△6 ハチガツ、生きたい?【2024】
最近、人にすすめられて、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』を読みました。
いちおう、社会学部出身なので、あらすじくらいは知っていましたが、
じっくり読んだことはありませんでした。
彼は、ホロコーストをアウシュヴィッツで生き抜いた精神医学者です。
身に着けているものすべてを没収されて強制労働に従事し、周囲の人々の精神が徐々に壊れていく様子を描いたこの作品は、豊かで清潔な毎日を送る私にとって、衝撃的なものでした。
しかし、フランクルは、そんな状況でも希望を捨てませんでした。
フランクルは、「生きていることにもうなんにも期待がもてない」と絶望する人々に対し、「生きること」の捉え方を180度変えるよう迫ります。
ここ最近は、「生きる意味」について考えることが多かったです。
私の精神を壊した祖母が、リッチな老人施設で命を終えようとしていることを知ったから。
私はきっと、あんな良いところで死ねないんだろうな。
暗い精神病院で私という存在が消えてなくなるのならば、生きている意味、あるのかな?
そういう考えに至りました。
しかし、フランクルは、「生きる意味」を問うことを捨てろと言います。逆なのだ、私たちが「生きること」から問われているのだ、と。
そして、それに正しく答える方法は、「とにかく行動すること」なのだと言っています。
行動を変える。
振り返れば、今年度の幕開けは悲惨でした。
死ぬこと以外、考えられなかった。
そのあと、主治医の後押しを受けて、私は行動を起こした。
支援を受けられる住宅に引っ越し、作業所に通い始め、身の回りを整えた。
そのことによって、いくらか精神が安定してきた。
環境をすこしだけいじって、ただひたすらに目の前の行動を変えれば、感情は変わっていく。
身をもってそれを体験している。
ハチガツは気分が不安定でした。
過食してしまう日も少なくありませんでした。
でも、待っていれば自然と、すっと日常に戻れる瞬間がやってきた。
「死にたい」という隙間に落ちることもあるけれど、
明日が来るのが楽しみで、「生きたい」と感じながらベッドに沈む夜もある。
ハチガツは、死にたくも生きたくもない感じでした。
さて、ジュウガツはどうなっているか?
わくわくするし、怖くもある。
まあ、たぶんだけど、生きていると思う。
そう信じようと思う。
生きることから降りられない。
美しい言葉だと思う。
胸を張って、そう言えるようになりたい。
主治医の言うように、「いつまでも他人のせいにしてはいけない」んだよな。
自分の人生、自分で乗っかっていかなきゃな。
クーラーに冷やされたアイスコーヒーを呷る、ある8月の朝でした。
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