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世の中に「良い会社・悪い会社」なんて存在しない。「良い経営者と悪い経営者」がいるだけだ

こちらのニュースを発端に、「会社は社員の人生の責任はとってくれない」という諸行無常の嵐が巻き起こっている。

45歳上のリストラや配置転換は三菱UFJや富士通にとどまらない。

Twitter上には「会社に忠誠を誓ってきたのに裏切られた!」という悲痛な叫びが飛び交っているが、個人的にはアライドアーキテクツ藤田さんの意見に賛成だ。

こうなることは、20年以上前からわかりきっていた。僕も現在46歳の1973年1月生まれの団塊ジュニアど真ん中だけど、いまから21年前の1998年には大前研一氏が下記の本を上梓している。ある程度の危機感を持ったサラリーマンなら、本書でなくとも、本屋にうずたかく積まれていた類似書は何冊か手にとったはずだ。

1997年に三洋証券、山一證券、北海道拓殖銀行などが立て続けに廃業、経営破綻。絶対に潰れないと言われていた銀行や証券会社が次々と潰れていく中、「もはや一流大学を卒業し、一流企業に就職できれば一生安泰」という神話は当時完全に崩壊したはずだ。

それから20年以上の時間が経った。インターネットの普及とデジタル化の進展が企業を取り巻く環境変化のスピードをさらに拍車をかけている。

1995年以降に入社した就職氷河期世代の45歳で、この状況を自分ゴトとして捉え、「自分の人生は自分で責任を取るしかない」と行動していなかったとするならば、それはもう自業自得としか言えないだろう。

「俺たちは身を粉にして会社のために働いた!」「愛社精神を持てと言いながら、会社は俺たちを使い捨てにするのか!」

いやいや、会社は社員の人生に責任を持た(て)ないが、社員だって、好きなときに、好きな理由で転職できる(している)ではないか。雇う側(資本家/会社)が強者で、雇われる側(労働者)が弱者である時代はとうのとっくに終わっている。現在は、会社も社員も対等の立場である(もしかしたら社員の立場の方が強いかもしれない)

「それは強者の論理だ!」「社会にはセーフティーネットが必要である」という意見もあろう。

でも、三菱UFJや富士通は、日本を代表する大企業であり、優良企業のはずだ。そんな会社に正社員として入社し、働いている社員は、そもそもここで言う「強者」ではないのか。

順風満帆だったときは、自分を少なからず「勝ち組」だと思っていた人が、状況が変わった瞬間に被害者ぶるのはおかしな話だ。

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さて、このような話になると「会社は~」という言葉が多数、巷に溢れ出す。「会社は社員の人生の責任をとってはくれない」「うちの会社って」という具合である。

でも、会社なんて存在しないのだ。

会社は意思決定をしないし、人格もない。ただの登記された書類であり、事務所である。

すべての意思決定は、経営者(社長)がしている。だから、この世には良い会社も悪い会社もない。良い経営者と悪い経営者がいるだけだ。

無論、会社には「企業文化」というものがあり、大きな会社になれば事業所や部署ごとに絶対君主的な責任者がいて、企業文化とは別の組織文化を形成することがある。その文化が企業内部に蔓延する「空気」をつくり、それによって人事や意思決定がされることも少なくない。

でも、それも含めて、すべて経営者の責任なのである。

私たちは、ついつい「会社は~」という言葉を使いがちだ。でも、この「会社は~」というフレーズが実態のないモンスターを想像させ、私たちを思考停止においやる。

良いニュースも、悪いニュースも、会社が行ったことではなく、経営者が行っている。ステークホルダーとの関係や、声の大きな反対役員の存在もすべてひっくるめて、判断ではなく最終決定をするのが経営者だ。

相対(あいあい)すべきは、実態のない「会社」ではなく、あなたと同じ人間であるマネージャーであり、役員であり、社長である。

「うちの会社は~」という言葉はもうやめよう。良いことも悪いことも「うちの社長は~」と発言し、納得できないことがあれば上申し、行動し、それでも状況が変わらないのであれば転職をすれば良い。

これから就職・転職を考えている人は、企業文化や社風も重要だが、トップである社長がどんな人で、どんな価値観を持ち、どんな意思決定をしているのか、しっかり見極めたほうが良い。

あなたは自由だ。そして、自由には責任がともなう。

働く場所を選ぶのも自由。どのくらいの期間、どのように働くのかも自由。残るも辞めるも自由。楽しく働くのも、ぐちを言いながらやさぐれて働くのも自由。好きに生きて良い権利を持つということは、自分の人生は自己責任であることだ。

その自由に、責任を持つ。至極あたり前の話なのである。

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