![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/39448491/rectangle_large_type_2_0294a26cfc318f3ff28383b621c69e49.jpeg?width=800)
『バスで出会った親子からの贈り物』 ~修了(卒業)文集から~
せんだい豊齢学園修了文集 『於毛登(おもと)』に掲載された文章をご紹介しています。在園生、修了生以外の方にも読んでいただきたい内容です。
せんだい豊齢学園修了生 T.S さん
退職後、慌ただしかった生活から解放されてゆったり過ごす時間はとても心地よかった。それから1年後、新しい出会いや経験をしたいと思い豊齢学園に入学した。
学園生活はとても新鮮で外に目を向ける良い機会となった。
二年目を迎えた六月、いつものように豊齢学園へ通うためにバスに乗った私は、次のバス停から乗車した車椅子の青年と母親に出会った。青年は母親に支えられて乗車し座席に座った。その後、母親は車椅子をたたみ、大きい鞄を持って乗車した。
青年は少し落ち着かない様子だった。母親は何度か私たちに「すみません」と謝った。
隣で母親の姿を見ていた私は「大丈夫ですよ」と声をかけた。
その後、何回か乗車し母親と話をするようになった。青年は授産施設で仕事をしていることが分かった。車内案内に返事をしたりすることはあるが、だいぶバス乗車に慣れてきた様子が感じられた。
十月中旬、久しぶりに親子と出会った時のことである。
バスに乗車する青年を支える母親の姿を見てさっと荷物を持った女性、バスから降りて車椅子を持った男性、席を譲った学生、慌てないよう促す運転手、母親に労いの言葉がけをした高齢の男性。隣り合わせた私は、母親が置いた鞄を足元に引き寄せた。
いつも我が子のために精一杯頑張る一生懸命な姿が周囲に伝わりサポートへと繋がったと思った。
バスの中での出来事は、親子から貰った「優しさ」「思いやり」という贈り物である。
「ありがとう」
これからもささやかではあるが、親子を見守り応援していこうと思う。
おわり
【修了文集表題『於毛登(おもと)』について】
1.万年青
ユリ科の常緑多年草。葉は厚くてつやがあり、一年中緑色をしている。
夏、黄緑色の花が咲く。果実は赤い
2.御許
あなた、相手を親しんでよぶ言葉。(多くは婦人に使われる)
※修了生本人の承諾を得たうえで掲載しています。
【豊齢学園note一覧】https://note.com/ikigaisuishin
【ホームページ(SNS一覧もあります)】
★お気に召しましたら下記の♡をクリックしていただければ嬉しいです。