などに近いです。 アザラシ科はネコ目(食肉目)のイヌ亜目に含まれます。 現生のイヌ亜目ではイヌ科が最も古くに分岐し、次にクマ類が分岐しました。残りは鰭脚類(アザラシやアシカなど)とイタチ類(イタチやアライグマやレッサーパン

          犬塚堯(イヌ・アザラシ)

          わたしもあなたも、そだつのをやめるのだと思う(演劇論②)

           幸運なことに、大学にいて、ぼくは全然関係していないのだが演劇をやっている人に出会うことがある。それも、去年の初めごろから、詩の授業で、いい詩を書く人はだいたい演劇の人か、映像系の人だった。ぼくは、演劇にも映像にも詳しくないので、テキトーを言ってしまうかもしれない(ご容赦ください)。こうして、②と題した演劇論も、①は「装置の想像力」と題したものだった、①では、チェルフィッチュの新作『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』と、岡田利規の思想(?)、よた『にじ』について書いた。  今

          わたしもあなたも、そだつのをやめるのだと思う(演劇論②)

          ろぼこん、ぴゅーーとするリュート

           ろぼこん、ぴゅーーとするリュート 「 」ふるい綺想曲の楽譜。紙の擦れたところで、蝶々が排泄する。八月。残された者たちの枕が、川べりに丁寧に並べられる。めずらしい生物をのせたササ舟が、ぼくらの羊歯をかすめていった。うつろな目でわらい、くるったカメラのシャッターが押される。どうも調子がわるい。塗られる色はスケッチのまま、べったりと眼窩に貼りついている。「 」まただ、ときみがいう。そのうちスニフがやってきて、かがんだまま、背はビオラになる。指先で弾くと弦は、ゆるみ。「花の咲

          ろぼこん、ぴゅーーとするリュート

          h式練習帳 パート3

          ハートフルな日々 『現代思想』立岩真也さんの特集で、ホントに亡くなってしまったのだと思った。その人が亡くなった後、雑誌に載る追悼文などを見て実感するのはどうなんだ、と自分でも思うけど、西村賢太や石原慎太郎、福間さんが亡くなった時もそうだったように思う。どんどん人が死んでいく、次は誰か、と順番を待つみたいに。好きな人はみんなずっと生きていてほしいと思う。そして、亡くなってから間接的に(?)その人が亡くなったことを意識する。でない人もいるだろうが、ぼくの場合そうなだけだ。  

          h式練習帳 パート3

          みどりハイツの午後

          みどりハイツの午後 ゴ・ゴー、 ゴ・ゴー と、永劫のことか? 幽かな声で響いている音楽で 水たまりに浮かんだ白い、白い葉と 虫仔が何匹も何匹も、 網で掬いとって清潔な沼地はつくられる。 ふるい文字列を切り取る 継ぎはぎされた虫仔の柄を眺めている。 きみのことは【ハウス】とよばれる街で知ることになった     (落雷。    植物背の庭で眠っていた・・・        +    +             +          +      +       +(敵地に、 背を

          みどりハイツの午後

          h式練習帳 パート2

           真貴ちゃんという人は、働いていて、ぼくがよく行く場所である歌舞伎町のルノアールの店員さんたちは店内の隅々まで見ているから、ちょっとお冷やが空いたりするとすぐに新しいのを持ってきてくれた、真貴ちゃんは 「この間ね、働いてた映画館がつぶれたの。  それで、いま無職」  と言った後、お冷やを飲み干したら、すぐに店員さんが来て、新しいのを、真貴ちゃんのだけじゃなくぼくのも新しいのにしてくれた。 「それで、5万?」 「うん。  電気と水道だけでも払いたくて。あ、ちゃんと返すよ。」  

          h式練習帳 パート2

          装置の想像力(?)について(演劇論①)

           事あるごとに書いているけど、バストリオの『一匹のモンタージュ リクリエーション』が忘れられない。冒頭、ふたりの演者が座って向かい合っている。スクリーンには【知覚】とある。  この『一匹のモンタージュ リクリエーション』は、一本の物語というより、断片的で、小さな物語がいくつもあるような構造だけど、そう書いていると、ポーランドの作家トカルチュクを思い出すが、バストリオの場合、最後に点と点が結ばれることなく終わる。でもそれが現実であり、リアルなのだと思うから、傑作であるのだと思っ

          装置の想像力(?)について(演劇論①)

          h式練習帳 パート1

           一〇月二〇日にこまばアゴラ劇場で観たバストリオ『一匹のモンタージュ』リクリエーションがずっと頭の中で断片的に演じられている(?)というのもおかしいことだけども、その観劇以降、ぼくは〈生きる〉ということについて真剣に向き合おうと考えていた、『一匹のモンタージュ』における身体の、もっと言ってしまうと生きている身体の、些細な、それこそ断片が押し寄せてきて、それは日記だし、ぼくたちが普段やっていることと何ら変わらないのかもしれない、というようなことをツイートしている。 【バストリ

          h式練習帳 パート1

          光りをつつみこみここではすべてが。

          *『現代詩手帖』2023年10月号 新人作品選外佳作(山田亮太・撰)にあげていただきました。

          光りをつつみこみここではすべてが。

          動ぶつに羽う

          *『現代詩手帖』2023年10月号 新人作品選外佳作(峯澤典子・撰)にあげていただきました。

          動ぶつに羽う